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がんでの漢方の効果を医師が解説!再発予防や、たとえ末期状態でも癌を抑える方法

漢方  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療専門医として、小樽協会病院という総合病院で勤務しています。

がんの漢方外来も運営しています。

さて、病院でのがんの治療に、漢方を併用するとよいです。そのことについて、詳しく説明していきます。

目次

漢方はがんの治療で重要な役目を果たすことができる

漢方薬は、自然界にある植物や鉱物などの生薬を複数組み合わせて作られた薬のことです。

膨大な数の組み合わせ方がありますが、そのうちの代表的なものを保険診療の中で処方できるようになりました。

そしてがんの治療においても漢方は非常に役立つことが判明しています。

たとえば、以下のような報告があります。

・十全大補湯によって、抗がん剤による白血球減少を改善させることができたという報告

・半夏瀉心湯によって、イリノテカンという抗がん剤の副作用の1つである下痢を有意に抑制するという報告

・漢方によって、がんが縮小したという報告

・抗がん剤治療に漢方を追加すると、生存期間がのびたという報告

・がんによるさまざまな症状が、漢方で改善したという報告

つまり、漢方によって抗がん剤の副作用の軽減、がんの増殖の抑制、がんによる症状の改善、生存期間の延長が期待できます。

いろんながんにおける漢方の有用性は、示されています。

たとえば、すい臓がんにも、漢方は効果を発揮することは、できる。

以下のようなことが、期待できます。

漢方による、すい臓がんの術後の再発防止(再発予防)

漢方による、すい臓がんに用いられる抗がん剤の副作用の軽減

漢方による、すい臓がんに用いられる抗がん剤と併用して、抗がん剤の効果を高める

漢方による、すい臓がんによる倦怠感、食欲不振の改善し、免疫力を上げる

漢方による、すい臓がんによる腹水を減らし、むくみを改善させる

すい臓がん以外のがんであっても、漢方は効果を発揮します。

さて、漢方の扱いは奥が深いので医師によって漢方の扱いに得手不得手はありますが、医師の9割は漢方を処方した経験があるという報告もありますので、お願いをしたら漢方を処方してくれるかもしれません。

がんの治療に漢方を加えることにより、今以上に楽に治療を受けてがんを克服できる確率をあげてれます。

漢方を併用して、がんの治療を受けていくために知っておいてほしいことがあります。

 

漢方だけで、がんを完治に導くことはできるのか?

さて、漢方だけで、がんを完治に導くことができるかについてです。

このような患者さんは、いらっしゃいます。

完治に導くことはできなくても、ずっとがんの大きさが変わらない状態を維持できる方も、います。

抗がん剤や放射線治療の副作用が全くなく、治療を受けられる方もいらっしゃいます。

漢方をたすことのメリットは複数ありますが、足さない理由はないでしょう。

漢方には、保険適応のあるものから、そうでないものまで、ある

私は、保険適応のある漢方で、有効なものがあるので、用いることは、あります。しかし、抗がん性の高い漢方は、病院で処方されるものの中にはありません。

保険診療で処方できるものは、体質を改善させるレベルものになるでしょう。がんに対する抵抗力をつけるというイメージです。

一方で、保険適応でないもので、抗がん性の高い漢方もあります。私はそのような漢方を併用することは多いです。

末期でホスピスに行くしかないと言われても、できることはある

主治医から「受けることができる治療がこれ以上はない」と言われても、実際はそうではないことはあります。

ガイドラインに書いてあるような標準的な治療はもう効かないかもしれませんが、保険診療内であなたにあう治療があることは珍しくありません。

主治医にこれ以上の治療法がないと言われても、そうではないのです。あなたにある程度の体力があり、ある程度の食事がとれるならば、がんを抑えるためにすべきことがある可能性は非常に高いです。

たとえば、漢方を追加することにより体調がよくなり、体力がつくことがあります。

私の担当している患者さんで腫瘍マーカーがさがり、がんが縮小した人もいます。

体力がつけば免疫状態も改善するので、がんをより抑えられるのでしょう。

がんと戦える体力があるならば、がんを抑えるためにすべきことはあるのです。

 

漢方に代表される東洋医学には、薬膳という食事法も、あります。

さて、漢方は、植物の成分を抽出したものを用いることが多いです。食べ物が漢方になることもあります。その代表は、生姜(ショウガ)です。生姜を乾燥させて、漢方として用いることもできるのです。

このことからも、医食同源と言えるでしょう。

そこで食事が、がんに与える影響についても、説明します。

食事内容を工夫すると、がんをさらに抑えられる?

がんの食事療法と言うと、「ゲルソン療法」「済陽(わたよう)食事療法」に代表されるものが、世間では、広まっています。

これらの食事療法の是非はともあれ、食事内容が、がんの生存期間に影響を与えることができることは、医学的なデータからも、判明しています。

クルミといったようなナッツを摂取で、大腸がんの5年生存率を15%上げられる

非常に権威のあるアメリカ臨床がん学会の学会誌に、抗がん剤治療以外の方法でステージ3の大腸がんの再発率を低くして5年生存率を高くする食べ物があるという論文が掲載されました。

その食べ物とは、クルミといったナッツです。

論文の詳細ですが、大腸がんのステージ3の手術後にナッツをたくさん摂取したグループと、摂取しなかったグループを比較すると、ナッツ摂取群の方が15%も5年生存率がよかったという結論が得られたのです。

5年生存率で15%も差をつけたという結果は、おどろくべきことです。

ナッツは術後の抗がん剤治療に匹敵するものと言えるでしょう。

ただし、この結論から抗がん剤治療を受ける代わりにナッツを食べようという解釈はしないでください。

病院で適切な治療を受けつつ、食生活に気をつけると、より良い治療結果になると解釈して欲しいです。

今回ご紹介した論文以外の複数の医学的なデータからも、食事内容が、がんの治療成績に非常に影響を与えることは、示唆されています。

 

さて、「ナッツ摂取群の方が、15%も5年生存率がよかった」というのは、オメガ3脂肪酸という脂質をナッツを通してたくさん摂取したということが理由の1つとなります。がんと戦う上で「オメガ3脂肪酸」はがんに負けない体を作る食事で意識しないといけないキーワードになるのでしょう。

食物繊維をたくさんとるほど、5年生存率をあげられる

食物繊維を適度にとると、大腸がんの生存率をよくするというデータがあります。「食物繊維」もキーワードになります。最近の医学的なデータを見てみると、食事内容を工夫した方が大腸がんの生存率がよくなることは間違いなさそうです。

今回のデータは、大腸がんですが、それ以外のがんについても、同じことは当てはまることでしょう。

脂質の取り方を注意すると、生存率をあげることができる。

乳がんに関しては、このような報告がされています。

食事が、生存率に影響を与えることを証明しているデータは、それ以外にも複数あります。

適切な食事療法が、5年生存率に影響を与えることは、間違いはないでしょう。

極端な内容の食事法を行うことは、危険が伴う。

注意しないといけないことは、極端な食事療法を提案する医師がいるということです。

たとえば糖質制限食を推奨する医師がいます。塩分を取らない方が良いと主張される医師もいます。

そのような食事療法をして体調を崩さなければ良いのですが、あまりに極端な食事内容のために体調を崩す人がいます。

特殊な食事法を取り入れて体調が悪くなった場合は、本当にその食事法が体にあっているか否かをしっかり考えてください。

誤った知識に基づいて食事内容に気をつけることは、がんの治療成績を下げることにつながりかねません。

済陽式の食事法やゲルソン療法の注意点の1つが塩分の取り方

これらの食事療法の特徴の1つが、食事を無塩にすることです。

その結果、体調を崩す人をみてきました。

しかし、実際のところは、無塩にしなくても、がんの制御はできます。

私は、無塩にすることは、体調を崩す可能性があり、推奨はできないと考えます。

それ以外にも、何個かの問題点はあります。

がんに、玄米は、本当に推奨されるのか?

詳細は省きますが、玄米は推奨できません。

がんに、ミルクやヨーグルトといった乳製品を、本当にとっていけないのか?

いろんな制約はありますが、結論だけいうならば、摂取しても良いです。

がんに、肉といった動物性たんぱく質を、本当にとってはいけないのか?

いろんな制約はありますが、結論だけいうならば、摂取しても良いです。

病院で適切ながんの治療を受けながら、食事内容を工夫して栄養を管理しよう

一部の患者さんは、近代医学を否定し、化学薬品を一切身体に入れないようにして、がんと向き合っています。

私は、適切な食事療法・適切な運動・適切な病院の治療をバランスよく取り入れるの、が重要と考えます。

一方で、以下のような人が多いのも、事実です。

  • 全く運動をしない
  • 副作用のために、体が衰弱する
  • 食事内容を全く気にしない

ちゃんとバランスのとれたことをやっていくことが、大切なのです。

なぜ医師は、がんを食事を工夫して抑えようとすることを否定するのか?

しっかりとした医学的なデータで、食事内容を気をつけることによって、5年生存率をあげることは、判明しています。

そうにも関わらず、がん食事療法を否定する医師は、たくさんいます。

そのような理由は、以下のような感じになるのでしょう。

  • 食事内容と5年生存率には大きな関係があるというデータを知らない
  • 食事療法だけで治そうとして、病院の治療を受けなかったために、悲惨な思いをした患者さんに、関わってきたため

私も、後者のような患者さんは、たまに見かけます。

適切な食事療法・適切な運動・適切な病院の治療をバランスよく取り入れるのが、重要です。

食事を気をつけるだけで、本当にがんは小さくなったり、消えるのか?

先ほど5年生存率をあげることは、お話しました。

それでは、食事療法だけでがんが縮小するのか?という疑問を持たれる人もいることでしょう。

結論は、います。

食事療法だけで小さくなった人、漢方だけで小さくなった人は、ちゃんといます。

1つ事例をだします。

私の担当している60歳代の卵巣がんの患者様。

当初は抗がん剤で治療をしていたが、リンパ節に卵巣がんが再発する。

抗がん剤は効果がないと予想される状況になったために、漢方と食事療法で治療をする。

再発しているリンパ節が小さくなり、腫瘍マーカーもさがる。

さて、がんが小さくならなくても、がんによる症状がとれる人も、います。

適切な食事療法は、体に負担を与えるものではないので、試みるべきものでしょう。

適切な食事療法を実行するために、知っていてほしいことを、こちらに公開しています。

 

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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