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がん治療中の食事内容を改善することの効果を医師が解説!肉、乳製品、玄米の注意点

食事  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療専門医として、小樽協会病院という総合病院で勤務しています。

さて、今日は、がんに対する食事についてのお話です。

私は、長く食事の指導に関わってきているので、その経験もふまえて、説明していきます。

がんの治療中に食事内容を改善すると、がんの治療成績は良くなる?

がんの食事療法と言うと、「ゲルソン療法」「済陽(わたよう)食事療法」に代表されるものが、世間では、広まっています。

これらの食事療法の是非はともあれ、食事内容が、がんの生存期間に影響を与えることができることは、医学的なデータからも、判明しています。

クルミといったようなナッツを摂取で、大腸がんの5年生存率を15%上げられる

非常に権威のあるアメリカ臨床がん学会の学会誌に、抗がん剤治療以外の方法でステージ3の大腸がんの再発率を低くして5年生存率を高くする食べ物があるという論文が掲載されました。

その食べ物とは、クルミといったナッツです。

論文の詳細ですが、大腸がんのステージ3の手術後にナッツをたくさん摂取したグループと、摂取しなかったグループを比較すると、ナッツ摂取群の方が15%も5年生存率がよかったという結論が得られたのです。

5年生存率で15%も差をつけたという結果は、おどろくべきことです。

ナッツは術後の抗がん剤治療に匹敵するものと言えるでしょう。

ただし、この結論から抗がん剤治療を受ける代わりにナッツを食べようという解釈はしないでください。

病院で適切な治療を受けつつ、食生活に気をつけると、より良い治療結果になると解釈して欲しいです。

今回ご紹介した論文以外の複数の医学的なデータからも、食事内容が、がんの治療成績に非常に影響を与えることは、示唆されています。

さて、「ナッツ摂取群の方が、15%も5年生存率がよかった」というのは、オメガ3脂肪酸という脂質をナッツを通してたくさん摂取したということが理由の1つとなります。

がんと戦う上で「オメガ3脂肪酸」はがんに負けない体を作る食事で意識しないといけないキーワードになるのでしょう。

食物繊維をたくさんとるほど、5年生存率をあげられる

食物繊維を適度にとると、大腸がんの生存率をよくするというデータがあります。「食物繊維」もキーワードになります。最近の医学的なデータを見てみると、食事内容を工夫した方が大腸がんの生存率がよくなることは間違いなさそうです。

今回のデータは、大腸がんですが、それ以外のがんについても、同じことは当てはまることでしょう。

脂質の取り方を注意すると、生存率をあげることができる。

乳がんに関しては、このような報告がされています。

食事が、生存率に影響を与えることを証明しているデータは、それ以外にも複数あります。

適切な食事療法が、5年生存率に影響を与えることは、間違いはないでしょう。

極端な内容の食事療法を行うことは、危険が伴う。

注意しないといけないことは、極端な食事療法を提案する医師がいるということです。

たとえば糖質制限食を推奨する医師がいます。塩分を取らない方が良いと主張される医師もいます。

そのような食事療法をして体調を崩さなければ良いのですが、あまりに極端な食事内容のために体調を崩す人がいます。

特殊な食事法を取り入れて体調が悪くなった場合は、本当にその食事法が体にあっているか否かをしっかり考えてください。

誤った知識に基づいて食事内容に気をつけることは、がんの治療成績を下げることにつながりかねません。

済陽式の食事療法やゲルソン療法の注意点の1つが塩分の取り方

これらの食事療法の特徴の1つが、食事を無塩にすることです。

その結果、体調を崩す人をみてきました。

しかし、実際のところは、無塩にしなくても、がんの制御はできます。

私は、無塩にすることは、体調を崩す可能性があり、推奨はできないと考えます。

それ以外にも、何個かの問題点はあります。

がんに、玄米は、本当に推奨されるのか?

詳細は省きますが、玄米は推奨できません。

がんに、ミルクやヨーグルトといった乳製品を、本当にとっていけないのか?

いろんな制約はありますが、結論だけいうならば、摂取しても良いです。

がんに、肉といった動物性たんぱく質を、本当にとってはいけないのか?

いろんな制約はありますが、結論だけいうならば、摂取しても良いです。

食事療法については、こちらでも、詳しく説明しています。

 

病院で適切ながんの治療を受けながら、食事療法で栄養を管理しよう

一部の患者さんは、近代医学を否定し、化学薬品を一切身体に入れないようにして、がんと向き合っています。

私は、適切な食事療法・適切な運動・適切な病院の治療をバランスよく取り入れるの、が重要と考えます。

一方で、以下のような人が多いのも、事実です。

  • 全く運動をしない
  • 副作用のために、体が衰弱する
  • 食事内容を全く気にしない

ちゃんとバランスのとれたことをやっていくことが、大切なのです。

がんの手術後の食事について

がんの手術後は体力が落ちています。

退院の直後から以前と同じような生活を送ると体に負担を与えます。体力の温存を意識して生活することが大切です。

また腹部の手術後しばらくは、なるべく消化のよいものを食べましょう。以下のものを大量に食べると腸閉塞を起こすことがあるからです。

  • ごぼうといった繊維質の多いもの
  • 水分を吸って膨らむ昆布などの海藻類
  • 噛まないで飲み込みがちなそばや、中華麺

手術後しばらくはこれらの食品を控えめにするか、細かく刻みよく噛んで少しずつ食べましょう。

注意点ですが、これらのものを食べてはいけないと言っているわけではありません。

たとえば繊維が多いものは体に必要なものであり、むしろ積極的に体に取り入れて欲しいです。

そこで、取り入れる量や食べ方には注意を払っていきましょう。その際には、調理法を工夫するという手もあります。

なぜ医師は、がん食事療法を否定するのか?

しっかりとした医学的なデータで、食事内容を気をつけることによって、5年生存率をあげることは、判明しています。

そうにも関わらず、がん食事療法を否定する医師は、たくさんいます。

そのような理由は、以下のような感じになるのでしょう。

  • 食事内容と5年生存率には大きな関係があるというデータを知らない
  • 食事療法だけで治そうとして、病院の治療を受けなかったために、悲惨な思いをした患者さんに、関わってきたため

私も、後者のような患者さんは、たまに見かけます。

適切な食事療法・適切な運動・適切な病院の治療をバランスよく取り入れるのが、重要です。

食事療法だけで、本当にがんは小さくなったり、消えるのか?

先ほど5年生存率をあげることは、お話しました。

それでは、食事療法だけでがんが縮小するのか?という疑問を持たれる人もいることでしょう。

結論は、います。

食事療法だけで小さくなった人、漢方だけで小さくなった人は、ちゃんといます。

1つ事例をだします。

私の担当している60歳代の卵巣がんの患者様。

当初は抗がん剤で治療をしていたが、リンパ節に卵巣がんが再発する。

抗がん剤は効果がないと予想される状況になったために、漢方と食事療法で治療をする。

再発しているリンパ節が小さくなり、腫瘍マーカーもさがる。

さて、がんが小さくならなくても、がんによる症状がとれる人も、います。

たとえば、乳がんによる胸水が消失した人もいます。

適切な食事療法は、体に負担を与えるものではないので、試みるべきものでしょう。

適切な食事療法を実行するために、知っていてほしいことを、こちらに公開しています。

 

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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