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膵臓がんの再発でも楽に余命を伸ばす!末期からでも回復する治療を医師が解説

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療専門医として、小樽協会病院という総合病院で勤務しています。

さて、今日は、膵臓がんについてのお話です。

さて、今日は、膵臓がんについてのお話です。膵臓がんの再発で、手術ができない状況ですと、長くは生きられないと、途方にくれているかもしれません。しかし、必ずしも、そうではありません。

油断ができない状況であることは事実ですが、劇的に良くなる方は、いらっしゃいます。

たとえ、抗がん剤治療ができないような、末期の状態であっても、よりよい状態にもっていくことは、できます。余命宣告をされていたとしても、余命をさらに伸ばすことは、できるのです。

また、副作用で苦しんでいるならば、もっと楽に治療を受けることも、できるようになります。

希望を持ちつつ、治療を受けていきましょう。

そして、再発の膵臓がんを克服する確率を、跳ね上げていきましょう。

そこで、私の17年間の膵臓がん治療の経験を踏まえて、膵臓がんをさらに小さくするために、すべきことを、書いていきます。

目次

膵臓がんが再発する理由とは?

膵臓がんが再発する理由は2つです。

1つ目は、手術の刺激で、がん細胞が、散らばったという理由です。

もう1つの理由は、手術の際に行われた検査では、小さすぎて分からなかった癌細胞が、時間とともに大きくなり、検査で分かるようになったという理由です。

再発した膵臓がんに対して、手術による治療は意味がないのか?

膵臓がんの再発では、肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

手術では、すべてのがんを、取り除けませんので、手術による治療は、なされないことになります。

一方で、抗がん剤であれば、血流にのって、体中にひろがったがん細胞に、がんを倒す薬の成分を、行き渡らせることができます。

うまく抗がん剤が効いてくれると、がんを抑えることに、非常に役立ちます。

抗がん剤が、再発した膵臓がんの治療における主役になるのです。

その治療により、体に広く散らばっているがんが、制御できたと予想される場合は、根治を目指した手術が、なされることも、あります。

さて、先ほど、膵臓がんが再発していると、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されるとお話しました。

しかし、すべての方が、再発しているからといって、がん細胞が、体に広く散らばっているわけではありません。

再発した部位だけに、がん細胞がとどまっていることも、あるのです。

特に、以下のようなケースにおいては、再発した部位だけに、がんがとどまっている可能性が、あります。

  • 再発した病巣の数が1から3個くらいのケース
  • 局所再発であるケース

ちなみに、局所再発とは,膵臓がんの手術をした近くに再発をすることです。

このような状況に置かれているならば、根治を目指した手術や放射線治療を、検討することがあります。

再発した膵臓がんに対する抗がん剤は、どのくらいの効果がある?

膵臓がんに用いられる抗がん剤

再発した膵臓がんに用いられる抗がん剤は、以下のどれかです。

  • TS-1

飲み薬の抗がん剤です。

  • ジェムザール+アブラキサン

副作用に耐えるだけの体力がない方なら、ジェムザールだけ用います。注射による治療です。

  • フォルフィリノックス

「オキサリプラチン+イリノテカン+5-FU」という抗がん剤を組み合わせた、注射による治療です。

また、フォルフィリノックスは非常に副作用が強く出やすいです。若い方でないと、副作用に耐えられず、治療を継続することが難しい傾向があります。

もし、この治療に効果があった方で、なおかつ、BRCAという遺伝子に異常がある場合は、オラパリブという飲み薬を用いることができるようになりました。

ちなみに、フォルフィリノックスが、体力的にできない場合には、オニバイドという抗がん剤も、治療の選択肢の1つになります。

さて、過去には、「ジェムザール+エルロチニブ」という治療法もありました。しかし、最近は、用いられることが、ほとんどなくなりました。副作用が多いわりには、効果がそれほどないからです。


具体的には、以下のような感じで、治療を受けていくことになります。

「ジェムザール+アブラキサン」で、がんは、抑えられていた。

しかし、次第に効果が無くなり、「TS-1」に変更。

 

主治医によって、用いる抗がん剤の順番が、異なることはあります。

そして、抗がん剤治療に手詰まり感がでれば、こちらの治療法も、検討することになります。

抗がん剤の効果をどのように判定する?

2ヶ月間ほど、治療を行った上で、抗がん剤による治療効果を判断します。

CTや、腫瘍マーカーの数値で、がんの増殖が抑えられていれば、抗がん剤の効果はあると判定されます。

がんの勢いが強く、切羽詰まった状態の時もあります。その場合は、2ヶ月よりもっと短い期間で、抗がん剤の効果判定をします。

適切なタイミングで、抗がん剤の効果の判定をすることが大切なのです。

適切なタイミングで、やってもらえるかは、医師の腕による部分も、多いところです。

「もっと早い段階で抗がん剤の効果判定を行い、別の抗がん剤を変更しておけば、もっと長く元気に過ごすことができたかもしれない。」ということも、あるということです。

抗がん剤の効果について

フォルフィリノックスと「ジェムザール+アブラキサン」は、効果はほぼ同等です。膵臓がんを平均約5から6ヶ月くらい抑える効果があります。

TS-1は、膵臓がんを、平均約3から4ヶ月くらい抑える効果があるとされています。

以上が、平均的な成績です。

また、一部の人は、劇的に効いて、手術ができるくらいになることもあります。

例えば、TS-1という飲み薬の抗がん剤だけでも、頻度は低いながら劇的に効く人はいます。

だからこそ、治らないと決めつけないで、治療を受けるというスタンスは必要です。

すい臓がんをより良くしていくために、すべきことを、取り入れていきましょう。

再発の膵臓がんの治療の問題点とは?

再発の膵臓がんの治療では、抗がん剤の選択肢が、それほど多くはないという問題点が、あります。

さて、抗がん剤治療を受けるならば、抗がん剤に負けない体力を維持することが、非常に重要になってきます。

そのような観点から考えると、副作用に耐えられる体力がない方は、抗がん剤を受けるべきではありません。逆に、寿命を短くすることに、なりかねないからです。

腫瘍マーカーが増加してきたら、どうしたらよい?

抗がん剤治療を受けている最中の定期検査の結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、腫瘍マーカーが、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がんが増殖してきている兆候であることが多いです。

治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

膵臓がんの5年生存率を、もっと高くできる。

先ほど、お話したように、膵臓がんの治療では、抗がん剤の選択肢が、それほど多くはないという問題点が、あります。

そこで、標準的な治療法以外の治療も、常に念頭に入れてることも、大切です。

そのことが、より長期間に渡って、がんを抑えることに、つながります。


さて、上記のデータは、2006年から2008年の間に、膵臓がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています。

以前に比べれば、すい臓がんの治療成績は、高くなっているのです。

ちなみに、再発の場合の5年生存率は、ステージ4の膵臓がんと、ほぼ同じとなります。

再発の膵臓がんは、余命を数える段階か?

再発の膵臓がんであっても、数年にわたって、元気にされている人はいます。中には、完治に持ってこれるケースもあります。

一方で、全身に転移して食事もほとんど食べられない状態の再発の膵臓がんですと、数週間しか生きられない人もいます。

結果として、再発の膵臓がんステージの生存期間の中央値は、約9ヶ月となります。

かなり個人差があるのです。

そして、工夫をすることにより、さらに、生存期間を伸ばせることは、様々な医学データから判明しています。

そこで、ステージ4の膵臓がんであっても、画像上、がんが、指摘できない状態に持っていく事ができた事例を、提示します。

肝臓に転移があり、ステージ4の診断。

抗がん剤治療で、肝臓の転移は消失。

しかし、膵癌のがんの部分は、大血管を巻き込んでいて、手術では、とれない状態。しかし、これ以上の抗がん剤治療の継続は困難であり、手術を試みることになる。

手術で、お腹の中を見てみると、血管を巻き込んでいる部分は、がんではなく、治療により繊維化した部分であることが、判明。

最終的に、手術で、がんを取り除くことができる。

 

ただし、このような、良い治療結果にしていくためには、病院の治療だけを受けていれば良いわけではありません。

いろんな工夫を取り入れていく必要があります。

そのために、あなたが、すべきことは、こちらで説明しています。

抗がん剤の効果を、増強させることは、できる。

抗がん剤治療や放射線治療の効果を、よりよいものに、することは、できます。

例えば、ハイパーサーミア(温熱療法)を併用することも、よいでしょう。

よりよい治療結果につながるというデータは、複数あります。

保険診療で、ハイパーサーミアを受けることができるケースが多いです。

以下のような機械で、病巣を加熱します。

また、東洋医学を併用すると、よりよい治療結果につながるというデータも、複数あります。

たとえば、漢方薬の内服は、東洋医学における代表的な治療法です。

エキス顆粒の漢方や、タブレット状の漢方であれば、水と一緒に飲むだけです。

煎じる漢方の場合は、以下のような漢方を、ヤカンなどで煮出して、煮出した液体だけを飲みます。

購入に関してですが、保険診療の中で処方してもらえる、漢方もあれば、保険の効かない漢方もあります。

保険の効かないような、特殊な漢方は、漢方薬局で購入することになります。

一方で、漢方やハイパーサミアは、十分に普及していないのも、事実です。主治医は、これらの治療のことを知らないがために、「そんな治療は、役に立たない」と言われる方も、います。

私も、以前は、そのように感じていました。

しかし、効果を肌身で感じてからは、「ハイパーサーミア」や「漢方」は、非常に有効な治療の1つと確信しました。

たとえば、以下のような事例があります。

再発した子宮頸がんに対して、抗がん剤と放射線治療を行うものの、がんは、増大してしまう。

そこで、2種類の漢方を追加する。

その結果、腫瘍マーカーは下がり、がんも、縮小する。

 

子宮がんの事例を提示していますが、すい臓がんでも同じことが言えます。

幸いなことに、最近は、漢方に理解を示してくれる医師が、増えてきています。

大切なところなので、もう一度、書きます。

病院の治療は、データも豊富であり、重要な治療法であることは、事実です。その治療法を軸にしつつ、「ハイパーサーミア」や「漢方」といった枝葉をつけると、もっとよいです。

副作用を減らすことにも、つながります。

そして、再発の膵臓がんであっても、さらにがんを小さくできます。

あなたの今の治療に、簡単に取り入れられる漢方に関しても、こちらで学ぶことができます。

私、加藤隆佑が、このような治療法を取り入れたきっかけとは?

私は、医師として、17年のキャリアがあります。

西洋医学のトレーニングを徹底的に受けました。

しかし、専門医をとり、ある程度のことができるようになった頃より、がんの治療に、大きな疑問を感じるようになりました。

治療の結果、副作用に悩まされる人が大勢いる。ベストの治療をしても、患者さんは、必ずしも幸せになってくれない。

さらに、患者さんだけでなく、家族もとても辛い思いをしている方が多い。

病院では治療だけで、心のケアをしてくれる人がいない。

 

このような思いに、悩まされるように、なったのです。そこで、いろんな治療法を勉強しました。

患者さんや、そのご家族の不安を取り除くための、カウンセリングのトレーニングを受けました。

また、いろんな治療法を学ぶ過程で、漢方、食事療法、そしてハイパーサーミアは効果があり、再現性のある治療法であることを、知ることができました。

このような経緯があり、現在は、西洋医学に、漢方、食事療法、そしてハイパーサーミアを組み込んだ治療を、提案しています。

たとえ、ステージ4のがんであったとしても、完治にもっていく確率をあげることができます。

私の情報発信は、一人でも多くの方に、このことを伝えるための、挑戦でもあります。

そして、がんになっても、毎日の生活に楽しみを持ちながら、生活を送って欲しいと思います。

免疫療法は、効果があるのか?

免疫療法には、2種類あります。1つ目は、保険診療で認可されている免疫チェックポイント阻害薬のことです。例えば、オプジーボといった薬剤です。

そして、ここでお話しするのは、自由診療で用いられる免疫療法です。リンパ球や樹状細胞といった免疫に寄与する細胞を、あなたの体のなかに、注入する治療のことです。

「データが乏しく、値段も高く、効果もほとんどない」と主張される医師は、多いです。

しかし、本当なのでしょうか?

ここでは、詳細は割愛しますが、結論から言うと、「抗がん剤と併用することによって、がんを非常に縮小させることのできること」は、頻度は低いながら、あります。

そうである以上、一部の方には、有効な治療法であると考えるのが妥当です。

再発の膵臓がんに、重粒子線治療は効果があるか?

重粒子線治療は、膵がんの再発の場合に、行われることがあります。

さて、重粒子線治療は、通常の放射線治療よりも、ずっと効果があると、思われている方は多いです。

しかし、実際は、ケースバイケースです。

例えば、膵臓がんが、小腸や十二指腸と数ミリ程度しか距離が、離れていないときがあります。

そのような場合に、がんを死に追いやるほどの重粒子線を照射してしまうと、腸に穴があいてしまいます。

つまり、「小腸や十二指腸と数ミリ程度しか距離がない」場合は、重粒子線を十分な量を、当てることができないのです。

そうなってしまうと、治療効果も、下がることでしょう。通常の放射線治療と、効果がほぼ同等になってしまう可能性の方が高いです。

また、重粒子線ではなく、通常の放射線治療を受けることになったとしても、その治療効果が、より良いものになるようにできます。

以下のようにすれば良いです。

「呼吸によって病変が動くことにも、対応できる機械で、膵臓がんに対して、高用量の放射線を照射する。」

工夫次第で、通常の放射線治療であっても、強力に膵臓がんを小さくできるのです。

余談ですが、放射線治療というのは、照射を計画してくださる医師の腕や、照射の機械によって、治療成績が異なります。

どこの施設で、放射線治療を受けるかで、膵臓がんの治療結果に、大きな違いが出ると言えます。

抗がん剤の副作用を、もっと取り除くことが、できる。

抗がん剤の副作用で、寿命が短くなることがある。

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

それ以外の副作用として、全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、動悸(どうき)、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用が、どの程度出るかに関しては、個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療を中断します。

副作用がひどいと、体力を消耗するからです。高齢の方ですと、このことがきっかけで、寝たきりになることもあるのです。

寿命が短くなることにも、つながります。

そのようなことを避けるために、あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが伝えないと、主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

そして、副作用を取り除いてもらいましょう。

最近は、副作用を、かなり取り除けるようになっています。

抗がん剤の副作用を取り除くために、◯◯を伝えないといけない。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めの薬が、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。

そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

  • 副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
  • 主治医が、副作用対策を、熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされることが、あるのです。

そこで、普段から、医師とのコミュニケーションを、しっかりとりましょう。コミュニケーションを取っても、副作用がとれない場合は、セカンドオピニオンで、他の医師の意見を聞きましょう。

私の外来にも、そのような悩みで、受診される方は、いらっしゃいます。

副作用の原因で、もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が投与されていることがあることです。

もう少し具体的にお伝えします。

抗がん剤は、体重と身長から、投与量を計算しますので、体重が減ったならば、抗がん剤の量を、減量しないといけません。

しかし、体重が減ったにも関わらず、従来の体重から計算された量の抗がん剤が、投与されていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

体重の1キロ程度の減少は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の減少のときは、主治医に伝えるべきです。

抗がん剤による口内炎は、もっと楽にできます。

エレンタールという栄養ドリンクがあります。これを飲むと、抗がん剤によってできる口内炎を減らすことができるというデータがあります。

データの数は少ないのですが、その効果を実感して、診療に利用している病院も複数あります。

私もエレンタールの効果に驚き、よく用います。

ちなみに、私の著書にも、エレンタールの効果のことを、書いています。

諦めないでいろいろ調べてみると、あなたの悩みを解決できる方法があるものです。

ちなみに、私は、広く普及していない治療方法であったとしても、しっかりリサーチします。

そして、再現性があって、効果があるものは、ブログなどで、ご紹介しています。

標準的な治療だけが、治療ではないのです。

抗がん剤による吐き気は、もっと楽にできます。

抗がん剤の副作用である吐き気を、もっと取り除くことは、できます。

最近になって、非常に効果のある吐き気止めの薬が、でたからです。

しかし、その薬を主治医が適切に用いることができないために、吐き気を取ることができていないケースを、たまに見かけます。

そのような可能性があるときには、セカンドオピニオンなどで、他の医師の意見を仰ぐのも、よいでしょう。

また、あなたが、吐き気で辛い事を、伝えたつもりでも、伝わっていないことは、多いです。

そのような場合は、主治医に伝えたいことを、短い手紙に書いて、外来の診察の前に渡すとよいでしょう。

確実に、あなたの伝えたい事が伝わります。

あらゆる手段を使って、吐き気を楽にしましょう。吐き気や嘔吐は、体力を低下させるので、必ず解決しないといけない副作用の1つです。

そして、多くのケースで、吐き気の問題は、解決できます。

抗がん剤によるしびれは、もっと楽にできます。

すい臓がんの治療で、よく用いられる抗がん剤の1つであるアブラキサンには、特に注意しないといけない副作用があります。

それは、しびれです。

専門用語では、末梢神経障害と呼ばれます。

後遺症としてしびれが残り、自分で歩く事が困難になったり、ボタンを自分でつけれなくなることもあります。

しびれがでたときには、主治医に適切な対処をしてもらいましょう。

具体的には、アブラキサンを休薬してもらうことが、必要です。

ちなみに、しびれが、良くならない上に、しびれが非常に辛い場合には、リリカやサインバルタという治療薬が用いられます。

しかし、副作用が多い反面、効果はそれほどないケースが多いです。

一方で、漢方薬の中には、しびれの改善に非常に役立つものがあります。

そのような漢方薬で、私がよく用いるものは、漢方薬局で購入してもらわないといけませんが、改善するケースは多いです。

また、しびれが、なるべく、出現しないようにする予防法もあります。

再発した部位に合わせた特殊な治療法と症状

肝臓に再発している場合の治療法と症状

肝臓に再発している場合は、抗がん剤治療で制御していくことになります。

もし、肝臓への再発の数が少数であり、肝臓以外にがんが存在せず、さらに、肝臓への再発の状態が長期間にわたって落ち着いているときは、以下の治療法が検討されることもあります。

  • 放射線治療
  • 手術

次に症状に関してですが、「再発したがんが、肝臓の大半を、占拠した段階」に至ってから、肝臓への再発による症状が、でることが多いです。

例えば、黄疸といった症状です。

ちなみに、採血で肝機能障害が出現した時に、「肝臓の再発巣が、悪化したのであろう」と心配される方が多いですが、そうではありません。

大半のケースは、抗がん剤などによる肝機能障害か、「再発したがんが、胆管という胆汁の流れ道を塞ぐこと」が、原因となっています。

リンパ節に再発したときの治療法と、症状

再発したがんにより、リンパ節が腫大している場合は、抗がん剤治療で制御していくことになります。

もし、リンパ節への再発が、一部分だけにとどまるときは、放射線治療を検討することもあります。

次に症状に関してですが、大きく腫れたリンパ節が、神経に触れれば、痛みがでます。

腫大したリンパ節が、臓器を圧排すれば、それに伴う症状が出ます。例えば、再発して腫大したリンパ節が、胆汁の流れ道を、押しつぶせば、黄疸が出現するといった感じです。

どの部位のリンパ節に再発して、さらにそのリンパ節がどの程度、腫れるかによって、症状は異なります。

腹膜播種として再発した場合の治療法

お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように、バラバラと、がんが広がることを腹膜播種(ふくまくはしゅ)と言います。

抗がん剤治療が中心となります。

さて、非常に効果的な、腹膜播種を制御する、特殊な治療法があります。

お腹の中に、直接抗がん剤を投与するという方法です。

腹腔内化学療法と言われます。腹腔内のがん細胞を制御するのに、有効な治療法です。

それによって、腹膜播種が綺麗に、消えるケースも、あります。

問題点として、この治療法が広く普及はしておらず、一部の施設でしか行われていないことです。

すい臓がんで腹水が多量にたまったときの治療法

腹水の量が非常に多いと、食事量が減り、全身の状態が悪くなることがあります。

そのような状況での、抗がん剤治療は、副作用の危険が高くなるので、慎重に行わないといけません。

前述した腹腔内化学療法は、比較的副作用が少ない治療なので、全身状態が良くなくて、体力が消耗していても、安心して受けることができます。

また、腹水でお腹が張って辛いという症状をとるために、小さな針をお腹にさして、腹水を抜くことがあります。

腹水だけを抜くと、体の栄養成分も、抜けてしまうということが、注意点として挙げられます。。

そのことを避けるために、腹水を抜いた後に、腹水を「ろ過+濃縮」して、腹水の中の栄養分だけを体内に戻す、腹水ろ過濃縮再静注法(CART)を行うことがあります。

膵がんによる背中の痛みは、もっと、とる事ができる。

膵がんの治療を受けるときに、最も大切なことは、症状をとることです。

痛みがあるときは、痛み止めを飲む事になります。なかなかとれない痛みであるならば、モルヒネといった医療用麻薬を用いることに、なります。

腹腔神経叢ブロックという治療で、痛みが劇的によくなることも、あります。

痛みをとることを中途半端にして、治療を受けるべきでは、ありません。

痛みがある結果、食事量が減ったり、睡眠不足になって、体力が落ちる事もあります。体力が落ちると、病院の治療に耐えられなってしまうかもしれません。

症状をとること、そして、体調を整えることを、第一目標にしましょう。

その上で、病院の治療を受けましょう。

膵臓がんの治療では、その部分が、肝要になります。

補足ですが、腹腔神経叢ブロックは、経験の多い医師にやってもらいましょう

 再発のすい臓がんは治る?それとも、末期で余命を数える段階?そして末期症状とは?

「再発=末期がん」と、思われがちですが、再発でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

また、膵臓がんの再発にも、いろんな状況が想定されます。

肝臓に再発した病巣が、1つだけある方
肺や肝臓に、無数の再発した病巣がある方
すべての抗がん剤治療を試み、治緩和ケアを提案される方

上記の通り、再発した膵臓がんといっても、いろんな段階があるのです。

そして、再発した膵臓がんであっても、完治にもってこれることも、あるのです。

さて、ここでは、効果の期待できる抗がん剤治療を、提案することができないほど、がんが進んでいる段階の対応について、詳しくお伝えします。

このような段階は、病気に伴う心と体の痛みを和らげる治療、つまり緩和医療が中心となります。

  • 痛みがあるときは、痛み止めの薬の量を調節する。
  • 精神的に落ち込んでいるときは、カウンセリングを受けたり、抗うつ薬の量を調節する。

このような治療を中心に行います。

もちろん、がんと診断された時期から、上記のことを、同時並行で行っています。「効果の期待できる抗がん剤治療を提案できない段階」は、これらを、より強化していくということです。

緩和医療を受けることも、より長く生きていくことにつながることは、証明されています。

抗がん剤、手術、放射線治療だけが、治療ではないのです。

抗がん剤、手術、放射線治療を受けなくても、体調を整えることを心がけるだけでも、より長く生きられます。

そのために、漢方や薬膳的な食事といった東洋医学も、取り入れるべき価値のあることです。

そして、毎日の生活に、楽しみを持ちながら、生活できるようにしましょう。

最後に、まとめとなりますが、すい臓がんと戦うためには、以下の点に注意が必要です。

  • 抗がん剤治療、放射線治療、手術をバランスよく用いる
  • 病院での治療で、体力を消耗しないようにすること
  • 適切な漢方
  • 適切な食事内容

その結果、膵臓がんによる症状を、楽にできます。

膵臓がんを、もっと小さくしていくことも、できます。

余命宣告をされていたとしても、もっと長く生きることは、できます。そして、膵臓がんに負けない体を作っていきましょう。

そのために、知っておくことがあります。

膵臓がんに負けない方法は、こちらで学ぶことができます。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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