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大腸がんの手術後の抗がん剤治療に用いられるオキサリプラチンを、省略することができることが判明!

 2019/02/02 大腸がん  

こんにちは。加藤隆佑です。

2019年の1月に、大腸がんの治療のガイドラインを大きく見直さないといけないと思われる臨床試験の結果がでました。

結論からいいますと、以下のようになります。

「大腸がんの手術後の抗がん剤に用いられることが多いオキサリプラチンを、省略することができるであろう。」

この臨床試験の結果は、非常に大きなインパクトを与えます。

従来の大腸がんの手術後の抗がん剤治療とは?

「ステージ3の大腸がん」の診断になれば、手術後に抗がん剤を半年行うというものです。

そして、5−FU系の抗がん剤とオキサリプラチンを併用するという内容でした。

大半の方は、こちらの治療を受ける事になります。

もし、体力がなくて、この治療に耐えられることが難しいと予想される場合には、5−FU系の抗がん剤のみを投与することになっていました。

5−FU系の抗がん剤とは?

以下のような薬剤のことです。

  • UFT+ロイコボリン(内服)
  • TS-1(内服)
  • ゼローダ(内服)
  • 5ーFU+LV(注射)

上記のどれかを用いることになります。

そして、治療に耐えられると予想される方には、5-FU系の薬剤に、オキサリプラチンが上乗せされます。

オキサリプラチンを本当に上乗せした方が良いのか?

オキサリプラチンを上乗せして本当によいのか?という議論は、長年ありました。

以下のような理由です。

理由1、オキサリプラチンを用いると、その副作用である末梢神経障害で、多くの患者は悩まされる。

オキサリプラチンの副作用である末梢神経障害により、しびれが残り長く悩まされる方は非常に多いのです。

理由2、「オキサリプラチンを5ーFU系の抗がん剤に併用することにより治療成績を向上できた」と示す根拠は、欧米のデータのみである。

実は、欧米と日本とでは、手術の質が全く違います。

日本の手術の場合は、リンパ節廓清が欧米よりもしっかり行われています。

リンパ節廓清をしっかり受けておけば、「オキサリプラチンを加えず、5ーFU系の抗がん剤だけでも、十分にがんを制御できるのでは」という意見がありました。

ちなみに、リンパ節廓清とは、大腸がんが転移する可能性のあるリンパ節を予防的に切除することです。

しかし、「日本人におけるオキサリプラチンを上乗せすることによるメリット」に関するデータがないので、欧米の流れをくんで、オキサリプラチンを加えた術後補助化学療法が主流になったわけです。

このような背景がある中で、2019年1月に、日本人におけるオキサリプラチンを上乗せして本当によいのか?のデータが、発表されたのです。

日本人におけるオキサリプラチンを上乗せすることの効果を問う臨床試験の結果は?

その結論ですが、上乗せ効果はなしということになりました。

もう少し詳しく言うと、以下のようになります。

ステージ3の大腸がんの中でも、オキサリプラチンを加えることにより、大腸がんが無再発でいる割合を、やや押し上げる傾向があるのは、以下の状況のみ。

  • ステージ3C
  • リンパ節転移が7個以上のケース

ステージ3全体でみてみると、オキサリプラチンを加えても、大腸がんの無再発でいる割合を高めることには寄与しない。

 

今後は、ステージ3Aやステージ3Bの大腸がんの診断になった場合は、オキサリプラチンを加えず、5-FU系だけの抗がん剤を半年間内服するという流れになると予想されます。

そして、ステージ3Cや、リンパ節転移が7個以上のケースでのみ、オキサリプラチンを加えるという流れになるのでしょう。

このあたりの内容は、今後、ガイドラインにも反映されることが予想されます。

ガイドラインや学会での見解が統一されたら、お知らせします。

5−FU系の抗がん剤ならば、どれが一番よい?

5-FU系ということでは、以下の4つの選択肢があります。

  • UFT+ロイコボリン(内服)
  • TS-1(内服)
  • ゼローダ(内服)
  • 5ーFU+LV(注射)

どれもが、同じ治療成績というわけではありません。

これまでの治療成績を踏まえると、私の意見としては、ゼローダが一番よいと考えます。

ただし、大腸がんの再発は、抗がん剤をのめば、それでよいというわけではありません。

再発には、食生活も大きな影響を与えます。

大腸がんの再発を抑えるために、知ってほしいことは、こちらで説明してます。

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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