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ホルモン受容体陽性の乳がんに用いられるイブランスの効果と副作用

 2018/11/29 乳がんブログ記事  

こんにちは。加藤隆佑です。

2017年の12月に「ホルモン受容体陽性で、再発やステージ4の乳がん」に対して、イブランスというお薬が、認可されました。

一般名は、パルボシクリブです。

パルボシクリブ(イブランス)は、サイクリン依存性キナーゼであるCDK4およびCDK6を特異的に阻害することでがん細胞が増殖するのを制御する、内服の分子標的薬です。

イブランスの効果と、臨床試験での結果について

臨床試験では、非常に良い治療効果が、でていました。

がんを制御している期間を2倍近く伸ばしています。

その証拠として、ある臨床試験では、以下のような結果でした。

  • フェマーラといった内分泌療法の薬を単独で使用した場合は、14.5ヶ月がんを制御
  • 一方で、イブランスとフェマーラといった内分泌療法の薬を併用すると27.6ヶ月がんを制御

一方で、どの程度長く生きられるか?という視点でみてみると、イブランスを加えても、変わらないという結果です。

イブランスを併用するとがんを制御できる期間が長くなるのに、どの程度長く生きられるか?が変わらないのは、疑問に思われるかもしれません。

その理由の1つが、以下の通りです。

「イブランスに耐性ができてしまったがん細胞は、どの薬物療法に対しても効果が出にくくなっている。」

上記の問題や、イブランスの副作用の問題を考えると、イブランスを追加すべきかどうかは、慎重に判断しないといけません。

イブランスの副作用

イブランスで、よくある服用方法は、2通りあります。

詳細は、以下の通りです。

・治療は28日を1サイクルとし、「イブランス125mg/日(3週間投与、1週間休薬)とフェソロデックス500mg/日(1サイクル目のみ14日ごと、その後28日ごと筋注)の併用」

・治療は28日を1サイクルとし、「イブランス125mg/日(3週間投与、1週間休薬)とフェマーラ(2.5mg/日)の併用」

閉経前の方に用いる時は、LH—RHアゴニスト剤であるリューブリンといった薬を併用します。

そして、よくある副作用は、血液毒性です。詳細は、以下の通りです。

  • 好中球減少:82%(重度のものは、66%)
  • 血小板減少:19%(重度のものは、3%)
  • 脱毛:16%
  • 口内炎:20%
  • 下痢:13%
  • 吐き気:25%(重度のものは、0.3%)
  • 疲労:33%

イブランスを用いても、従来の治療と比べ生存期間を伸ばしていないというのが、とても難しい問題になります。しかし、1つ言えることは、以下のことです。

イブランスの副作用に悩まされなければ、イブランスを追加した治療は、正しい選択肢に、なりなる。

 

イブランスの副作用で、悩まされ続けるならば、他の治療の選択肢を検討すべきです。

また、標準的治療から少しはずれますが、ホルモン療法の効果が乏しくなったときには、以下の治療法も、効果があるケースが多いです。

「ホルモン療法+エンドキサン」

副作用も少ないです。イブランスよりも、体にかかる負担は少ないのです。

「ホルモン療法+エンドキサン」は、効果の期待できる治療法の1つです。

しかし、最近は用いられることが、非常に減ってしまいました。本来であれば、試みるべき価値の高い治療なのですが。私は、残念に思っています。

ホルモン受容体陽性の再発乳がんの治療方針

最後に、最近のホルモン受容体陽性の再発乳がんの治療方針だけ、まとめます。

1)手術後にホルモン療法をしなかった場合

1次治療

アロマターゼ阻害薬、もしくは、「アロマターゼ阻害薬+イブランス」、もしくは「フルベストラント」

2次治療

「フルベストラント±イブランス」「アフィニトール±エキセメスタン」など

2)手術後にタモキシフェンによるホルモン療法をして、早期に再発した場合

1次治療

アロマターゼ阻害薬、もしくは、「アロマターゼ阻害薬+イブランス」、もしくは「フルベストラント」

2次治療

「フルベストラント±イブランス」「アフィニトール±エキセメスタン」など

3)手術後にタモキシフェンによるホルモン療法をして、かなり時間を経過して再発した場合

1次治療

アロマターゼ阻害薬、もしくは、「アロマターゼ阻害薬+イブランス」、もしくは「フルベストラント」

2次治療

「フルベストラント±イブランス」「アフィニトール±エキセメスタン」など

4)手術後にアナストロゾールもしくはレトロゾールによるホルモン療法をうけて、早期に再発した場合

1次治療

「フルベストラント±イブランス」「アフィニトール±エキセメスタン」など

2次治療

これまでの治療経過を踏まえて判断

5)手術後にアナストロゾールもしくはレトロゾールによるホルモン療法をうけて、晩期に再発した場合

1次治療

アロマターゼ阻害薬、もしくは、「アロマターゼ阻害薬+イブランス」、もしくは「フルベストラント」

2次治療

これまでの治療経過を踏まえて判断

さて、再発やステージ4の乳がんで、加えるべき治療は、薬物療法だけではありません。

こちらのことも、知っておいてほしいです。

乳がんのステージ4でも楽に余命を伸ばす!再発転移の治療と末期の対応を医師が解説

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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