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直腸がんの手術後に生じた排便障害という後遺症を解決する方法があります。

こんにちは。加藤隆佑です。

今日は、治療に伴う後遺症の1つである便失禁をどうしたらよいかのお話です。

がんの手術によって、肛門周辺の括約筋という筋肉が損傷を受けると、便失禁をするようになることがあります。

たとえば、直腸がんの後に、このようなことが起きることがあります。

ちなみに、手術以外の便失禁の原因として、出産や糖尿病があります。

さて、治療ですが、まずは食事療法です。

便が下痢ですと、便失禁の頻度が増えるので、下痢気味の方には、食物繊維をとってもらいます。

人によっては、薬を使って、便が下痢気味にならないようにすることもあります。

たとえば、ポリフィル(もしくはコロネル)、ロペラミドという薬です。

ちなみに、ロペラミドは1日あたり2カプセルまでとなっていますが、欧米では16カプセルまで飲んで良いことになっています。

同時に、骨盤体操をすることも大切です。

ここまでのことをすれば、約5割の方が改善します。

それらをやってみても、改善しない場合には、経肛門的洗腸療法やペリスティーンアナルプラグを検討します。

経肛門的洗腸療法とは?

1~2日に 1 回、300から1000ml のぬるま湯を肛門から注入します。

浣腸の1つとなります。その結果、便がかなりでることになります。そうすれば、大腸の中は空っぽになります。

その結果、便失禁を防 いだり便秘症状を改善につながります。

こちらのサイトもご参照ください。

ペリスティーンアナルプラグとは?

肛門に危惧を挿入して、便が漏れないようにします。

医療器具ではないために、インターネットなどから購入することになります。

これらでも効果が十分でない場合は、手術を考えます。

仙骨神経刺激療法です。

心臓用ペースメーカーと似た機会を体に埋め込み、排泄を司る仙骨神経に刺激を送ることによって、症状の改善を図る治療です。

はじめに、体の外から電気刺激を加えることを試してみて、それが効果のあった方に、体の中に刺激装置をうめ込むのです。

約7割の方が改善すると言われています。

こちらで、その治療法をやっている病院が分かります。

便失禁の治療は難しいのですが、できることを1つずつやっていくことが大切です。

また、大腸がんに負けない方法は、こちらで学べます。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

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