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胃がんのステージ別の治療方針や症状を医師が解説!生存率をあげ抗がん剤副作用を回避

こんにちは。加藤隆佑です。総合病院でがん治療を専門として働いています。

さて、今日は、胃がんのステージごとの治療方針をお話します。

また、生存率をあげたり、再発率をさげるために、取り入れるべきことがあります。

さらに、ちょっとした工夫で、抗がん剤の副作用をへらして、がんの治療で体力を消耗しないようにすることは、できます。

そして、胃がんによる症状と、症状を抑える方法があります。

そのために、私の16年間の胃がん治療の経験と、医学的なデータをもとに、胃がんを克服するコツを説明いたします。

胃がんの初期症状(自覚症状)と、その取り除き方

胃がんは、かなり進行しても、症状がでない場合があります。代表的な症状は、胃の痛み、不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振です。

しかし、これらは胃がんに特有の症状ではありません。食べ過ぎでも生じる症状です。検査をしなければ、診断はできませんので、医療機関を受診し、検査を受けましょう。

特に、体重が減るという症状の場合は、背景にがんを強く疑わせる症状なので、注意が必要です。

さて、胃がんという診断に、なったとします。

胃がんの広がり方をみて、手術になるのか、抗がん剤治療になるのかを判断します。そして、治療を受けることにより、胃がんによる症状は、改善します。

それらの治療だけでは、取り除けない症状は、薬で、症状を取り除きます。

例えば、なかなかとれない痛みであるならば、モルヒネといった医療用麻薬を用いることに、なります。

胃がんのステージの決め方

大半のケースにおいては、胃カメラ、CTだけで、ステージを決めることができます。

例外が、いくつかあります。

その1つが、肝臓の転移が疑わしいにも関わらず、CTではその診断ができない場合です。その場合は、ブリモビストという造影剤を用いた、MRIの検査を受ける必要になります。

腹膜というところに、がんが転移しているか、はっきりしない場合も、あります。その場合は、腹腔鏡というカメラで、お腹の中を見る検査を受けて、腹膜というところに、転移がないかを調べます。

以上の検査結果を踏まえると、以下のことがわかります。

  • どの程度、胃の粘膜に、がんが、食い込んでいるか?
  • 転移しているリンパ節の数
  • 遠くの臓器(肺、肝臓、腹膜など)に転移しているか?

そして、ステージが確定します。ステージの詳細は以下の表の通りです。

ステージを決める最大の目的は、治療方針を決めることにあります。

複雑にみえるステージのことは気にしないで、あなたが、以下のうちの、どの段階にいるのかを、知っていただくことが、大切です。

内視鏡治療でよいのか?
手術がよいのか?手術であれば、術後に再発を予防するために抗がん剤治療を受けたほうがよいのか?
手術はしないで、抗がん剤治療がよいのか?

胃がんのステージに応じた治療法

胃がんステージ1

手術で切除したら、治療は終了です。その後は、再発してこないか、外来で経過をみることになります。

生存率は、後半で、解説しています。

胃がんステージ2

手術で、胃がんを取り除きます。その後は、しばらくの間、抗がん剤によって、再発率を下げる治療を受けていただくことになります。

がんを手術で全部切除できたように見えても、その時点で、すでにがん細胞が別の臓器に転移している可能性があるからです。

術後の抗がん剤治療は、負担のない範囲で抗がん剤治療を受けることは大切です。

以下のような抗がん剤を、投与されることが多いです。

TS-1(ティーエスワン)という飲み薬を1年間

生存率は、後半で、解説しています。

胃がんステージ3

手術で、胃がんを取り除きます。その後は、しばらくの間、抗がん剤によって、再発率を下げる治療を受けていただくことになります。

がんを手術で全部切除できたように見えても、その時点で、すでにがん細胞が別の臓器に転移している可能性があるからです。

術後の抗がん剤治療は、負担のない範囲で抗がん剤治療を受けることは大切です。

以下のような抗がん剤を、投与されることが多いです。

「TS-1(ティーエスワン)+ドセタキセル」

ちなみに、この治療が推奨されるようになったのは、2018年の6月からです。

ただし、「TS-1+ドセタキセル」は、副作用が、強くでる方が、多い治療でもあります。

もちろん、工夫すれば、かなり副作用を取り除くことはできますが、色々工夫をしても、副作用を取り除けない場合や、この治療法に絶えられる見込みが低い場合は、抗がん剤の内容を、TS-1だけにしてもらいましょう。

さて、そのような治療により、再発率は、数%下がります。

しかし、それだけでは、十分な治療効果とは言えません。さらに、漢方や、薬膳的な食事といった東洋医学的なことを、加えましょう。

再発する確率を、さらに、0に近づけることができます。

この段階で、漢方や、薬膳的な食事を取り入れることは、非常に重要なのです。

例えば、愛知がんセンターから以下のような報告があります。

877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討。

豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になる

上記のデータは、胃がんの再発率と、食事内容に関係があるというデータです。

データでも、食事が、がんの治療成績が良くすることは、示されているのです。

さて、胃の切除のために、思ったように食事が取れなくなることが、あります。また、ダンピング症候群で、悩まされることもあります。

そのような時も、薬膳的な食事を取り入れると良いです。

漢方の注意点ですが、適切な内容で、必要な用量をしっかり飲みましょう。そのようなことをしっかりと助言できる方から、漢方を提案してもらうと良いです。漢方は、インターネットでも、信頼できるものが、容易に入手できます。

この単元のまとめですが、がんの再発を抑えるのは、抗がん剤だけではなく、あなたの日常生活の工夫も、再発に対して大きな影響を与えることは知っておいてください。

補足ですが、ステージ1の場合は、手術後の抗がん剤の有効性はないとされているので、抗がん剤は投与されません。

再発をさらに抑えるために取り入れるべきことは、こちらでもご紹介しています。

 

胃がんステージ4(もしくは再発)と、抗がん剤の効果

肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。この状態は、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

手術による治療では、がんをすべて取り除けないために、抗がん剤治療が中心となります。

抗がん剤であれば、がんを倒す薬の成分を、体の血流にのって、体中にひろがったがん細胞に、行き渡らせることができるからです。

その治療により、体に広く散らばっているがんが、制御できたと予想される場合は、根治を目指した手術が、なされることも、あります。

また、ステージ4、もしくは、再発をした場合の抗がん剤としては、以下のものが用いられます。

1番目に用いられる抗がん剤(1次化学療法)

TS-1(ティーエスワン)+オキサリプラチン
TS-1+シスプラチン(もしくはオキサリプラチン)
TS-1単剤

上記のどれかが、用いられることが多いです。

TS-1の代わりに、ゼローダ(別称はカペシタビン)が用いられることも、多いです。

1番目に用いられる抗がん剤は、切れ味は、よいお薬です。

2番目に用いられる抗がん剤(2次化学療法)
パクリタキセル+サイラムザ
アブラキサン単剤

切れ味は、1番目お薬に比べると、劣りますが、それなりに、効果はあります。

3番目に用いられる抗がん剤(3次化学療法)
オプジーボ もしくは イリノテカン

残念ながら、それほどの切れ味は期待できません。これらの治療法しか残っていないことになると、治療に手詰まり感を感じます。

そのような段階では、標準的な治療法以外の治療も、検討すべきです。

例えば、治験を受けることも、選択肢の1つにあがります。

また、胃がんの10~20%では、「HER2(ハーツー)」と呼ばれるたんぱく質が、検出されます。その場合は、ハーセプチンという分子標的薬が、併用されます。

ステージ4や再発の治療は、長期にわたる治療になることが予想されます。

そこで、抗がん剤による副作用で、体力を失わないようにしないといけません。

副作用を抑えることが、大切になるということです。

とくに、オキサリプラチン、シスプラチン、イリノテカンは、副作用が、比較的でやすいお薬に分類されます。

注意しないといけません。しかし、心配をしないでください。工夫をすれば、副作用は、かなり抑えることはできます。

副作用を抑える上で、大切なことは、もう少し読んでいただいたところに、書いています。

胃がんの5年生存率


上記のデータは、2005年から2007年の間に、胃がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

治療成績をみて、不安に思われる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、上記のデータは、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています

また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。

ステージ4であっても、完治される方は、いらっしゃいます。

そのような場合は、いろんな治療を利用していくことになります。抗がん剤だけで、完治することはないからです。

タイミングを見つつ、手術、放射線治療を併用が必要です。

標準的な治療法(抗がん剤、放射線、手術)以外のものが、非常に効果を発揮することも、あります。

また、私の著書である「抗がん剤治療を受けるときに読む本」のp26には、ステージ4のがんを、食事療法で小さくさせた事例があります。

食事内容に気をつけることにも、注意を払ってください。さらに、漢方をたすと良いでしょう。

東洋医学的な治療により、がんを抑えることができるというデータは、複数あります。

  • 適切な西洋医療
  • 適切な食事内容
  • 適切な東洋医学

以上の3つのことをバランス良く、活用することが大切です。

転移した部位に合わせた治療法

肝転移(肺転移)

肝臓に転移していると、ステージ4の段階になります。したがって、ステージ4の治療に基づいた治療を受けることになります。つまり、抗がん剤治療です。

肝転移が少数の数であり、肝臓以外に胃がんが存在せず、さらに、肝転移の状態が長期間にわたって落ち着いてるときは、以下の治療法が検討されることもあります。

血管内治療
ラジオ波焼却術(RFA)
放射線治療
手術

手術について、もう少し詳しくお伝えします。2018年の胃癌治療ガイドラインにおいても、肝転移における手術を、推奨してもよいとされています。

ただし、手術をしてよいのか、しっかりと吟味をしないといけません。どんな方でも、肝臓にがんを手術で切除をしたらよいというわけではないのです。

以上の治療を加えることにより、根治をめざすこともできます。

リンパ節転移

胃の周りの転移しているリンパ節ならば、手術で切除することによって、治る可能性がある転移です。その場合の治療は、手術で切除することになります。

一方で、胃から離れたところにあるリンパ節転移は、切除は不可能であり、ステージ4の診断となります。その場合は、ステージ4の治療に準じた治療、つまり抗がん剤治療が中心となります。

状況によっては、放射線治療が選択されることもあります。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)

お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように、体の中にバラバラと、がんが広がることです。その場合は、ステージ4の治療に準じた治療、つまり抗がん剤治療が中心となります。

腹膜播種を制御するための、特殊な治療法があります。

お腹の中に、直接、抗がん剤を投与するという方法です。腹腔内化学療法と言われます。先進医療にも認定されており、腹腔内のがん細胞を制御するのに、有効な治療法です。

私も、以前にその治療に、たずさわっていました。

腹膜播種が多数あった方も、腹膜播種がきれいに、消えた方も、いらっしゃいました。

それなりの確率で、そのようになります。

さて、腹膜播種がひどい状況になると、腹水がでます。腹水の量が非常に多いと、食事量が減り、全身の状態が悪くなることがあります。

そのような状況での、抗がん剤治療は、副作用のリスクが高くなるので、慎重に行わないといけません。

そのような状況でも、治療によって、がんを制御できれば、腹水を減らすことができます。手術ができるくらいに、がんを縮小するケースもあります。

前述した腹腔内化学療法は、比較的副作用が少ない治療なので、全身状態がそれほど良くなくて、体力が消耗していても、安心して受けることができます。

ただし、腹腔内化学療法は、広く普及がしていないという問題点は残ります。

胃がんの抗がん剤の副作用と、その解決策

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血液をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

その他、全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、心臓への影響として動悸(どうき)、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用は、用いる薬の種類によって異なり、その程度も個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療の中断を、検討することもあります。

あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが、伝えないと、主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

そして、副作用対策をしてもらいましょう。

最近は副作用を、かなり取り除けるようになっています。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めが、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。

そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

  • 副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
  • 主治医が副作用対策を、熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされている方が、多いです。

過剰な量の抗がん剤が投与されることがある。

もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が、投与されていることがあるということです。

抗がん剤は、体重と身長から、投与量を計算します。そうであるならば、体重が減った場合は、抗がん剤の量を減らさないといけません。

しかし、体重が減ったにも関わらず、従来の体重の量で、抗がん剤が投与されていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

そのようなケースは、珍しくありません。

体重の1kg程度の増減は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の増減のときは、主治医に伝えるべきです。

あなたの主治医が、体重のチェックをあまりしない場合は、特に注意が必要です。

標準的な方法以外にも、さまざまな方法で、副作用を緩和させることも、できます。

 

胃がんステージ4は治る?それとも、末期で余命を数える段階?そして末期症状とは?

また、「ステージ4、再発=末期がん」と、思われがちですが、ステージ4でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

また、ステージ4(もしくは再発)にも、いろんな状況が想定されます。

肝臓に転移が1つだけある方
肺や肝臓に無数の転移のある方
すべての抗がん剤治療を試み、緩和ケアを提案される方

上記の通り、ステージ4(もしくは再発)といっても、いろんな段階があるのです。

再発と診断されたケースで、完治にいたった事例を1つ提示します。

60歳代男性で、胃がんの再発で、肝転移

手術をした後に、抗がん剤治療で、がんは制御される。

しかし、その後、さらに肺転移が出現したので、手術をしたのちに、抗がん剤治療

その後は、再発はなし。

 

ステージ4もしくは、再発だからといって、治らないというわけではありません。

効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階

さて、ここでは、効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階の対応について、詳しくお伝えします。

このような段階は、病気に伴う心と体の痛みを和らげる治療、つまり緩和医療が中心となります。

  • 痛みがあるときは、痛み止めの薬の量を調節する
  • 精神的に落ち込んでいるときは、カウンセリングを受けたり、抗うつ薬の量を調節する

このような治療を中心に行います。

もちろん、がんと診断された時期から、上記のことは、同時並行でおこなっていくわけですが、「効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階」は、このことを、より強化していくのです。

この段階における治療は、決まったやり方があるようで、ありません。かなり、医師の力量が問われるところなのです。

そして、このような緩和医療をうけていただくことも、より長く生きていくことにつながることは、証明されています。

さらに、緩和医療しかないと言われたにも関わらず、以下のことを検討すべき価値はあります。

  • なんらかの治験も視野にいれることができないか?
  • 放射線治療を、本当にすることはできないのか?
  • 漢方を取り入れていたならば、今のままの漢方でよいか?
  • ラジオ波で、局所コントロールができないか?
  • 血管内治療の適応はないか?

ここまでについて、いかがでしょうか?

胃がんの治療の概要を分かっていただけたでしょうか?

あなたが、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、胃がんによる症状が楽になることもあります。

他のドクターから、主治医から提案されなかったような治療法を提案してもらったおかげで、完治された事例もあります。標準的な治療とはされていない中にも、それなりの確率で、有効な治療法もあるのです。

そして、胃がんを、さらに小さくしていけます。

まとめとなりますが、以下の3つのことをバランス良く、活用することが大切です。

  • 適切な西洋医療
  • 適切な食事内容
  • 適切な東洋医学

そのために、知ってほしいことは、こちらに公開しています。

 

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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