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膵臓癌の症状と検査そして治療の流れを医師が解説!がん克服のために知ってほしい事

 2018/04/05 膵臓がん  

こんにちは。加藤隆佑です。総合病院でがん治療を専門として働いています。

もし、あなたが、膵臓がんを疑わせる症状がある時は、検査を受けて欲しいです。

膵臓がんは、早期の段階で、発見できれば、完治が望める病気だからです。

本日は、膵臓がんを疑わせる症状と、膵臓がんの診断のために、必要な検査について、解説いたします。

さらに、膵臓がんのステージごとの治療方針をお話します。

実は、生存率をあげたり、再発率をさげるために、取り入れるべきことがあります。

さらに、ちょっとした工夫で、治療に用いる抗がん剤の副作用をへらして、がんの治療で体力を消耗しないようにすることは、できます。

私の16年間の膵臓がん治療の経験と、医学的なデータをもとに、膵臓がんを克服するコツを説明いたします。

膵臓がんの初期症状(自覚症状)

膵臓は、胃の後ろの深部にあります。がんが発生しても症状が出にくく、早期の発見は非常に難しいです。しかし、早期の段階で見つかることも、あります。

症状がでるとしたら、腹痛、食欲不振、黄疸(体が黄色くなること)、腰や背中の痛みです。すい臓がんのために、糖尿病を発症することもあります。

しかし、これらの症状は、すい臓がん以外の理由でも起こることがあります。いづれにせよ、このような症状のときは、病院で検査を受ける必要があります。

 

膵臓がんが疑われた時に行う検査

超音波検査、CTを行います。

膵臓がんの腹部エコー検査

超音波を発生する機械を、おなかにあて、お腹の中を観察します。

痛みはなく、負担が少ない検査です。

エコー検査で膵臓を観察することができますが、患者さんの体形や状態によっては、膵臓をくまなく観察できないことがあります。

特に膵臓の尾部(膵臓のハジの部分)は、腹部エコーにより、しっかり調べることが難しい部位です。

膵臓がんのCT検査

膵がんを示唆する所見が無いか?を確認するために、CT検査をします。

もし、膵がんを示唆する所見があったら、以下のことも、確認します。

  • 画像所見から、膵がんとして矛盾しないか?
  • 膵がんが、遠くの臓器(肺や肝臓)への転移はないか?
  • 膵臓から遠く離れたリンパ節への転移はないか?
  • 膵臓の周りの臓器(十二指腸や腎臓)へ、膵臓がんが浸潤していないか?
  • 膵臓がんが、上腸間膜動脈といった重要な血管に浸潤していないか?
  • 腹水はないか?

CT検査は非常に重要な検査です。

大半のケースは、これだけの検査で、膵がんの診断ならびに、膵がんの広がりが、分かります。さらに治療方針の大まかなことを判断できます。

もし、これらの検査で、膵がんを疑わせる所見がなければ、一安心できます。

ただし、非常に早期の膵がんは、これらの検査であっても、発見できないことはあります。したがって、早期の膵がんの存在を完全に否定できなければ、経過を追う必要が出てきます。

つまり、定期的に、検査を受けて、膵がんを示唆する所見が出現しないかを、確認するということです。

さて、典型的な膵がんであれば、画像診断だけで、診断はできます。しかし、念のために、内視鏡を用いて細胞を採取する検査を行い、細胞レベルでも、膵臓がんであることを確認した上で、治療に踏み切るケースことが多いです。

そこで、内視鏡検査について、説明していきます。

膵臓がんの内視鏡検査

膵臓がんの内視鏡検査をする目的は、2つあります。

1つ目は、膵がんの細胞採取を試みるためです。このときに用いられる機械は超音波内視鏡です。

超音波内視鏡検査による膵がんの細胞採取とは?

超音波装置の付いた内視鏡を口から入れます。

そして、胃や十二指腸の中から、超音波を出すことにより膵臓の腫瘍の部分を描出します。

次に、腫瘍の部分に針を刺して、腫瘍の細胞を採取します。

穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)といいます。

太い内視鏡を用いるので、非常に苦しい検査となります。

そこで、検査の際には、少し眠くなる薬を注射することによって、楽に検査を受けられるようにします。

検査時間は30分前後です。

採取した細胞を顕微鏡で調べて、がんかどうかを確認します。

もし顕微鏡でがん細胞を認めなくても、CT所見などから膵がんが強く疑われる場合には、手術をすることもあります。

膵がんによって黄疸になった場合は、内視鏡で治療ができる。

内視鏡検査の目的のもう1つは、膵がんによって生じた黄疸をよくすることです。

実は、胆汁の流れ道である胆管というところに、膵がんが浸潤することがあります。そうすると、胆汁がスムーズに流れなくなり。黄疸がでるのです。

そこで、狭窄した胆管にステント(ストローのようなもの)を留置します。

その結果、ステントの中を通って、再び胆汁はスムーズに流れるようになります。

その結果、黄疸は良くなります。

この治療は胆汁の流れをスムーズにするだけであり、膵がんそのものの治療ではありません。

胆汁がスムーズに流れるようになったら、手術や抗がん剤による治療を検討します。

この内視鏡検査は、検査時間が30から60分と、やや長い時間がかかります。

そこで、検査の際には、少し眠くなる薬を注射することによって、楽に検査を受けられるようにします。

次に、膵がんが疑われる時に行われる、血液検査の詳細を説明していきます。

膵臓がんにおける血液検査とは?

血液検査によって、以下のことがわかります。

腫瘍マーカー

膵臓がんではCEAやCA19-9と呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。

がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。

臓器の機能が正常化かどうか?

腎機能や肝臓の機能を確認します。

もしこれらの臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。

糖尿病がないかどうかも、チェックします。

糖尿病があり血糖値が高いときは、膵臓がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないこともあります。

手術ができる段階の膵臓がんとは?

以下のような状況であれば、膵臓がんを手術で取り除けることになります。

  • リンパ節の転移が膵臓の周囲にとどまってる。
  • 肝臓や肺といった臓器に転移がない。
  • お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれている所見(腹水など)がない。
  • 膵臓がんが、上腸間膜動脈といった重要な血管に浸潤していない。

ただし、「お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれていないか?」は、実際にお腹の中を見てみないとはっきりしないこともあります。

そこで、手術の際に、審査腹腔鏡という検査をして、「お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれていないか?」を確認した上で、膵臓の切除に臨むケースが多いです。

膵臓がんの審査腹腔鏡検査とは?

審査腹腔鏡とは、お腹に小さな穴をあけて、そこから腹腔鏡というカメラを挿入して、お腹の中に膵臓がんが、ばらまかれていないかを確認する検査のことです。

ちなみに、膵がんのステージの詳細は、以下のようにして決められます。

膵がんステージ1:膵がんの大きさが、2センチ以下

膵がんステージ2:膵がんの大きさが、4センチ以下

膵がんステージ3:膵がんが、腹腔動脈、上腸間膜動脈、もしくは総肝動脈へ及ぶ。

腸や肝臓を栄養する血管に、膵臓がんが及ぶと、ステージ3になります。

大きさだけでいえば、ステージ1である15ミリという非常に小さながんが、腹腔動脈に食い込めば、ステージ3になるということです。

膵がんステージ4:肺、肝臓、腹膜といった臓器に、転移がある。

最後に、膵臓がんのステージごとの治療法の、大まかなことを、説明いたします。

すい臓がんのステージに応じた治療法

すい臓がんステージ1、ステージ2の治療

手術で、膵臓がんを取り除きます。

その後は、抗がん剤治療を短期間受けることにより、再発率をさらに下げます。

用いる抗がん剤として、TS-1という飲み薬の抗がん剤になります。

再発の危険度は、非常に高いです。その後、何も治療を受けなければ、8割の方は、再発します。

再発を抑えるために、TS-1という抗がん剤を1年飲むことが大切です。

そのような治療により、再発率は、数%下がります。

5年間無再発でいられる割合を、約35%まで上げることができるのです。

そうはいっても、5年生存率が、高いとは言えません。手術で弱った体に追い打ちをかけるように、再発ケースも、珍しくありません。

そのようなときは、打つ手がありません。体が弱っていて、追加の治療を十分にできないからです。


そこで、最近は、ステージ1やステージ2の膵がんで、手術で切除できると予測されても、「手術前に、放射線治療と抗がん剤治療(もしくは抗がん剤治療だけ)」で、がんを縮小させてから、手術に踏み切るという流れが、台頭しています。

私も、そのような治療法を提案することが、多くなりました。

手術でとれる状態なのに、先に抗がん剤治療をして、手遅れにならないか?

ステージ1やステージ2の膵がんで、手術で切除できると予測されても、「手術前に、放射線治療と抗がん剤治療(もしくは抗がん剤治療だけ)」を行うことに、不安を感じる患者さんはいます。

手術でとれるものは、早く切除してほしい。。。

このような気持ちはよくわかります。

しかし、「手術前に、放射線治療と抗がん剤治療(もしくは抗がん剤治療だけ)」をした方が、膵臓がんをとりきれる可能性が、より高くなることは、判明しています。

さらに、手術後の再発率も下がるのです。

このことは、2019年1月に、Prep-02/JSAP-05 という臨床試験の結果として、アメリカの学会で発表されています。

抗がん剤以外にも、膵がんの再発率を減らす方法はある。

漢方や、薬膳的な食事といった、東洋医学的なことを、加えましょう。

再発する確率を、さらに、0に近づけることができます

この段階で、漢方や、薬膳的な食事を取り入れることは、非常に重要です。

例えば、以下のような医学的なデータがあります。

—–

877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討した愛知がんセンターからの報告。

豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になる。

—–

上のデータは、「胃がんにおいて、食事内容と治療成績に関連がある」というものです。

これは胃がんにおけるお話ですが、膵臓がんでも同じでしょう。

膵臓がんを抑えることと、食事内容には、強い関係があることを、知っておいてほしいです。

また、漢方は、しっかりと知識のある人に助言を求めると良いです。

それ以外の注意点として、膵臓の切除のために、思ったように食事が取れなくなることが、あります。

膵臓の手術は、他のがんに比べると、体に、負担がかかるのです。

そこで、食事の食べ方を工夫したり、薬膳的な食事を取り入れると良いです。

つまり、以下の3つのことをバランス良く、活用することが大切です。

  • 適切な西洋医療
  • 適切な食事内容
  • 適切な東洋医学(漢方)

膵がんに負けないために、知って欲しいことは、こちらでも説明しています。

すい臓がんステージ3の治療

腸や肝臓を栄養する血管に、膵臓がんが及ぶと、ステージ3になります。

そのような血管に、「少し接する」程度の膵がんであれば、手術で切除することはできます。しかし、手術をしても、再発率が高いです。

そこで、手術の前に、「抗がん剤+放射線治療(もしくは抗がん剤治療単独)」による治療で、がんの縮小を図った上で、手術をするのが、主流になってきています。

また、腸や肝臓を栄養する血管に、「深く食い込んでいる」場合は、手術で切除することはできません。

その場合は、「抗がん剤+放射線治療(もしくは抗がん剤単独)」による治療で、縮小を図ります。

そして、手術ができるくらい縮小した場合には、手術を検討します。


先ほど、放射線治療と書きましたが、もし経済的な余裕があるならば、重粒子線治療を、検討してもよいでしょう。

重粒子線治療の方が、よりよい治療結果が期待できるケースがあることを、忘れてはいけません。

ここで、1つ特殊な手術法をご紹介いたします。

腹腔動脈合併尾側膵切除術(DP-CAR)です。

「腸や肝臓を栄養する血管の1つに、腹腔動脈というのがあり、ここに食い込んでいると手術ができない」というお話を、先ほどしました。

しかし、腹腔動脈に深く食い込んでいても、DP-CARならば、がんを、安全に切除することができるのです。

仮に切除したとしても、術後に、再発率が高いことは、避けられません。従って、手術前に、「抗がん剤+放射線治療(もしくは抗がん剤単独)による治療」を受けるか、手術後に、抗がん剤治療を受けるかが、必要になります。

ここまでのことで、大切なことを、まとめます。

膵臓がんは、手術単独では、なかなか完治にもってこれません。抗がん剤治療を併用することが、必須です。

だからこそ、手術を受けたあとに、抗がん剤治療を受けられるだけの体力を残すことも、大切です。

病院で手術を受けた時には、リハビリをがんばって受けて、体力をつけましょう。

膵臓がんに対する重粒子線治療の効果

粒子線治療とは、先進医療になり、保険診療にはなりません。そして費用として300万円前後かかります。

炭素線治療、陽子線治療はすべて、粒子線治療に分類されるものです。

さて、重粒子線治療は、通常の放射線治療よりも、ずっと効果があると、思われている方は多いです。

しかし、実際は、ケースバイケースです。

例えば、膵臓がんが、小腸や十二指腸と数mm程度しか距離が、離れていないときがあります。

そのような場合に、がんを死に追いやるほどの重粒子線を照射してしまうと、腸に穴があいてしまいます。

つまり、「小腸や十二指腸と数mm程度しか距離がない」場合は、重粒子線を十分な量を、当てることができないのです。

そうなってしまうと、治療効果も、下がることでしょう。通常の放射線治療と、効果がほぼ同等になってしまう可能性の方が高いです。

さらに、専門性の高い話をするならば、以下のようなことも、言えます。

重粒子線治療ではなく、通常の放射線治療を行うことになったとしても、「呼吸によって病変が動くことにも、対応できる照射」をすると、「がんに対して、より高い線量を照射することができ、がんを制御する確率が高くなる」ことに、つながる。

放射線治療というのは、実は、照射を計画してくださる医師の腕や、照射の機械によって、治療成績が異なることを忘れてはいけません。

さて、この説明から、「粒子線治療は、通常の放射線治療と同じくらいである」と思われたかもしれませんが、そうではありません。

粒子線治療だからこそ、非常に良い治療成績に導くことができるケースがあるのも、事実です。

結論として、経済的に余裕があり、粒子線治療を受けることができる膵臓がんの状態ならば、粒子線治療を受けた方が良いと、私は、考えています。

膵臓がんステージ4(もしくは、再発)の治療

肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。この状態は、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

手術による治療では、がんをすべて取り除けないために、抗がん剤治療が中心となります。

抗がん剤であれば、体の血流にのって、体中にひろがったがん細胞に、がんを倒す薬の成分を、行き渡らせることができるからです。

その治療により、体に広く散らばっているがんが、制御できたと予想される場合は、根治を目指した手術が、なされることも、あります。

ステージ4の膵臓がんの治療の詳細は、こちらです。

膵臓がんは、完治を望める病気になりました。

膵臓がんは、以前に比べると、克服できる病気になってきました。

一方で、さらに、生存率をあげたり、再発率をさげるために、病院の治療に加えて、取り入れるべきことも、あります。

病院で受ける治療は大切ですが、それだけでは、十分ではないのです。

余命宣告をされていたとしても、もっと長く生きることは、できます。

そして、膵臓がんに負けない体を作っていきましょう。そのために、知っておくことがあります。

すい臓がんに負けない方法は、こちらで学ぶことができます。

 

 

 

 

 

 

参考文献

NCCNガイドライン(膵臓癌)

がん情報サービス(膵臓がん)

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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