スチバーガの副作用である手足症候群を減らし、楽に治療を受ける秘訣を医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。
本日は、スチバーガという薬剤の副作用を減らすために、知って欲しいことを解説いたします。
スチバーガとは、どのような薬剤か?
スチバーガはマルチキナーゼ阻害薬と呼ばれます。
がん細胞の増殖にかかわる部分を、狙い撃ちする分子標的薬の一種です。
以下のような、がんに対して、用いられます。
- 治癒切除ができない、進行・再発の結腸・直腸がん
- 治癒切除ができない肝細胞がん
- 抗がん剤治療後に、悪化した消化管間質腫瘍(GIST)
スチバーガは、どのように内服する薬か?
1 日1回160mgを、食後に3週間連日して、内服します。
その後は1週間、休薬します。
これを1サイクルとして、投与を繰り返します。
スチバーガの副作用は?
いろんな副作用があります。
頻度が高く、注意を要するものは、以下のような副作用となります。
- 手足症候群
- 高血圧
手足症候群とは?
体重や、力が、かかる部分に、手足症候群は出現します。
たとえば、手のひらや、足の裏です。
グレード1の手足症候群
はじめの段階では、手足の皮膚の一部に赤みがあらわれたり、見た目の変化はなくても手足に違和感を感じます。この段階では日常生活に影響はありません。
グレード2の手足症候群
さらに悪化すると、皮膚が硬くなって、ひび割れることもあり、痛みによって日常生活に支障が出てきます。
グレード3の手足症候群
もっとひどくなれば、皮膚がさらに硬くなり、ひび割れのほかに水疱や膿疱などがみられるようになります。まれに潰瘍化もみられます。この段階になると、激しい痛みのために日常生活が困難になります。
手足症候群の治療は?
予防編
こまめに保 湿剤を塗り,皮膚の乾燥を防ぐと、予防になります。
主治医から、保湿剤を処方してもらいましょう。
パスタロン®ソフト軟膏や、ヒルドイド®ソフト軟膏が推奨されています。
以下の表のような工夫も必要です。
治療編
グレード1ならば、保湿剤を用いる頻度をします。
グレード2ならば、スチバーガを減量しつつ、ステロイド軟膏を併用して、治療します。
グレード3ならば、ステロイド軟膏(病院で処方)を用います。さらに、グレード1以下になるまで、お休薬をします。
休薬して改善したら、スチバーガを、再開します。
休薬しても、治療成績に影響しない事は判明しています。
再開するときは、一段階減量して、再開することがコツです。
副作用に悩まされないコツが、もう1つあります。
スチバーガを、初回から標準的な用量を投与するよりも、低用量から開始して、段階的に増やすほうが、強い副作用に悩まされないです。
「はじめは、少なめの量からスタート」
これが、とても重要です。
具体的には120ミリグラムからスタートすると良いです。
このような飲み方にしたほうが、強い副作用が出にくいのです。
これは、ヨーロッパの学会で発表されたVall d’Hebron Institute of OncologyのG Argiles氏のデータに基づくものです。
ちなみに、そのようにしても、治療の効果は落ちません。
さて、抗がん剤の副作用に悩まされないようにするためには、漢方を併用することも、重要です。
手足症候群を減らす漢方もあります。