1. TOP
  2. ハイパーサーミア
  3. 高圧酸素療法のがんへの効果を、医師が解説

高圧酸素療法のがんへの効果を、医師が解説

 2019/01/08 ハイパーサーミア  

こんにちは。加藤隆佑です。

高圧酸素療法というものがあります。

それを抗がん剤治療や放射線治療と併用すると、非常に良いです。

がんに対する治療効果が増強されます。

高圧酸素療法の適応とは?

以下のような疾患に対して、高圧酸素療法は用いられます。

ア 網膜動脈閉塞症

イ 突発性難聴

ウ 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍

エ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害

オ 皮膚移植

カ 脊髄神経疾患

キ 骨髄炎又は放射線障害

これは、厚生労働省が提示している内容です。

ちなみに、2018年に、高圧酸素療法に対する保険点数が以前の15倍にも高くなりました。

このことを契機に、高圧酸素療法がもっと普及するとよいです。

高圧酸素療法のがんに対する効果とは?

高圧酸素療法を受けるだけでは、がんに対する治療効果は期待できません。

抗がん剤治療や放射線治療を併用することが前提です。

そうすることにより、治療効果を増強させられます。副作用も減らすことができます。

高圧酸素療法は放射線治療により生じた副作用も改善できる

1つ事例をあげます。

直腸がんで放射線治療を受けた方がいました。

その方の陰部に、放射線治療が原因の潰瘍ができてしまいました。

放射線治療による潰瘍は治すことが難しいケースが多いです。

この方には、高圧酸素療法を受けていただき、潰瘍は治癒しました。

高圧酸素療法は、放射線治療の後遺症的な症状に、効果があるのです。

つまり、放射性膀胱炎、放射線直腸炎、放射線皮膚障害、放射線骨髄炎に対して、高圧酸素療法は有効ということです。

高圧酸素療法の治療効果をさらにあげるには?

高圧酸素療法の治療効果をあげるならば、ハイパーサーミアも併用するとよいことは、判明しています。

この2つを併用しつつ、抗がん剤治療や放射線治療に力をいれている施設は、非常によい治療成績をあげています。

たとえば、以下のような治療成績があります。

進行性非小細胞がんのパクリタキセル/カルボプラチンの併用療法をうけて腫瘍が縮小するのは約40%の患者さんと言われている。

一方で、高圧酸素療法とハイパーサーミアを併用すると、73%の患者さんの肺がんが縮小する。

 

卵巣がんに標準的に用いられるTC療法の効果がなかった患者さんに、高圧酸素療法とハイパーサーミアを併用してTC療法をする。

その結果、卵巣がんが縮小することが、それ相応の確率である。

 

私が担当しているがんの患者さんにも、状況に応じて、この治療法を受けていただくことは多いです。

高圧酸素療法はどのような治療法ですか?

水深 10~20mに相当の気圧環境の中で、100%酸素を吸入します。

その結果、血 液中の酸素量を増加させて、酸素不足の状態にある組織に対して改善を図ります。

がん組織は低酸素を好みます。したがって、高圧酸素療法で高酸素の状態にすることは、がん細胞によって嫌がる環境を作ることになります。

1回の治療時間は、通常約 90 分です。所定の圧まで上げるのに約 15 分、その後一定圧で 60 分、圧力を大気圧まで戻すのに約 15 分要します。

高圧酸素療法を受けると、その後約30分間がん細胞内の酸素分圧が上昇します。

高圧酸素療法の直後に、抗がん剤治療や放射線治療をうけないと、治療効果は落ちるといえます。

高圧酸素療法の副作用は?

主に耳痛です。

治療が始まり、圧力が上がってくると次第に耳が痛くなることがあります。

飛行機に乗った時や山に 登った時の症状のことです。あくび、つばを飲み込むなどして、耳抜きをするとよいです。

本日のまとめです。

がんの治療は、標準的な治療法をベースにしつつ、様々な枝葉をつけていくとよいです。

今回ご紹介した治療法も、その1つです。

治療効果をアップさせつつ、さらに副作用で悩まされることが減るからです。

そのために知っていてほしいことは、こちらに書いています。

ライター紹介 加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

この記事を書いた著者のことを、もっとよく知りたい方はこちら

関連記事

  • 温熱療法(ハイパーサーミア)の治療が受けられる病院の一覧と治療費について

  • 卵巣がんに対する腹腔内温熱化学療法(HIPEC)について医師が解説

  • 温熱療法のすい臓がんへの効果を医師が解説!末期状態でも癌を制御するためにすべきこと