乳がんに用いられるアフィニトールの効果は?口内炎といったような副作用を取り除く方法を解説
こんにちは。加藤隆佑です。
本日は、乳がんに用いられるアフィニトールの効果と、口内炎といった副作用を取り除く方法について解説します。
アフィニトールとは、どういうお薬?
mTORは、がん細胞の増殖を促進するタンパク質です。
アフィニトールは、このタンパク質の働きを抑えることで、抗腫瘍効果を示します。
以下のようながんで、用いられます。
・根治を望むことが難しい乳癌
・結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫
・結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫
・根治を望むことが難しい腎細胞癌
・神経内分泌腫瘍
アフィニトールの飲み方は?
ここでは、乳がんに焦点をしぼって、どのように飲むかや、副作用の管理の仕方について説明します。
1日 1 回10ミリグラムのアフィニトールを内服します
そして、ホルモン療法と併用することが前提となります。
ホルモン療法として、エキセメスタン(アロマシン)という薬を飲むことになります。
ちなみに、ホルモン療法の副作用については、こちらで解説しています。
アフィニトールの副作用は?
頻度を問わなければ、以下のような副作用が起こる可能性があります。
口内炎、間質性肺疾患、感染症、骨髄抑制、腎不全、高血糖、悪性腫瘍(二次発癌)、進行性多巣性白質脳、血栓性微小血管障害、心嚢液貯留
この中で特に頻度が高いのは、口内炎と間質性肺炎です。
この2つには、非常に注意を払わないといけません。
約50%の方に口内炎は発症します。そして約8%の方に非常に重度の口内炎が発生すると言われています。
また、間質性肺炎に関しては、約40%の頻度で発症します。そして約4%の方に非常に重度の間質性肺炎が発生すると言われています。
口内炎に対してどのような対策をしたらよいか?
口腔ケアをすることが重要です。
口内炎に有効とされる半夏瀉心湯という漢方を併用すると、さらに、効果的です。
万が一、口内炎ができて、辛い時には、ステロイド口腔用軟膏を用います。
ちなみに、口内炎ができてしまったとしても、漢方を用いることにより、治癒までの期間を半分に短縮するというデータがあります。
間質性肺炎に対してどのような対策をしたらよいか?
間質性肺炎になると、以下の数値が上昇います。
- SPーD
- KL−6
したがって、これらの数値を定期的に採血します。そして、もしこれらの数値が上昇してきたときには、間質性肺炎に対するアクションを起こすことになります。
具体的なアクションの起こし方を説明します。
1、症状がなく、画像所見で、間質性肺炎が疑われる場合
同じ用量のままで、治療を継続。間質性肺炎の治療はしない。
2、症状はあるが、日常生活に支障はなし。
症状とは、咳のことを指します。
症状がなくなるまで、休薬します。この症状を取り除くために、必要に応じて、ステロイドという薬を用います。
そして、改善したら、1段階減量をして、アフィニトールを再開します。
3、症状がある上に、日常生活に支障があり。
症状とは、以下のようなことです。
発熱、呼吸困難、咳
症状がなくなるまで、休薬します。この症状を取り除くために、ステロイドという薬を用います。
そして、改善したら、1段階減量をして、アフィニトールを再開します。
4、命に関わる症状
休薬して、ステロイドによる治療をします。そして、回復しても、アフィニトール以外の薬を用いることになります。
基本的には、間質性肺炎は、早期発見、早期治療すれば、大丈夫です。
さて、乳がんの治療においては、それ以外にも、気をつけるべきことがあります。