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肝臓がんの腫瘍マーカーであるAFPやPIVKA-Ⅱについて医師が解説

こんにちは。加藤隆佑です。

肝臓がんの検査項目の1つとして、腫瘍マーカーを調べることがあります。

そこで、肝臓がんの腫瘍マーカーであるAFPやPIVKA-Ⅱなどについて解説します。

AFPやPIVKA-Ⅱのような腫瘍マーカーを調べることにより、分かることは、以下の3つです。

  • 腫瘍マーカーが正常域を超えた数値の場合は、体の中にがんがある可能性がある。
  • 治療を行い、腫瘍マーカーが下がれば、治療は効果的であり、がんが縮小してきている可能性が高いと判断できる。
  • 治療を行っても、腫瘍マーカーが上昇するならば、治療は無効であり、がんが増大している可能性が高いと判断できる。

ここでは、肝臓がんの腫瘍マーカーについて、もう少し詳しく説明します。

腫瘍マーカーとは何か?

実は、多くの腫瘍マーカーは、がん細胞からだけではなく、正常な細胞でも作り出される物質です。

しかし、がん細胞の方が、正常な細胞よりも成長が早いために、よりたくさんの腫瘍マーカーを作ります。

その結果、腫瘍マーカーが基準値よりも高い時には、身体の中に存在している可能性が高いと、解釈できます。

腫瘍の大きさが大きいほど、腫瘍マーカーの数値は高くなる傾向があります。したがって、早期のがんでは、腫瘍マーカーは正常域内にとどまることが多いです。

そして、がんがあっても、腫瘍マーカーは正常域にとどまっていることがあることは、知っておくべきことになります。

逆に腫瘍マーカーが高い数値でも、背景にがんが存在しないことがあります。

特に、以下の腫瘍マーカーは正常域から外れた数値であっても、背景にがんがないケースが多いです。

CEA:慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核などでも高値を示すことがあり、その確率は20~40%程度と考えられています。

CA19-9:胆管炎、慢性の膵炎や肝炎、閉塞性の黄疸、卵巣脳腫などでも高値を示すことがあり、その確率はおよそ5~10%程度です

CA125:子宮内膜症の50~65%程度、膿疱腺腫の20%程度でも高値を示すことがあります。

AFP:良性の病気、つまり、がんでなくても高値を示すことがあります。

ここでいう高値とは、正常域から少しはみ出る程度の数値のことを指します。

腫瘍マーカーが数千というような数値である場合や、腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇する場合には、非常に高い確率で背景にがんがあるであろうと推測されます。

ちなみに、PIVKA-Ⅱが300以上、もしくはAFPが100以上の場合は、肝臓のがんが、他の部位に転移している可能性が高いと言われています。

そして、肝臓がんが転移しやすい部位は以下の場所です。

  • リンパ節

肝臓がんで用いられる腫瘍マーカーは?

肝臓がんの腫瘍マーカーとして、以下のものが挙げられます。

  • CA19─9
  • CEA
  • AFP
  • PIVKA-Ⅱ

ただし、これらすべてを用いるわけではありません。

この中でよく用いられるものは、AFPとPIVKA-Ⅱです。

ちなみに、この話は原発性肝臓がんという最もよく見かける肝臓がんに限った話です。

頻度は低いがんになりますが、肝内胆管がんというがんならば、CEAやCA19-9という腫瘍マーカーが用いられることが多いです。

腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇してきたらどうする?

定期検査の検査結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がんが増殖してきている兆候であることが多いです。

治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

例えば、卵巣がんの事例になりますが、以下のような事例があります。

60歳代の女性

卵巣がんの手術後に、CA125が上昇してくる。

画像上でも、リンパ節に再発した疑いとなる。

しかし、漢方を内服し、腫瘍マーカーは再び下がり、がんの増大は抑えられる。

 

ちなみに、この方に飲んでいただいたのは、大青葉・山豆根という漢方です。

このように、腫瘍マーカーが上昇したときには、漢方は非常に重要な役目を果たします。

これは、肝臓がんにも言えることです。

腫瘍マーカーが上昇する兆候がある時には、なるべく早くがんを抑えるアクションを取るべきです。

そのためにすべきことの1つが、漢方を取り入れることです。

肝臓がんの成長を、強力に抑えられます。

肝臓がんを打ち負かす方法は、こちらで学べます。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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