1. TOP
  2. 抗がん剤と副作用
  3. オプジーボを投与中に、がんが増大したとしても、がんが縮小することがある!

オプジーボを投与中に、がんが増大したとしても、がんが縮小することがある!

こんにちは。加藤隆佑です。

オプジーボという免疫チェックポイント阻害薬があります。

がんを制御する上で、とても重要な薬になります。

本日は、オプジーボを投与中に、がんが増大したときの対処法をお伝えします。

オプジーボとは、どういう薬?

オプジーボは、免疫チェックポイント阻害薬という薬に分類されます。

この薬のメカニズムを説明します。

自分の免疫細胞が、がん細胞を異物として認識できなくなることがあります。

この原因の1つが、がん細胞が作り出すPD-L1というたんぱく質にあります。

がん細胞の表面にPD-L1というたんぱく質があると、本来であればがん細胞を攻撃するはずの免疫細胞の働きにブレーキがかけられてしまうのです。

しかし、この薬を用いると、ブレーキのかかった免疫細胞の働きを再活性化させることが、できます。

オプジーボは、このようなメカニズムで、がんを制御します。

オプジーボ投与中に、がんが大きくなったときは、どうする?

オプジーボの効果には、個人差があります。

そして、効果がでない方は、オプジーボを投与しても、がんは、増大します。

一方で、オプジーボを投与して、がんは、大きくなり続けてるように見えても、実は、がんが大きくなっていないことが、あります。

免疫細胞が、がん細胞に浸潤すると、がんが、成長しているように見えることが、あるということです。

また、オプジーボの効果がでてくるまでに、平均して1.6ヶ月、長いと数ヶ月かかることも、あります。

オプジーボの投与中に、本当にがんが大きくなっているのか?そうでないかを、しっかり考えないといけません。

オプジーボが原因で、急速にがんが、増大することもある。

オプジーボの投与が原因で、逆に、急速ながんの増大を認めることが、あります。

がんが大きくなったように、見えているわけではなく、本当に、がんが大きくなってしまうのです。

その場合は、オプジーボをストップしないといけません。

さて、オプジーボを投与した場合に、がんが増大したら、オプジーボが原因で、がんが増大しているのか、がんが一時的に大きくなっているように見えているだけかの、正確な判断は、難しいです。

そのような側面は、あるのですが、オプジーボが原因で、がんが急速に大きくなった場合は、以下のような特徴があると、言われています。

  • 治療を受けている方の体力は、非常に少ない。
  • 治療中に、好中球やCRPといったような、炎症を示す数値が、急に増える。
  • がんが、非常に大きい

とても難しい話になってしまいましたが、オプジーボの使用中に、がんが大きくなったときには、大きくなったように見えるだけのケースも、それ相応にあることは、知って欲しいです。

また、オプジーボの効果がでやすい方は、腸内環境がよい方に多いという報告もあります。

ふだんから、腸内環境を整えるように、しましょう。

そうすれば、免疫力も、あがります。

そして、オプジーボの効果も、でやすくなります。

さて、オプジーボの治療結果が、よりよくなるように、具体的に取り入れて欲しいことは、こちらで学べます。

 

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • オキサリプラチンによるアレルギー反応がでても、オキサリプラチンを安全に投与する方法とは?

  • ドセタキセルの副作用である浮腫を解決する方法を医師が解説

  • 医療従事者向け:西洋の医療に対して、どのように東洋医学を取り入れるか?

  • イリノテカンによる下痢・吐き気・脱毛への対処方法を医師が解説

  • エスワン(ティーエスワン)による副作用である下痢、味覚障害、涙目を改善する方法を医師が解説

  • アブラキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)によるしびれを、予防する方法とは?