エスワン(ティーエスワン)による副作用である下痢、味覚障害、涙目を改善する方法を医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。
エスワンという飲み薬の抗がん剤があります。
ティーエスワン、テガフール・ギメラシル・オテラシルと呼ばれることもあります。
そして、悩まされることが多い副作用があります。
下痢、味覚障害、涙目です。
工夫をしても、これらの症状を和らげられないことも、珍しくありません。
しかし、適切な対応をしたら、これらの症状を改善させることは、できます。
この方法を解説いたします。
目次
エスワン(ティーエスワン)とは、どのような薬?
胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆管がん、乳がん、肺がんに対して、用いられます。
そして、朝食後と夕食後に飲むお薬です。28日間は毎日飲んで、14日間はお休みします。これが1クールとなります。
エスワン(ティーエスワン)の副作用は?
頻度の高い副作用は以下のものがあります。
- 白血球減少
- ヘモグロビン減少
- 血小板減少
- 食欲不振
- 吐き気
- 下痢
- 口内炎
- 色素沈着
- 発疹
- 味覚障害
エスワン(ティーエスワン)による副作用を軽減する方法とは?
エスワンを飲む量を減らしたり、休薬期間を期間を長くすることにより、大半の副作用は、かなり軽減することができます。
漢方を加えることも、副作用の軽減に役立ちます。
たとえば、白血球が減少したときには、以下のような漢方が有効です。
- 十全大補湯
- 加味帰脾湯
下痢のときには、以下の半夏瀉心湯という漢方が有効です。
どれもが、保険診療で処方してもらえる漢方です。
味覚障害に対しては、女貞子(じょていし)という漢方が有効です。
この漢方に関しては、保険診療での扱いは、ありません。漢方薬局で購入する必要があります。
エスワン(ティーエスワン)による涙目を軽減する方法とは?
涙目が出現したときには、防腐剤が入っていない人工涙液で、涙を洗い流す必要があります。
涙の中に、抗がん剤の成分が入っているからです。
しかし、防腐剤が入っていない人工涙液は、保険診療で処方できません。
参天製薬のソフトサンティア、および洗眼薬のウェルウォッシュアイを購入するとよいです。
また、エスワンを減量、休薬することにより、涙目が改善することが、多いです。
もし、なかなか改善しない涙目の場合は、眼科の医師の診察を受ける必要があります。角膜に障害がでていることがあるからです。
涙道学会の専門医の診察が必要となるので、こちらから、専門医を探して受診してください。
さて、本来であれば、このような副作用が、でないようにしたいです。
特に味覚障害という副作用に関しては、いったん症状がでてしまうと、改善に時間がかかることがあるからです。
私は、これらの副作用がでることを防ぐために、TS-1を隔日で飲んでもらうという方法をとることが多いです。
隔日で飲む、つまり「1日は、飲む。その翌日は、飲まない」の繰り返しということです。
この飲み方の場合は、休薬期間を作る必要はありません。
さらに、副作用で悩まされることが、かなり減ります。
以下の副作用で悩まされることが、かなり減ります。
- 白血球減少
- ヘモグロビン減少
- 血小板減少
- 食欲不振
- 吐き気
- 下痢
- 口内炎
- 色素沈着
- 発疹
- 味覚障害
- 涙目
TS-1の隔日投与にした結果、がんに対する効果は落ちないか?
TS-1の隔日投与にした結果、がんに対する効果は落ちないか?という不安を、持たれる方がいます。
いろんなデータがありますが、それらを総合的に検証してみても、効果が落ちるということは無いと判断します。
ただし、抗がん剤の効果の出方には、個人差があります。
たとえば、従来のTS-1の飲み方をしている方が、隔日投与にした結果、がんに対する効果が落ちる可能性は0ではありません。
したがって、隔日投与にして1ヶ月後くらいに、がんに対する効果が落ちていないかを、採血や画像所見で、確認する必要があります。
確認した結果、効果がちゃんとでていれば、いいわけです。
しかし、隔日投与にしても、TS-1による副作用が、なかなか制御できないケースは、あります。
そのような場合は、TS-1と同じ位置付けにあるUFTという飲み薬に変更するのも、よいでしょう。
1つ事例をあげます。
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胆管がん再発、80歳代の男性
胆管がんのリンパ節、骨転移による再発が判明して、TS−1を内服することになる。
しかし、TS-1による下痢に、悩まされる。隔日投与にしても、下痢を制御することはできず。
そこで、UFTという抗がん剤に切り替える。
その結果、下痢は、落ち着きく。
がんも、非常に縮小する。
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このように、TS-1による副作用を減らすために、試みるべき方法はたくさんあります。
そして、副作用に悩まされず、がんに負けないようにできます。
余談ですが、飲み薬の抗がん剤で副作用に悩まされるときは、隔日投与にする」というのは、どのような抗がん剤でも、言えるのでしょうか?
答えは、ノーです。
以下のような飲み薬の抗がん剤は、隔日投与にすると、効果が落ちます。
- エンドキサン
- リムパーザ
- レンビマ
- ソラフェニブ
逆に、隔日投与にしても、効果が落ちないであろうという抗がん剤は、TS-1以外にも、何種類があります。
本日のまとめです。
がんと闘う上で、大切なことの1つは、副作用によって、体力を消耗しないことです。
ちゃんと、毎日の仕事ができるくらいの副作用にしていかないといけません。
そのために、取り入れてほしいことは、こちらで学ぶことができます。