がんになっても職場復帰をすることはできます。そのために知って欲しいことを医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。
がんの治療中でも、工夫次第で仕事を続けることはできます。
たとえステージ4や再発のがんで、抗がん剤治療を続けないといけない状況であったとしてもです。
米国では、転移しているがんと診断された人の3分の1の人が仕事を継続している、というデータもあります。働こうと思ったら働き続けることできるということです。
働き続けることには多くのメリットがあるのです。
働くことのメリット
仕事をしていたほうが、がん以外のことを考える時間が増え気持ちが落ち着きます。経済的な点で余裕ができます。
患者さんのなかには、がんと診断されただけで仕事を続けることが難しいと勝手に判断して、仕事をやめてしまう人がいます。
やめるかどうかは、よく考えて判断してほしいのです。
また、仕事をやめるかどうかを悩んでいるときは「仕事を続けるかどうかの決断を今はしないで、もう少し様子をみる」という選択肢が、あることも忘れないでください。
そして、一人で悩まず、信頼できる人に相談しましょう。相談したら、解決策は簡単にでるものです。
ちなみに、がんの治療費の負担をへらすために、知って欲しいことは、こちらで解説しています。
仕事を続けるときの注意点
仕事を続けるときには注意点があります。
がんや、抗がん剤の副作用による症状がある人は、仕事を継続できる割合が低くなります。
したがって症状を取り除くことが大切です。
工夫をすれば、がんや副作用による症状をもっと取り除くことができます。
ちなみに、副作用を取り除くためのコツは、こちらで解説しています。
また、主治医に「仕事ができる程度の副作用に抑えてほしい」と伝えてみる価値はあります。
さて、復職された患者さんから、次のように言っていただいたことがあります。
「おかげさまで抗がん剤治療を続けながら職場復帰しています。オキサリプラチンをやめて半年程たってようやく痺れが改善して復職することができました。毎日忙しいですが刺激があり生きている実感を味わっています。」
「仕事ができて幸せです。」
「仕事仲間に優しくなり、仕事相手に敬意をもつことができるようになりました」
「出世や収入より、家族と多くの時間を過ごすことの大切さに気づきました。」
職場から不当な扱いを受けた時は、どうしたら良いか?
職場から不当な扱いを受けて、退職を強要されることも、あります。
会社に訴えても、不当な扱いを解消してくれないことも、多いです。
このようなときには、行政のサービスを利用することは、有効な対抗手段です。
さて、このような悩みをもっていた患者さんから、以下のようなメッセージを、いただいたことがあります。
—–
人事部は、私の主張など、全く聞く耳をもちませんでした。
しかし、都の労働相談の担当部署から直接電話を入れてもらったら、すぐに態度が変わりました。
今は、厚生労働省ががん患者の復職・就労支援をしていますから、比較的お役所の支援を受けやすいと思います。
—–
また、仕事を続けていたとしても、健康なときと同じように働けるわけではありません。
健康なとき以上に、体を気遣って働いてほしいです。
仕事から家に帰ったらバタンキューというような、余裕のない生活ではダメなわけです。
だからこそ、仕事量を抑える工夫が必要です。同僚の協力を仰ぐことも、必要です。
もし同僚の協力を仰ぐのであれば、がんであることを、カミングアウトしないといけません。
カミングアウトすることに不安を感じるかもしれませんが、あるアンケート結果によると「がんのことを職場にカミングアウトしてよかった」と答えた人が多数を占めていたという結果が出ています。
また、がんになっても約8割の人が、仕事を継続しているという結果もありました。
最近は、がん治療を受けながら働くことに理解を示してくれる企業が、多いのでしょう。
もし働かないという結論を出したとしても、家でじっとすることはよくありません。さまざまな活動をしてほしいです。
生きるための目的や楽しみを見出していくことは、がんと向き合ううえで大切なことです。
パークゴルフ、ボランティア、孫の世話といったことでかまいません。
先日は、何十年ぶりに麻雀をしたという患者さんがいました。とても楽しかったとのことでした。
何をしたらよいかすぐに浮かばない場合は、普段とちょっと違うことをしてみましょう。
たとえば、映画館に行ってみる、プチ旅行をしてみる、町内のゴミ拾いに参加してみるといったことです。
普段とは違う道を、散歩してみるというのでも良いです。
そんな小さなことが、きっとあなたの人生に大きな変化を引き起こしてくれることでしょう。
そのようなことが、がんを克服することにも、つながります。
さて、がんを克服する上で、知って欲しいことは、他にもあります。