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子宮体癌のステージ別の治療方針や症状を医師が解説!生存率をあげ抗がん剤副作用を回避

こんにちは。加藤隆佑です。総合病院でがん治療を専門として働いています。

さて、今日は、子宮体がんのステージごとの治療方針をお話します。

また、生存率をあげたり、再発率をさげるために、取り入れるべきことがあります。

さらに、ちょっとした工夫で、抗がん剤の副作用をへらして、がんの治療で体力を消耗しないようにすることは、できます。

そして、子宮体がんによる症状と、症状を抑える方法があります。

そのために、私の16年間のがん治療の経験と、医学的なデータをもとに、子宮体がんを克服するコツを説明いたします。

子宮体がんの初期症状(自覚症状)と、その取り除き方

子宮がんは、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)に分けられます。

さて、子宮体がんは、赤ちゃんを育てる子宮の内側にある、子宮内膜というところから発生するがんです。

まれに、子宮の筋肉の層から子宮肉腫というがんが発生しますが、これは、子宮体がんとはまったく違う病気です。

最もよくみられる症状は出血です。

閉経後に、少量ずつ続く出血は、子宮体がんの疑いがありますので、早めに婦人科を受診しましょう。

子宮頸がんの検査で異常がなくても、「子宮体がんではない」ということには、なりません。その点は、注意が必要です。

早期に発見すれば、治りやすいがんです。

治療を受ける事により、子宮体がんの症状は、改善します。

一部の子宮体がんは、遺伝性であることは、忘れるべきではありません。

50歳未満で、子宮体がんになったり、血のつながりのある方に、大腸がんや子宮体がんの方がいらっしゃる時は、遺伝子検査を受けることを、アメリカのガイドラインでは、推奨されています。

子宮体がんのステージの決め方

がんが疑われる部分から、子宮から小さな組織を切り取り、顕微鏡で観察して、診断します。

さらに、超音波検査、CT、MRI、PETなどを行います。そして、どのようながんの広がりかを、予想をつけます。

以上の検査結果を踏まえて、ステージを決定します。

ステージ1:がんが子宮体のみに認められ、ほかに広がっていない

ステージ1は、さらに、以下のように分けられます。

ステージ1aは、がんが、子宮の筋層の1/2未満にしか食い込んでいない。
ステージ1bは、がんが、子宮の筋層の1/2以上に、食い込んでいる。

ステージ2:がんが子宮体部を越えて、子宮の頸部に、広がった状態

ステージ3:がんが、子宮の外に広がっているか、骨盤より外までは、広がっていな状態。もしくは、骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移がある状態

下の図は、子宮体部、子宮頸部、骨盤の位置関係を知っていただくための、簡単な図です。黄色の丸は、がんです。


ステージ4:がんが骨盤を越えて別の部位へ広がるか、膀胱、腸の粘膜を侵すもの、あるいは遠くの臓器(肺、肝臓、腹腔内など)に転移のあるもの

手術の結果、がんが、どの程度広がっているか判明した時点で、子宮体がんの最終的なステージが、最終的に決まります。

従って、手術前に推定されるステージと、最終的なステージが、一致しないことが、あります。

ステージに応じた治療法と生存率

子宮体がんは、若い方も、かかる確率が高いがんです。そこで、妊娠を希望される方と、そうでない方で、手術のやり方が異なることがあります。

具体的には、「ステージ1の子宮体がんで、がんが、子宮の内膜にとどまり、さらに、がんの顔つきがそれほど悪くない」ならば、ホルモン療法を行います。そして、がんが消失したならば、妊娠を促すという形になります。

ホルモン療法で、約50%の方が、がんが完全に消失します。

ステージ1、ステージ2の子宮体がん

がんが、子宮にとどまっている段階です。

もし、妊娠を希望され、適応があるならば、前述の治療法になります。

妊娠を希望されなければ、手術で、がんを取り除きます。

手術による治療を受けた場合は、その結果によっては、再発率を下げるために、抗がん剤治療や放射線治療を、受けた方が良いことも、あります。

がんを手術で全部切除できたように見えても、すでにがん細胞が別の臓器に転移している可能性があるからです。

さて、抗がん剤は、以下のどちらかが、用いられることが多いです。

パクリタキセル+カルボプラチン

ドキソルビシン+シスプラチン

手術後の療は、負担のない範囲で治療を受け、後遺症が残らないようにすることが、大切です。

生存率は、後半でお伝え致します。

ステージ3の子宮体がん

がんが、子宮の外に広がっているが、骨盤より外までは、広がっていな状態。もしくは、骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移がある状態です。

手術で、がんの切除を試みます。

手術による治療を受けた場合は、再発率を下げるために、抗がん剤治療を、受けることになるケースが大半です。

さて、ステージ3と診断された方の中には、手術で、すべてのがんを、取り除けないと判断されることもあります。

その場合は、以下のうちの、どれかの治療法を試みます。

  • はじめに抗がん剤にて、がんを縮小させてから、手術で、がんを取り除く。
  • 手術でがんを、取り除けるだけ取り除いた後に、取り除きれなかったがんを、抗がん剤で治療する。

抗がん剤は、先ほど提示した「パクリタキセル+カルボプラチン」や「ドキソルビシン+シスプラチン」が、広く用いられます。

ステージ4や再発の子宮体がん

がんが骨盤を越えて別の部位へ広がるか、膀胱、腸の粘膜を侵すもの、あるいは遠くの臓器(肺、肝臓、腹腔内など)に転移のある状態が、ステージ4です。

手術で、がんを取り除くことはできません。

抗がん剤治療が中心となります。状況によっては、放射線治療を、足す事もあります。

その結果、がんが縮小して、完治を目指せる状況になれば、手術に踏み切ることになります。

そのような状況にもってこれれば、根治もしくは、長期にわたるがんの制御の可能性が、見込まれることになります。

ステージ4で、がんが、遠くの臓器に転移していても、転移の数が多くなければ、手術でがんを、取り除けるだけ取り除いた後に、抗がん剤で治療することも、あります。

また、ステージ4で、がんが、体中に、広がっているときも、子宮だけを切除することがあります。

がんを治すために子宮を切除するのではなく、「子宮のところにあるがんが、今後大きくなることによって、引き起こされる症状を、抑えること」を目的とします。

また、子宮体がんの再発の場合は、腟、骨盤、遠くの臓器(肺や肝臓など)に転移します。

その症状として、骨盤痛み、股関節痛、背部痛、脚の痛みがあります。

そのような症状がある時は、検査を受けた方が良いです。また、症状がなく、再発することもあるので、定期的な検査も必要です。

仮に、再発の診断となったとします。

体に負担が少なく取り除けるならば、手術が選択されます。放射線治療になることもあります。その上で、抗がん剤治療で、再び再発しないようにしていきます。

アメリカのガイドラインによると、放射線治療の適応のある腟への再発の場合ですと、5年生存率が70%になるとされています。

再発だから、治らないというわけでは、ないのです。

さて、ステージ4や再発の場合は、以下の抗がん剤が用いられます。

  • パクリタキセル+カルボプラチン
  • ドキソルビシン+シスプラチン
  • ドセタキセル単剤
  • イリノテカン単剤

以前の抗がん剤の使用した内容や、体力に応じて、上記の抗がん剤の中から、決めていきます。

ちなみに、「パクリタキセル+カルボプラチン」や「ドキソルビシン+シスプラチン」は、ある程度の体力がないと、受けることができない治療です。

子宮体がんの5年生存率

さて、上記のデータは、2005年から2007年の間に、卵巣がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています。

また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。

そして、私の著書である抗がん剤治療を受けるときに読む本のp26には、ステージ4のがんを、食事療法で小さくさせた事例があります。

食事内容に気をつけることにも、注意を払ってください。

食事に関する注意点は、こちらでお話しています。

 

子宮体がんの抗がん剤の効果

子宮体がんは、抗がん剤が、比較的効きやすいがんです。

切れ味が良い抗がん剤で、一番初めに用いられるのは、以下の組み合わせです。

パクリタキセル+カルボプラチン

(「ドキソルビビン+シスプラチン」という治療法になることも、あります。)

これらの薬の効果が、なくなることもあります。そのような場合は、以下の薬剤が選択されます。

ドキソルビビン+シスプラチン
(初回にこのお薬を用いた場合は、「パクリタキセル+カルボプラチン」になります。)
ドキソルビシン
ドセタキセル
イリノテカン

しかし、薬の効果としては、初回に用いた薬「パクリタキセル+カルボプラチン」(もしくは、「ドキソルビビン+シスプラチン」ほどの切れ味は期待できません。

2番手以降の抗がん剤の切れ味を考えると、治療に手詰まり感を感じます。

そのような段階では、標準的な治療法以外の治療も、検討すべきです。

遺伝子検査をして、何らかの分子標的薬を用いられないかを調べても良いでしょう。治験を受けることも、選択肢の1つにあがります。

子宮体がんの抗がん剤の副作用

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、心臓への影響として動悸(どうき)、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用が、どの程度出るかに関しては、個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療の中断を検討することもあります。

あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが、伝えないと主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

副作用対策をしてもらいましょう。

そして、最近は副作用を、かなり取り除けるようになりました。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めが、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。


そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

  • 副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
  • 主治医が副作用対策を熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされることがあるのです。

過剰な量の抗がん剤が投与されることがある。

もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が投与されていることがあります。

もう少し具体的にお伝えします。

一般的な抗がん剤は、体重と身長から、投与量を計算します。

体重が減少したら、抗がん剤の量も減らさないといけないのですが、減量しないで、抗がん剤が投与され続けていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

体重の1kg程度の増減は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の増減のときは、主治医に伝えるべきです。

代替療法的な手法を取り入れることにより、副作用を緩和させることも、できます。

抗がん剤の後遺症として、しびれに注意しないといけない。

子宮体がんでよく用いられる抗がん剤の1つであるパクリタキセルや、ドセタキセルでは、特に注意しないといけない副作用があります。それは、しびれです。

後遺症としてしびれが残り、自分で歩く事が困難になったり、ボタンを自分でつけれなくなることもあります。

しびれに関しては、適切な対処が必要です。主治医には、しびれがでたときには、報告して、適切な対処をしてもらいましょう。

標準的な治療ではないのですが、しびれを予防する特殊な方法も、論文などで、報告されているので、そのような方法を取り入れるのも、よいでしょう。

標準的な治療だけが、治療でないことは、知っておくべきことです。

ご自宅でもできるセルフケアで、楽にがんの治療を受け、よりよい結果にしていくことも、できるのです。

そのために、とりいれるべきことは、こちらで公開しています。

 

子宮体がんの放射線治療の副作用

膣狭窄や、腟乾燥をきたすことがあります。

膣狭窄ならば、腟拡張機を用いて治療をしていくことになります。乾燥に対しては、ゼリーで対処することもできます。

最も注意しないといけないことは、2次がんです。放射線を当てた部位(大腸や膀胱など)に、10年くらいしてから、別のがんができることがあるのです。

したがって、定期的に、そのような部位の検査を受けることも、必要です。

転移した部位別の治療法

肝転移

肝臓に転移していると、ステージ4の段階になります。したがって、ステージ4の治療に基づいた治療を受けることになります。つまり、抗がん剤治療です。

肝転移が少数の数であり、肝臓以外にがんが存在せず、さらに、肝転移の状態が長期間にわたって落ち着いているときは、以下の治療法が検討されることもあります。

血管内治療
ラジオ波焼却術(RFA)
放射線治療
手術

リンパ節転移

子宮の周りの転移しているリンパ節ならば、手術や放射線治療で制御することができます。

一方で、広い範囲に転移している場合のリンパ節転移は、手術で取り除くことは、不可能であり、抗がん剤治療が中心となります。

腹膜播種

お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように体の中にバラバラと、がんが広がることです。ステージ4に該当します。

その場合は、抗がん剤で、治療をしていくことになります。

子宮体がんステージ4や再発の子宮体がんは治る?それとも、末期で余命を数える段階?そして末期症状とは?

また、「ステージ4、再発=末期がん」と、思われがちですが、ステージ4でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

また、ステージ4(もしくは再発)にも、いろんな状況が想定されます。

肝臓に転移が1つだけある方
肺や肝臓に無数の転移のある方
すべての抗がん剤治療を試み、緩和ケアを提案される方

上記の通り、ステージ4(もしくは再発)といっても、いろんな段階があるのです。

ステージ4や、再発であっても、寛解にもってこられるケースは、子宮体がんの場合は、あります。


さて、ここでは、効果の期待できる抗がん剤治療を、提案することができない段階の治療について、詳しくお伝えします。

このような段階は、病気に伴う、心と体の痛みを和らげる治療、つまり緩和医療が中心となります。

痛みがあるときは、痛み止めの薬の量を調節する
精神的に落ち込んでいるときは、カウンセリングを受けたり、抗うつ薬の量を調節する

そのような治療を中心に行います。

もちろん、がんと診断された時期から、上記のことは、同時並行でおこなっています。「効果の期待できる抗がん剤治療が提案できない段階」は、そのことを、より強化していくとういことです。

この段階における治療は、決まったやり方があるようで、ありません。

かなり、医師の力量が問われるところなのです。

そして、緩和医療をうけていただくことも、より長く生きていくことにつながることは、証明されています。

抗がん剤、手術、放射線治療だけが、より長く生きていくための治療ではないことを忘れてはいけません。

ここまでについて、いかがでしょうか?

子宮体がんの治療の概要を分かっていただけたでしょうか?

あなたが、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、子宮体がんの治療を、もっと楽に受けられるようになります。

他のドクターから、主治医から提案されなかったような治療法を提案してもらったおかげで、完治された事例もあります。

標準的な治療とはされていない中にも、それなりの確率で、有効な治療法もあるのです。

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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