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食道がんのステージ別の治療方針や症状を医師が解説!生存率をあげ抗がん剤副作用を回避

こんにちは。加藤隆佑です。総合病院でがん治療を専門として働いています。

さて、今日は、食道がんのステージごとの治療方針をお話します。

また、生存率をあげたり、再発率をさげるために、取り入れるべきことがあります。

さらに、ちょっとした工夫で、抗がん剤の副作用をへらして、がんの治療で体力を消耗しないようにすることは、できます。

そして、食道がんによる症状と、症状を抑える方法があります。

そのために、私の16年間の食道がん治療の経験と、医学的なデータをもとに、食道がんを克服するコツを説明いたします。

食道がんの初期症状(自覚症状)と、その取り除き方

食道がんは、初期には自覚症状がないことが多く、人間ドックの内視鏡検査などで発見されることが、20%近くあります。

無症状で発見された食道がんは、早期であることが多く、治る確率が高くなります。

食道が、しみるような感覚は、食道がんの初期の症状です。

がんが、さらに大きくなってくると、食物がつかえるような感覚、胸の痛み・背部の痛み、声のかすれが、でます。

食道がんの治療をしていくことにより、それらの症状は改善します。治療で取り除けない症状は、薬を調節して、症状をとります。


例えば、なかなか取り除けない痛みは、モルヒネといった医療用麻薬を用いることになります。

食道がんのステージの決め方

胃カメラで細胞を採取して、食道がんの診断をします。そして、CT、MRI、PETでステージを決めることができます。

病院によっては、超音波内視鏡というカメラで、リンパ節が何個腫れているか?がんが、心臓や気管に食い込んでいないかを確認する施設もあります。

以上の検査より、以下の状況を把握できます。

食道のがんが、どの程度、食道の粘膜に食い込んでいるか?
転移しているリンパ節の数
遠くの臓器(肺、肝臓、腹膜など)に転移しているか?

そして、ステージを決定します。

あなたの置かれたステージを通して、あなたが、以下のうちの、どの治療がよいのかを知っていただくことが、大切です。

内視鏡治療でよいのか?
手術がよいのか?手術であれば、術後に再発を予防するために抗がん剤治療を受けたほうがよいのか?
手術はしないで、抗がん剤治療がよいのか?

ステージに応じた治療法

ステージ0の食道がんの治療方針

内視鏡的な治療で、切除します。それにより、治癒します。

ステージ1の食道がんの治療方針

手術もしくは、「放射線治療+抗がん剤」が標準的な治療です。どちらも、治療成績は同じです。

おのおのの、治療の長所と短所を、主治医から説明を受け、納得した上で、治療法を選びましょう。

さて、手術や、「抗がん剤と放射線治療を同時併用療法」に耐えられるだけの体力がない方もいらっしゃいます。その場合は、放射線治療のみになることもあります。

放射線治療のみでも、完治する方はいらっしゃいます。

ちなみに、手術に伴う合併症で、死につながるものは、2から3%の確率で発生すると、されています。

体力がないと、合併症は発生しやすいです。体力があって、手術に耐えられることを、しっかりと、評価してもらうことが、大切です。

また、手術のあとは、しっかりとリハビリをしてもらい、体力をつけることも必要です。

病院によっては、手術の翌日から、リハビリを開始します。

ステージ2、ステージ3の食道がんの治療方針

以下のどれかによる治療になります。

・手術
・手術をしたのちに、抗がん剤治療
・抗がん剤と放射線治療(抗がん剤だけのこともあり)で、がんを縮小させたのちに、手術

前述しておりますが、食道がんの手術や「抗がん剤と放射線治療を同時併用療法」は、非常に体に負担がかかります。

体力の無い方は、放射線治療のみに、なることもあります。

また、手術のあとに、抗がん剤治療を受けることも、多いです。

手術でがんを全部切除できたように見えても、その時点で、がん細胞が別の臓器に転移している可能性があるからです。

食道がんは、非常に再発しやすいがんなのです。

ステージ2の5年生存率は53.4%、ステージ3の5年生存率は26.1%です。

一方で、再発率をさげる抗がん剤で、確立したものはないという問題点もあります。

そのような中で、数少ないはっきりしていることの1つが、「手術前に抗がん剤治療を受けなかった方で、手術後に、リンパ節転移が判明した場合」の抗がん剤治療は、再発予防に意義があるということです。

「シスプラチン+5-FU」が抗がん剤として用いられることが多いです。

シスプラチンは副作用が強く、腎臓に負担を与えます。シスプラチンよりも副作用が弱い、ネダプラチンというお薬が用いられることもあります。

「シスプラチン+5-FU/LV」と「ネダプラチン+5-FU/LV」の治療成績は、ほぼ同じとされています。

余談ですが、私は、「ネダプラチン+5-FU/LV」で治療をすることが多いです。副作用が少ないからです。

再発率をさげるためにすべきこと

そして、それだけでは、十分な治療効果とは言えません。

さらに、漢方や、薬膳的な食事といった東洋医学的なことを、加えましょう。

そして、再発する確率を、さらに、0に近づけることができます。

この段階で、漢方や、薬膳的な食事を取り入れることは、非常に重要なのです。例えば、以下のようなデータがあります。

—–

877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討した愛知がんセンターからの報告。

豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になる。

—–

これは胃がんの手術後の生存率に、食事内容が影響を与えるというデータです。

食道がんでも、同じことは、言えるでしょう。

がんを抑えることと、食事内容には、強い関係があることを、知っておいてほしいです。

また、食事だけでなく、漢方も大切です。

漢方は、適切な内容で、必要な用量をしっかり飲みましょう。そのようなことをしっかりと助言できる方から、漢方を提案してもらうと良いです。

漢方は、インターネットでも、信頼できるものが、容易に入手できます。

ただし、不適切な漢方も多いので、注意をして購入することが大切です。

漢方に関しては、以下で詳しく説明しています。

がんでの漢方の効果を医師が解説!再発予防や、たとえ末期状態でも癌を抑える方法

ステージ4の食道がんの治療方針

肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。この状態は、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

抗がん剤治療が中心となります。

以下のような抗がん剤が、用いられることが、多いです。

シスプラチン+5-FU/LV
ドセタキセル+ネダプラチン
パクリタキセル

抗がん剤であれば、体の血流にのって、体中にひろがったがん細胞に、がんを倒す薬の成分を、届けることができるからです。

抗がん剤治療と同時に、食道のがんを、放射線治療で、小さくすることも、多いです。

抗がん剤が効かずに、食道のがんが、大きくなり、食事をとれなくなることを、避けるためです。

もし、それらの治療の甲斐がなく、食事が、通過しなくなったとします。そのような場合は、食道ステントというパイプを、内視鏡で留置することが、あります。

そうすることにより、がんによって狭くなった食道が、広くなり、食事が通るようになります。

食道ステントは、以前はよい商品がなく、ステント留置後のトラブルも、多々ありました。しかし、最近は、良い品質のステントがでてきたので、留置後のトラブルは、かなり減りました。

食道がんの手術後の再発のときの治療方針

抗がん剤を中心とした治療になります。再発した部位によっては、放射線治療を足す事もあります。

再発に関して、ガイドラインに、以下の内容の文章があります。

—–

長期生存または完治する症例が少なからずあることは明らかであり、積極的な治療が望まれる。

食道がん手術後の再発の治療法は,再発した部位・その範囲に応じて選択される。

再発時の全身状態や手術可能な再発かどうか,術前または術後に放射線照射がされているかなどでも、治療法が変わる。

—–

「再発=末期」ということでは、ないのです。

ステージ4の時と同様に、以下のような抗がん剤を用いられる事が多いです。

シスプラチン+5-FU/LV
ドセタキセル+ネダプラチン(もしくはパクリタキセル)

副作用に耐えられる体力が残っていない場合は、これらのお薬による治療を受けるかは、慎重に判断しないといけません。

また、抗がん剤の選択肢は、多い訳ではありません。従って、以下のことも、事前に考えておくとよいです。

受ける価値のある治験はないか?

また、「ステージ4」や「再発」の場合ですと、長期にわたる治療になることが予想されます。

そこで、抗がん剤による副作用で、体力を失わないようにしないといけません。副作用を抑えることが、大切になるということです。

工夫をすることにより、副作用をかなり抑えることはできます。

食道がんの5年生存率

さて、上記のデータは、2005年から2007年の間に、食道がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています。

また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。

転移した部位に合わせた治療法

肝転移

肝臓に転移していると、ステージ4の段階になります。したがって、ステージ4の治療に基づいた治療を受けることになります。つまり、抗がん剤治療です。

また、以下の治療が有効なことも、あります。

血管内治療
ラジオ波焼却法(RFA)
放射線治療

リンパ節転移

食道の周りの転移しているリンパ節ならば、手術や放射線で治療することにより、治る可能性がある転移です。

一方で、食道から離れたリンパ節への転移は、切除することが不可能であり、ステージ4の診断となります。その場合は、ステージ4の治療に準じた治療、つまり抗がん剤治療が中心となります。

状況によっては、放射線治療が有効なことも、あります。

腹膜播種

お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように、お腹の中にバラバラと、がんが広がることです。その場合は、ステージ4の治療に準じた治療、つまり抗がん剤治療が中心となります。

食道がんの抗がん剤の副作用

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、心臓への影響として動悸(どうき)、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用は、用いる薬の種類によって異なり、その程度も個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療の中断を検討することもあります。

あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが、伝えないと主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

副作用対策をしてもらいましょう。

最近は副作用を、かなり取り除けるようになっています。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めが、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。


そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

  • 副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
  • 主治医が副作用対策を熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされることがあるのです。

もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が投与されていることがあります。

もう少し具体的にお伝えします。

一般的な抗がん剤は、体重にあわせて、抗がん剤の量を決めます。体重が減れば、抗がん剤を減量しないといけないのですが、従来の体重の量で抗がん剤が投与されていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

体重の1kg程度の増減は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の増減のときは、主治医に伝えるべきです。

代替療法的な手法を取り入れることにより、副作用を緩和させることも、できます。

ちなみに、食道がんの抗がん剤で、特に注意をしないといけない副作用は、以下のものです。

シスプラチンによる吐き気、しびれ、腎機能障害
ドセタキセル(もしくはパクリタキセル)によるしびれ

食道がんステージ4は治る?それとも、末期で余命を数える段階?そして末期症状とは?

また、「ステージ4、再発=末期がん」と、思われがちですが、ステージ4でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

また、ステージ4(もしくは再発)にも、いろんな状況が想定されます。

肺に転移が1つだけある方
肺や肝臓に無数の転移のある方
腹水が多量にある方
すべての抗がん剤治療を試み、治緩和ケアを提案される方

上記の通り、ステージ4(もしくは再発)といっても、いろんな段階があるのです。

効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階の対応

さて、ここでは、効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階の対応について、詳しくお伝えします。

このような段階は、病気に伴う心と体の痛みを和らげる治療、つまり緩和医療が中心となります。

  • 痛みがあるときは、痛み止めの薬の量を調節する
  • 精神的に落ち込んでいるときは、カウンセリングを受けたり、抗うつ薬の量を調節する

このような治療を中心に行います。

もちろん、がんと診断された時期から、上記のことは、同時並行でおこなっていくわけですが、「効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階」は、このことを、より強化していくのです。

この段階における治療は、決まったやり方があるようで、ありません。かなり、医師の力量が問われるところなのです。

そして、このような緩和医療をうけていただくことも、より長く生きていくことにつながることは、証明されています。

さらに、緩和医療しかないと言われたにも関わらず、以下のことを検討すべき価値はあります。

  • なんらかの治験も視野にいれることができないか?
  • 放射線治療を、本当にすることはできないのか?
  • 漢方を取り入れていたならば、今のままの漢方でよいか?
  • ラジオ波で、局所コントロールができないか?

ここまでについて、いかがでしょうか?

膵臓がんの治療の概要を分かっていただけたでしょうか?

あなたが、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、膵臓がんによる症状が楽になることもあります。

他のドクターから、主治医から提案されなかったような治療法を提案してもらったおかげで、さらにすい臓がんを縮小させれた事例もあります。標準的な治療とはされていない中にも、それなりの確率で、有効な治療法もあるのです。

そして、すい臓がんを、さらに小さくしていけます。

まとめとなりますが、以下の3つのことをバランス良く、活用することが大切です。

  • 適切な西洋医療
  • 適切な食事内容
  • 適切な東洋医学

そのために、知ってほしいことは、こちらに公開しています。

 

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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