肝臓がんに対してサイラムザという薬が承認されました。

肝臓がん

こんにちは。加藤隆佑です。

2019年の6月よりサイラムザという抗がん剤が、肝臓がんに用いることができるようになりました。

サイラムザは、血管新生阻害薬という分子標的薬に分類されます。

がんを栄養する新生血管ができるのを防ぐことにより、がんの増殖を抑える薬です。

したがって、がんを縮小させる薬というよりは、がんの成長を止める薬というイメージの方が、正しいことになります。

副作用も、概して、軽いものが多いです。

どのような肝臓がんの方にサイラムザを用いることはできる?

以下の2つの条件を満たす必要があります。

1、肝臓がんの腫瘍マーカーの1つであるAFPが400以上ということ

AFPが400未満の方に投与しても、効果があまり期待できないということが判明しているからです。

2、これまでに何らかの肝臓がんの抗がん剤治療を受けたことがある

また、以下の方は、副作用が強く出る可能性があるために、投与を推奨されません。

  • 体力が低下して、ほぼベッド上での生活をしている方
  • 肝硬変がすすんでいる方
  • 蛋白尿がたくさん出ている方
  • 高血圧がコントロールされていない方

サイラムザの副作用は?

サイラムザの副作用で、頻度の高いものは、以下のものです。

  • 高血圧
  • 蛋白尿

頻度は非常に低いのですが、消化管穿孔という副作用があります。1%くらいの頻度ですが、万が一消化管穿孔になってしまった場合には、緊急手術が必要になります。

高血圧のときの対処法

たとえば、自宅で測った血圧が160以上であるときは、先に血圧を下げる治療を行い、安全に投与できる血圧になったところで、サイラムザを投与します。

蛋白尿があるときの対処法

蛋白尿が定量検査で2ミリグラムでているのであれば、腎機能への影響を考慮して、サイラムザの投与量を一段階さげます。

具体的には、本来であれば体重1キロあたり8ミリグラム投与するところを、6ミリグラムに減量して投与することになります。

もし蛋白尿が定量検査で3ミリグラム3mg以上ならば、投与はできません。

さて、肝臓がんの治療においては、サイラムザ以外にも、治療の選択肢はあります。

その方法は、こちらで説明しています。