がんの治療中の不眠を解消することはできます。そのコツを医師が解説!
こんにちは。加藤隆佑です。
がん患者さんの30~50%は「不眠」を経験します。不眠になると、「今までより疲れやすくなった」「よく眠れない」「眠りが浅い」という訴えを持つことになります。
そこで、不眠になったときの対処法をお伝えします。
不眠の原因を取り除くことは、不眠の解消の近道
痛み、発熱、嘔吐といった症状が原因で、夜、眠れなくなることがあります。
また、心配事が増えてしまい、眠れなくなることも、あります。病院から処方されている薬が原因で、眠れなくなることもあります。
睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群という病気により、不眠になることもあります。
つまり、不眠になったときには、どのようなことが、原因で不眠になっているかを考えないといけません。
そして、疑わしい原因が見つかれば、その原因を取り除く試みが、必要不可欠です。
- 痛みがあれば、痛みをとってもらう。
- 心配事があれば、人に話を聞いてもらう。
- 不眠の原因となる薬があり、その薬をやめられるならば、やめさせてもらう。
- 睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群があれば、その治療をする。
ちなみに、不眠にも、何個かの種類があります。
1、なかなか寝つけないタイプ
不眠症状の中では一番多いことが知られています。
2、寝ついた後、翌朝まで何度も起きるタイプ
3、いつもの起床時間より、2時間以上前に目が覚めるタイプ
4、睡眠時間は十分なのに、深く眠った感覚が得られないタイプ
さて、不眠症の原因を取り除きつつ、取り入れてほしいことがあります。
お薬を使わないで、不眠症を改善する方法があるのです。
お薬を使わないで、不眠症を改善する方法とは?
結論から言いますと、リラックスすることです。
1、ぬるめのお風呂や足浴
2、音楽
心がリラックスできる音楽を聴く。
3、アロマテラピー
好きな香りにはリラックス効果があります。
4、自律訓練法
リラクセーション法の1つです。
それ以外には、以下のことに気をつけましょう。
- 寝酒は逆に寝つきを悪くするので、控える。
- 夕方に軽い運動やストレッチ
- 寝室の照明は自分が心地よいと感じる暗さ
- 夕食後は、コーヒーや濃いお茶などカフェインを含む飲み物を控える。
- ベット上で過ごす時間は、寝るときだけにする(ベットと睡眠の関連付けを強くするため)
さて、いろんな注意点がありますが、特に重要なことは、こちらです。
①何時に寝たとしても、起床時間を一定にすること。そして、起きたら日の光をあびる。
遅寝のときこそ、早起きを意識するのです。
また、年齢を重ねるごとに、睡眠時間は短くなる傾向になります。
「若い時と同じように、8時間くらい寝ないといけない」と認識することは、間違った認識となります。
②日中の1回あたりの仮眠を20分以内にする。
20分以内にするならば、仮眠を複数とってもよいです。仮眠のつもりで、長時間寝てしまう場合は、座った状態で、目を閉じるようにするとよいです。
③寝ようと頑張らない
寝ようと頑張ろうとすると、逆に眠れなくなります。
ベットに入っても、眠くならないときは、起きて、リラックスできる状況で本を読んだりして、眠くなるのを待つとよいでしょう。
また、ベットについても、眠れないことに意識がいって、ストレスがたまるときには、以下のことを試みてください。
「息を吸うときに1と数える。息をはく時に2と数える。」
そして、「息を吸うときに1と数える。息をはく時に2と数える。」を繰り返します。
そうすることにより、意識は、「眠れないこと」ではなく「呼吸」に向きます。その結果、入眠しやすくなることが、あります。
睡眠剤の正しい用い方について
それでは、睡眠剤に関して、用いてもよいのでしょうか?
睡眠剤は、医師の指示で正しく使えば安全と考える方は多いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
睡眠剤の投与に関して、十分な教育を受けていない医師も、多いです。
また、欧米のガイドラインでは、先ほどお話ししたような、生活スタイルなどの改善をすることが、最も優先事項が高いとされています。
その上で、必要ならば、薬物を投与することが推奨されています。
単に眠れないだけであれば、薬物の投与は、控えるべきです。
生活習慣などの改善をしても不眠が改善されない上に、不眠のために、日中の生活に支障を及ぼした時に初めて、薬物療法を検討すべきです。
日中の生活に支障があるというのは、日中疲れやすいといった症状が出てしまうことです。
正しい不眠薬の用い方
不眠症を専門にする医師は、以下のことを、心がけています。
- 依存症になりにくい睡眠剤を用いる。
- なるべく、短期的な使用を心がける。
- ふらつきは、転倒のリスクになるので、ふらつきが、出にくい薬物を用いる。
具体的には、以下の薬物は、比較的安全に用いることが、できます。
- ベルソムラ
- ロゼレム
ちなみに、また、医師は忙しく、不眠に関して、十分な問診を行うことが、できないことが多いです。
事前に以下のことをまとめて、医師の診察に臨むと良いでしょう。
1、不眠は、いつごろ発症したか?どのような治療を受けてきたか?
2、就寝直前に、どのような生活を送っているか?
3、寝室の環境
4、不眠に対して、どのような不安を持つか?
5、夜間にいびきや無呼吸はないか?
6、現在、飲んでいるお薬の一覧
7、アルコールやカフェインの摂取状況
8、睡眠薬服用に対しての不安があれば、どのようなものか?
9、睡眠日記をみせる
ちなみに、睡眠日記では、簡潔に以下のことをまとめておきます。
- 何時に床に入ったか?
- 何時に床から出ましたか?
- 寝付くのに、どのくらい時間がかかりましたか?
- 夜中に、何度目が覚めましたか?
- 夜中に、全部で、どのくらいの時間、目が覚めていましたか?
- 昨晩、お酒をどのくらい飲みましたか?
- 今朝の気分はどうですか?
- 昨夜の睡眠を100点満点で評価すると、どのくらいですか?
- 昨日は、昼寝をしましたか?
以上の情報を医師に見せると、医師から適切な不眠解消の薬物やアドバイスがもらえる可能性が高くなります。
ところで、私は、がんとの戦いに勝つためのメールマガジンを書いています。
不眠に関しては、以下のようなメールマガジンを、以前に書きました。
抗がん剤の副作用を、さらに減らしていくことはできます。
そのために、主治医に、副作用対策をしてもらうことは、大切です。
同時に、あなた自身でも、体調を整えましょう。その結果、副作用をとても
減らせます。
例えば、「夜間はしっかり眠る」と、体調を整える一助になります。眠る
時間は、体に休息を与えてくれるからです。免疫状態も、よい状態に、
もってこれます。
がんから話はそれますが、私はアトピーの漢方治療も、しています。
夜がしっかり眠れていない方のアトピーは、改善の程度が、いまいちです。
そのような方が、眠れるようになるだけで、アトピーは改善します。
分かりやすい例としてアトピーを例にあげましたが、「しっかり眠る」ことは、がんの治療を受けている方にとっても、非常に大切です。
体に元気を与え、病院の治療に耐える体力も、与えてくれることでしょう。
そこで、良質な睡眠をとるためのコツをご紹介しますね。
・朝起きる時間を、一定にする(どれだけ遅く寝ても、同じ時間に起床する)
・起床から1時間以内の光を浴びる。
・気分に左右されずに、起床から6時間後(眠くなる前)に目を閉じる。
・昼の仮眠を30分以内にする。昼の仮眠は、夜間の数時間の睡眠時間に
匹敵させることも、できます。
・夕方に体操をして、体温をあげる。
・寝る前には、気持ちがリラックスできる環境に身を置く。お風呂、
音楽、アロマ、柔軟体操などです。
毎日の良質な睡眠が、がんに負けない体を作る1つのコツになりますよ。
このような感じで、がんの治療に役立つことを、メールマガジンで書いています。
さて、がんに負けない体を作るために、取り入れてほしいことは、他にもそ、たくさんあります。