乳がんの腫瘍マーカーであるCEAやCA15-3などについて医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。
乳がんの検査項目の1つとして、腫瘍マーカーを調べることがあります。
そこで、乳がんの腫瘍マーカーであるCA15-3、NCC-ST-439、CEA、BCA225について解説します。
CA15-3といったような腫瘍マーカーを調べることにより、分かることは、以下の3つです。
- 腫瘍マーカーが正常域を超えた数値の場合は、体の中にがんがある可能性がある。
- 治療を行い、腫瘍マーカーが下がれば、治療は効果的であり、がんが縮小してきている可能性が高いと判断できる。
- 治療を行っても、腫瘍マーカーが上昇するならば、治療は無効であり、がんが増大している可能性が高いと判断できる。
ここでは、乳がんの腫瘍マーカーについて、もう少し詳しく説明します。
腫瘍マーカーとは何か?
実は、多くの腫瘍マーカーは、がん細胞からだけではなく、正常な細胞でも作り出される物質です。
しかし、がん細胞の方が、正常な細胞よりも成長が早いために、よりたくさんの腫瘍マーカーを作ります。
その結果、腫瘍マーカーが基準値よりも高い時には、身体の中に、がんが存在している可能性が高いと、解釈できます。
腫瘍の大きさが大きいほど、腫瘍マーカーの数値は高くなる傾向があります。したがって、早期のがんでは、腫瘍マーカーは正常域内にとどまることが多いです。
そして、がんがあっても、腫瘍マーカーは正常域にとどまっていることがあることは、知っておくべきことになります。
逆に腫瘍マーカーが高い数値でも、背景にがんが存在しないことがあります。
特に、以下の腫瘍マーカーは正常域から外れた数値であっても、背景にがんがないケースが多いです。
CEA:慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核などでも高値を示すことがあり、その確率は20~40%程度と考えられています。
CA15-3:乳腺の良性疾患でも、まれに陽性になります。他に子宮筋腫,子宮内膜症,卵巣のう腫などの婦人科疾患,肝機能障害で陽性となる場合も、あります。
CA125:子宮内膜症の50~65%程度、膿疱腺腫の20%程度でも高値を示すことがあります。
ここでいう高値とは、正常域から少しはみ出る程度の数値のことを指します。
腫瘍マーカーが数千というような数値である場合や、腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇する場合には、非常に高い確率で、背景にがんがあるであろうと推測されます。
乳がんで用いられる腫瘍マーカーは?
乳がんの腫瘍マーカーとして、以下のものが挙げられます。
- CEA
- CA15-3
- NCC-ST-439
- BCA225
ちなみに、CA15-3は、肝臓や骨といった臓器に転移しているケースにおいて、高値を示すことが多い特徴があります。
腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇してきたらどうする?
定期検査の検査結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。
しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。
たとえ、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がんが増殖してきている兆候であることが多いです。
治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。
例えば、卵巣がんの事例になりますが、以下のような事例があります。
60歳代の女性
卵巣がんの手術後に、CA125が上昇してくる。
画像上でも、リンパ節に再発した疑いとなる。
しかし、漢方を内服し、腫瘍マーカーは再び下がり、がんの増大は抑えられる。
ちなみに、この方に飲んでいただいたのは、大青葉・山豆根という漢方です。
このように、腫瘍マーカーが上昇したときには、漢方は非常に重要な役目を果たします。
これは、乳がんにも言えることです。
腫瘍マーカーが上昇する兆候がある時には、なるべく早くがんを抑えるアクションを取るべきです。
そのためにすべきことの1つが漢方を取り入れることです。
乳がんの成長を、強力に抑えられます。