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がん治療中の誤嚥性肺炎を予防の秘訣は?食事形態や姿勢の工夫を医師が解説

こんにちは。加藤隆佑です。

がんの治療中に、肺炎になることがあります。

そして、よくある肺炎の1つが誤嚥性肺炎です。

食事を誤嚥することにより、肺炎になってしまうのです。

しかし、適切な対応をすることにより、誤嚥性肺炎になる可能性をさげることができます。

ちなみに、誤嚥とは、食べ物が胃に行かずに、気管に落ちてしまうことです。

注意点として、食事で、明らかなムセがなくても、誤嚥していることは、あります。

ムセは、気管が、異物を外に出そうとする反射なので、ムセのない誤嚥は、誤嚥性肺炎になる可能性が高いといえます。

食事中以外だけでなく、睡眠中にも、誤嚥が起きることがあります。

どのような方が、誤嚥性肺炎になりやすい?

飲み込む力が低下すると、誤嚥性肺炎になりやすくなります。

そして、以下のような方に、飲み込む力が低下しやすくなると言われています。

  • 脳血管障害の急性期
  • 長期間、人口呼吸器をつけていた場合
  • パーキンソン病、アルツハイマー認知症といった精神疾患

主な原因を列挙しましたが、これら以外の原因でも、誤嚥性肺炎になることはあります。

また、がんにより、体が弱ってくると、誤嚥性肺炎になりやすくなります。

嚥下する力を評価してみましょう。

嚥下する力を評価する方法は、何個かあります。

簡単にできる方法を1つご紹介します。

反復唾液飲み込みテストです。

反復唾液飲み込みテストとは?

30秒間に、何回、唾液を飲み込むことができるかを確認します。

もし3回未満ならば、嚥下機能が低下している可能性があります。

嚥下する力が低下しているときの対処法とは?

食事を食べるときの姿勢の工夫、食事の形態の工夫、食事の介助の工夫をするとよいです。

食事を食べるときの姿勢の工夫について

  • 椅子に深くこしかける。
  • 足裏が床につく高さ
  • テーブルに腕が楽につける高さ

この3点を気をつけてください。

ベット上で食べるときは、30から60度ベットをあげて、食べるようにしましょう。

食事の介助の工夫について

食べる人が、アゴが上がらないようにして、食べられるように、介助しましょう。

そして、食べ始めと食べ終わりが、最も誤嚥しやすいと言われています。このときに、特に注意を払ってください。

食事を舌の真ん中にしっかり置いてあげる、しっかりと口を閉じてからスプーンを引き抜くという、スプーンテクニックも必要です。

一口食べたら、食べ物が口の中に残っていないかを確認します。もし、口の中に残っていなくても、喉に食事が残っていることがあります。

したがって、1口食べたら、声をだしてもらい、ガラガラ声になっていないかも確認してください。

食事の形態の工夫について

嚥下機能が低下しているときには、食事の形態にも、工夫が必要です。

  • とろみをつける
  • どの程度、食事を刻むか?

このあたりの点については、病院に在住している嚥下のリハビリをするスタッフにアドバイスをもらうとよいでしょう。

本日のまとめ

がんの治療中は、誤嚥性肺炎を起こさないように、日常生活の工夫をする必要になることもあります。

本日、ご説明したことを参考にしていただけると幸いです。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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