遺伝による大腸がんを予防する方法と、受けるべき検査について
こんにちは。加藤隆佑です。
大腸がんは、他のがんに比べると、遺伝的な要素が高いです。
つまり、血縁者に大腸がんの方がいる場合は、ご自身も大腸がんになる可能性が高くなるということです。
そうであっても、適切な対応をすれば、大腸がんで、命を奪われることは、ありません。
そのために、必要なことは、定期的に大腸カメラを受けることです。
そうすることにより、万が一大腸がんができてしまったとしても、早期発見できます。早期発見できれば、大腸がんは完治できます。
また、リンチ症候群という疾患があります。その遺伝子を持っていると、大腸がんになる可能性が高くなります。
さらに、他のがんも、できやすくなります。
70歳までのリンチ症候群に関連するがんの発症率は、以下の通りです。
- 大腸がん:男性は54〜74%、女性は30〜53%
- 子宮体がん:28〜60%
- 胃がん:5.8〜13%
- 卵巣がん:6.1〜13.5%
- 膵がん:0.4〜3.7%
さて、リンチ症候群を疑う場合とは、アムステルダムⅡ基準という以下の条件をすべて満たすときです。
1、 家系内に少なくとも3名に大腸がん、子宮内膜がん、小腸がん、尿管あるいは腎盂のがんが認められる。
2、 そのうちの1名は、ほかの2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)である。
3.少なくとも、2世代にわたって発症している
4、少なくとも、1名は50歳未満で診断されている
このような場合は、遺伝子検査を受けることが、推奨されています。
ちなみに、近年になり、70歳未満のすべての大腸がんの方に、遺伝子検査を受けることが、推奨されるようになりました。
以下のような流れになります。
—–
1、大腸がんの診断を受けた人が、マイクロサテライト不安定性の検査を受ける。
2、その結果で、異常がなければ、リンチ症候群は否定される。
しかし、以下の場合は、リンチ症候群に関与していると言われるMMR遺伝子の検査を受ける。
- 高頻度マイクロサテライト不安定性の診断になった場合
- 免疫染色で異常がある場合
3、MMR遺伝子の検査で異常がなければ、リンチ症候群は否定される。
もし、この検査で異常がでれば、リンチ症候群の診断となる。
4、リンチ症候群の診断となった場合は、血縁者に、その遺伝子が遺伝していないかを、血縁者の血液で確認する(血縁者の同意を得られた場合のみ)。
血縁者にもMMR遺伝子に異常があれば、リンチ症候群の診断となる。
MMR遺伝子に異常がなければ、遺伝していないことになる。
—–
以上のような流れになります。
ちなみに、MMR遺伝子検査は、自費の検査になる可能性があります。その場合は、数十万円かかります。
ただし、この遺伝子検査で異常がなかったとしても、安心はできません。
家系の中に大腸がんの方が一人でもいるならば、他の方よりも大腸がんに注意しないといけません。
30歳代から、がんの早期発見のための定期的な検査を受けるべきです。
2〜5年に1回は、大腸カメラの検査を受けると良いでしょう。
また、食生活などを改善すると、大腸がんになる可能性を減らせるというデータもあります。
定期的な検査と同時に、普段の食生活の改善をすることが、必要です。
このように対処していけば、大腸がんにより命を奪われることを避けるようにできます。