温熱療法のすい臓がんへの効果を医師が解説!末期状態でも癌を制御するためにすべきこと
こんにちは。加藤隆佑です。がん治療専門医として、小樽協会病院という総合病院で勤務しています。
がん温熱療法(ハイパーサーミア)は、電磁波を利用して、がん細胞だけを加熱し破壊する治療法です。
そして、がん温熱療法は、がんを小さくする効果はあります。
温熱療法のすい臓がんに対する効果や、受けることができる病院について解説いたします。
目次
効果がある理由とは
がん細胞は、正常な細胞より温まりやすい上に、熱に弱いです。
したがって、同じように熱を加えた時に、がん細胞は正常な細胞に比べて1度から2度ほど高くなるために、がん細胞だけが死滅して、正常な細胞は生き残るのです。
- 脳と眼以外の場所に、できます。
- 体の負担は少なく、外来での治療が可能です。
- 抗がん剤や放射線治療との併用は、可能です。
- 健康保険が適用されます。
- 免疫機能が高められ、食欲増進、体力の回復、疼痛の緩和につながります。
ハイパーサーミアは、すい臓がんにも、効果はある
温熱療法は、すい臓がんにも、効果はあります。
しかし、温熱療法だけによる治療であるならば、残念ながら、膵臓がんを縮小させる効果は、ほとんどありません。
放射線治療や抗がん剤治療と併用することが大前提です。
抗がん剤治療と温熱療法を併用するメリット
抗がん剤単独よりも、治療効果が出ます。
さらに、抗がん剤の投与量を、ガイドラインに記載されている量の6から7割くらいの量にしても、かなりの抗がん剤の効果を出すことができます。
つまり、抗がん剤の副作用に悩まされないように治療を受けることができます。
放射線治療と温熱療法を併用するメリット
放射線治療単独よりも、治療効果が出ます。
また状況によっては、がんに対して、放射線を十分な量を当てられないことがあります。
このようなケースに置いても、ハイパーサーミアを併用することによって、放射線を十分な量を当てた時と同じような治療効果を出すことができます。
放射線を十分な量を当てられない時とは、再照射の時のことです。
ハイパーサーミアをどのように併用するか?
ここが最大のポイントです。
放射線治療や抗がん剤治療の前後1から2時間以内にハイパーサーミアを受けることが、一番理想的です。時間が空くほど、併用するメリットが薄くなります。
遅くても、治療前後の24時間以内にはハイパーサーミアをしたいところです。
しかし、理想は、1から2時間以内のハイパーサーミアです。
そのようなことをやっていただける病院は、国内に何個かあります。
ちなみに、TS-1といったような飲み薬の時も、ハイパーサーミアを併用することに意義はあります。
ハイパーサーミアに高圧酸素療法を足すと、さらに治療効果は上がる。
「ハイパーサーミアと高圧酸素を併用」した放射線治療や抗がん剤治療は、最強です。
私は、「ハイパーサーミアと高圧酸素を併用」しないと、がんを制御できないと判断した場合は、その治療をしっかりやっていただける病院に、短期間だけ行っていただき、治療を受けていただくことがあります。
私の担当している患者さんは、北海道の人が多いので、飛行機で行っていただくことになります。
さて、理想的には、高圧酸素療法も、放射線治療や抗がん剤を受けてから、1時間以内には受けたいところです。
ここまでのことをすると、非常に良い治療効果を生み出すことがあります。
「ハイパーサーミアと高圧酸素を併用」した放射線治療や抗がん剤治療を、責任をもってしっかりやっていただける施設は、日本に数個あるだけです。
そして、これらの治療を受ける順番は、以下のような感じにすると良いです。
放射線治療にハイパーサーミアと高圧酸素を併用する場合
ハイパーサーミア→高気圧酸素治療→放射線治療
放射線治療と抗がん剤治療を同日中にするときに、ハイパーサーミアと高圧酸素を併用する場合
抗がん剤治療→ハイパーサーミア→高気圧酸素療法→放射線治療
ハイパーサーミア単独の治療効果は?
抗がん剤治療や放射線治療から時間をかなり開けてハイパーサーミアをしても、がんの縮小には、あまり寄与しません。
また、ハイパーサーミアだけでは、がんの縮小は、同じくあまり期待できません。
しかし、以下のようなメリットはあります。
- 抗がん剤による副作用の軽減
- がんによる症状である浮腫や痛みの軽減
ちなみに、イタリアといった一部の国では、保険診療で認められている治療法です。
医学的なデータが、かなり豊富なのです。
注意点としては、ハイパーサーミアは連日で受けてはいけません。連日受けると、がんに対するハイパーサーミアの効果が落ちます。これを、熱耐性というのがあるからです。
3日の間隔をあけると良いです。
例えば、火曜日、金曜日という感じで、週2受けると良いです。ただし、週2回受けるのが大変な場合は、週1で大丈夫です。
免疫療法と温熱療法を併用すると効果はあるのか?
このことに関しては、私はデータを持っていないので、わかりません。
末期ガンに対して温熱療法は効果があるのか?
末期ガンと言われるような状態であっても、適切な放射線治療や抗がん剤治療を、温熱療法・高圧酸素療法と併用することにより、一発逆転とも言える治療効果になることはあります。
腹膜播種に対して温熱療法は効果があるか?
腹水が多量にたまった状態までなってしまうと、温熱療法を併用した抗がん剤治療でも、なかなか腹水を制御できません。
温熱療法を受けて逆効果になることはあるか?そして副作用は?
逆効果になることは、ないです。たとえば、逆にがんが増えてしまうといったことです。
温熱療法の副作用とは?
結構暑い中で、長時間じっとしていないといけません。暑いサウナの中で、じっとしているような感じです。
したがって、多少なりとも、体力は消耗します。
副作用をまとめておきます。
・熱傷(火傷)
まれに、治療部位の皮膚に熱傷(火傷)ができたり、皮下脂肪が硬くなることがあります。
・熱中症
患部だけでなく、体全体の温度が上がることで大量の汗をかき、熱中症を誘発することがあります。
・倦怠感
温度を上げる治療なので、微熱の後の気だるさ感や筋肉のこわばりが出ることがあります。
副作用をあげましたが、ちゃんとやれば、副作用はほとんどありません。
ちなみに、効果的なハイパーサミアを受けるために、もう一つ大切なのは、技師さんの技術です。
収益目的でハイパーサーミアを導入して、なんとなくハイパーサーミアをやっているところは、十分な治療効果を引き出せないでしょう。
ハイパーサーミアの効果を引き出すためには、技師さんのテクニックもとても重要なのです。
さて、ハイパーサーミア以外にも、がんを小さくする方法はあります。
最新の治療法も、無料で紹介しています。
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ハイパーサーミアを東京、並びにそれ以外の場所で受けるとしたらどこ?
ハイパーサーミアの機械を持っている施設の一覧はこちらです。
北海道札幌市 | 新札幌豊和会病院 |
北海道砂川市 | 砂川市立病院 |
北海道十勝市 | 社会医療法人北斗 北斗病院 |
岩手県盛岡市 | 医療法人天音会 おいかわ内科クリニック(全科) |
宮城県仙台市 | 八乙女駅前内科小児科クリニック |
福島県郡山市 | 財団法人脳神経疾患研究所附属 南東北医療クリニック |
茨城県水戸市 | あいん常澄医院 |
群馬県高崎市 | 日高病院 |
群馬県前橋市 | 群馬大学医学部附属病院 |
千葉県千葉市 | 千葉県がんセンター |
東京都目黒区 | 渋谷青葉台内科小児科クリニック |
東京都千代田区 | 神田医新クリニック |
東京都新宿区 | 東京女子医科大学病院関連施設 ビオセラクリニック |
東京都千代田区 | 東京クリニック |
東京都品川区 | 舘内記念診療所 |
東京都中央区 | ルーククリニック |
東京都港区 | 赤坂AAクリニック腫瘍内科 |
東京都豊島区 | 大塚北口診療所 |
東京都小平市 | 花小金井クリニック |
東京都多摩市 | 多摩南部地域病院 |
神奈川県相模原市 | 千代田クリニック |
神奈川県横浜市 | 横浜サトウクリニック |
神奈川県横浜市 | 横浜市立大学附属病院 口腔外科 |
埼玉県戸田市 | 戸田中央総合病院 |
埼玉県新座市 | 新座志木中央総合病院 |
埼玉県桶川市 | 埼玉県央病院 |
静岡県掛川市 | 東海クリニック |
長野県長野市 | 西和田 林クリニック |
岐阜県関市 | さわやか内科クリニック |
名古屋市中川区 | 名古屋共立病院 |
名古屋市昭和区 | メドック健康クリニック |
名古屋市立瑞穂区 | 名古屋市立大学病院 |
愛知県一宮市 | 総合大雄会病院 |
愛知県豊田市 | 成田記念病院 |
福井県福井市 | 福井赤十字病院 |
福井県吉田郡 | 福井大学医学部附属病院 |
富山県中新川郡 | 藤木病院 |
京都府京都市 | たけだ診療所 |
京都府京都市 | 百万遍クリニック |
京都府長岡京市 | 千春会ハイパーサーミアクリニック(千春会病院) |
京都府八幡市 | 八幡中央病院 |
大阪市北区 | 大阪ガン免疫化学療法センター |
大阪府大阪市 | 浅田クリニック |
大阪市中央区 | 心斎橋スリーアロークリニック |
大阪府茨木市 | 藍野病院 |
大阪府堺市 | 阪和第2泉北病院 |
大阪府茨木市上郡 | ハズしまぶくろクリニック |
大阪府茨木市 | 彩都友紘会病院 |
大阪府寝屋川市 | 星光病院 |
大阪府八尾市 | 新井クリニック |
大阪府泉佐野市 | IGTクリニック |
大阪府堺市 | 邦和病院 |
大阪府河内長野市 | 大阪南医療センター |
奈良県奈良市 | 西の京病院 |
兵庫県神戸市 | 協和病院 |
兵庫県神戸市 | 松本ホームメディカルクリニック |
兵庫県神戸市 | 新須磨病院 |
兵庫県芦屋市 | 南芦屋浜病院 |
兵庫県西宮市 | アガペ甲山病院 |
兵庫県西宮市 | 明和キャンサークリニック |
和歌山県和歌山市 | 向陽病院 |
和歌山県田辺市 | 南和歌山医療センター |
島根県出雲市 | 島根大学医学部附属病院 放射線治療科 |
鳥取県倉吉市 | 山本内科医院 |
岡山県岡山市 | 岡村一心堂病院 |
岡山県倉敷市 | すばるクリニック |
広島県福山市 | 花園クリニック |
広島市東区 | JR広島病院 |
愛媛県松山市 | 松山西病院 |
福岡県北九州市 | 産業医科大学病院 |
福岡県北九州市 | 戸畑共立病院 がん治療センター |
福岡県北九州市 | とばたクリニック |
福岡県福岡市 | 九州大学病院 |
福岡県福岡市 | 佐田病院 |
福岡県久留米市 | 久留米大学病院 |
福岡県遠賀郡遠賀町 | 健愛記念病院 |
福岡県福岡市 | 原三信病院 |
福岡県春日市 | 福岡徳洲会病院 |
福岡県八女市 | 公立八女総合病院 |
福岡県久留米市 | 久留米大学病院 |
佐賀県佐賀郡 | Y.H.C.(ヤマトホロトロピックセンター)矢山クリニック |
佐賀県鳥栖市 | 山津医院 |
長崎県佐世保市 | 佐世保中央病院 |
熊本県上益城郡 | 藤岡医院 |
熊本市 | 鶴田病院 |
熊本市 | えがしらクリニック |
熊本県天草市 | 天草第一病院 |
熊本県合志市 | まもと免疫統合医療クリニック |
熊本県菊池郡 | 玉名地域保健医療センター |
宮崎県宮崎市 | 宮崎大学付属病院 |
宮崎県都城市 | 横山病院 |
宮崎県都城市 | 横山病院 |
鹿児島県鹿屋市 | おぐら病院 |
鹿児島県鹿児島市 | 土橋病院 |
鹿児島県鹿児島市 | 鹿児島大学病院 |
鹿児島県いちき串木野市 | 花牟禮(はなむれ)病院 |
鹿児島県南さつま市 | 南さつま中央病院 |
沖縄県那覇市 | のはら元氣クリニック |
タイ | ロッブリーがん病院 |
ハイパーサーミアの費用は?保険適応は?
一連の治療の目安を8から10回とされることが多いです。週に1回前後の治療を行いますので、約3ケ月程度実施します。
効果がある患者様には、更に追加で行います。1回の治療(加温時間)は、45分です。
そして1連の治療(8から10回)で計9万円かかることになります。
自己負担が3割ならば、27000円の負担額となります。
注意点として、ハイパーサーミアを保険診療でなく、自由診療として行う病院もあります。その際は自己負担額はもっと高くなると予想されます。
まとめ
適切なハイパーサミアによる治療を受けることは、がんを制御していく上でとても大切です。
そして、ハイパーサーミア以外にも、がんを小さくする方法はあります。
しかし、いろんな情報があって、困惑していないでしょうか?また、亡くなってしまった、がんの方の闘病記を読んで、ショックを受けていませんか?
がんの情報を探すことが大事ですが、このようなマイナスの面もあります。
私は、最新の治療法なども、無料で紹介しています。
がん治療の専門医であり、常に情報収集をしている現役医師の立場からの情報発信です。
信頼ができ、いい情報を見逃さず、迷ったり不安にならないように、心がけています。そして、タイムリーな、がんの情報を、発信しています。
情報を探している、がんのご家族の方も、たくさん登録してくださっています。
以下のような感想をいただいています。
突然のことで、何もわからずとりあえず卵巣がんについてインターネットでいろいろ検索していて先生のHPに出会いました。
早速メルマガに登録させていだだき、「抗がん剤治療を受けるときに読む本」の拝読させていただいております。
先生のHP・メルマガに書かれている内容は、とても理論的で、西洋医学もしっかり踏まえた上で更に有益な方法をたくさん伝えて下さっていて、本当にわかりやすいです。
家族としてどのようにサポートすればいいのかが、かなり理解できました。
先生のような方に出会えて、本当に心強いです。ありがとうございます。
本当に、今年一年も、お世話になり、ありがとうございました。加藤さんのおかげで、自信をもって治療できるようになってきました。
今後とも宜しくお願い致します。
腫瘍マーカーもCEA1.1、CA19-9 16と通常範囲、肝機能、腎機能、その他検査数値も一切問題ありませんでした。次は術後1年半の検査です。
先生のメルマガやブログで勉強させてもらっていますので、日々の生活も不安なく過ごせています。
がんに苦しむ患者さんや、ご家族の方の不安を少しでも、取り除くことができればという思いで、メール講座を作っています。
闘病の苦痛を、わかってもらえないことは、多いです。がんとの戦いは孤独です。
少しでも、あなたや、ご家族の苦痛や孤独が、和らぐことを願います。
このメール講座が、その一助になれば幸いです。