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膵臓がんの腫瘍マーカーであるCEAやCA19-9などについて医師が解説

こんにちは。加藤隆佑です。

すい臓がんの検査項目の1つとして、腫瘍マーカーを調べることがあります。

そこで、膵臓がんの腫瘍マーカーであるCEAやCA19-9などについて解説します。

CEAやCA19-9のような、腫瘍マーカーを調べることにより、分かることは、以下の3つです。

  • 腫瘍マーカーが正常域を超えた数値の場合は、体の中にがんがある可能性がある。
  • 治療を行い、腫瘍マーカーが下がれば、治療は効果的であり、がんが縮小してきている可能性が高いと判断できる。
  • 治療を行っても、腫瘍マーカーが上昇するならば、治療は無効であり、がんが増大している可能性が高いと判断できる。

ここでは、膵癌の腫瘍マーカーについて、もう少し詳しく説明します。

腫瘍マーカーとは何か?

実は、多くの腫瘍マーカーは、がん細胞からだけではなく、正常な細胞でも作り出される物質です。

しかし、がん細胞の方が、正常な細胞よりも成長が早いために、よりたくさんの腫瘍マーカーを作ります。

その結果、腫瘍マーカーが基準値よりも高い時には、身体の中に、癌が存在している可能性が高いと、解釈できます。

腫瘍の大きさが大きいほど、腫瘍マーカーの数値は高くなる傾向があります。したがって、早期のがんでは、腫瘍マーカーは正常域内にとどまることが多いです。

つまり、がんがあっても、腫瘍マーカーは正常域にとどまっていることがあることは、知っておくべきことになります。

逆に腫瘍マーカーが高い数値でも、背景にがんが存在しないことがあります。

特に、以下の腫瘍マーカーは正常域から外れた数値であっても、背景にがんがないケースが多いです。

CEA:慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核などでも高値を示すことがあり、その確率は20~40%程度と考えられています。

CA19-9:胆管炎、慢性の膵炎や肝炎、閉塞性の黄疸、卵巣脳腫などでも高値を示すことがあり、その確率はおよそ5~10%程度です

CA125:子宮内膜症の50~65%程度、膿疱腺腫の20%程度でも高値を示すことがあります。

ここでいう高値とは、正常域から少しはみ出る程度の数値のことを指します。

腫瘍マーカーが数千というような数値である場合や、腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇する場合には、非常に高い確率で背景にがんがあるであろうと推測されます。

すい臓がんで用いられる腫瘍マーカーは?

すい臓がんの腫瘍マーカーとして、以下のものが挙げられます。

  • CA19─9
  • Span─1
  • CA50
  • CA242
  • Dupan─2
  • TAG─72
  • 尿中フコース
  • CEA
  • POA
  • TPS

ただし、これらすべてを用いるわけではありません。

この中でよく用いられるものは、CEAとCA19-9です。

腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇してきたらどうする?

定期検査の検査結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、腫瘍マーカーが、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がんが増殖してきている兆候であることが多いです。

治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

例えば、卵巣がんの事例になりますが、以下のような事例があります。

60歳代の女性

卵巣がんの手術後に、CA125が上昇してくる。

画像上でも、リンパ節に再発した疑いとなる。

しかし、漢方を内服し、腫瘍マーカーは再び下がり、がんの増大は抑えられる。

 

ちなみに、この方に飲んでいただいたのは、大青葉・山豆根という漢方です。

このように、腫瘍マーカーが上昇したときには、漢方は非常に重要な役目を果たします。

これは、膵臓がんにも言えることです。

腫瘍マーカーが上昇する兆候がある時には、なるべく早くがんを抑えるアクションを取るべきです。

そのためにすべきことの1つが、漢方を取り入れることです。

膵臓がんの成長を、強力に抑えられます

膵臓がんを打ち負かす方法は、こちらで学べます。

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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