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セカンドオピニオンを成功させる!手順や病院の選び方、頼み方について 

こんにちは。加藤隆佑です。小樽協会病院という総合病院で、がん治療を専門として、働いています。

本日は、セカンドオピニオンを成功させるコツについて、書いていきます。

私の17年間のがん治療の経験を踏まえて、あなたの悩みの解決の手助けになることを、書いていきます。

セカンドオピニオンの目的

今の治療法で良くならない場合

今の治療法で良くならないので、別の治療法が知りたいときや、今の治療法で、本当によいのかを、確認したいと、感じることがあるでしょう。

そのようなときは、セカンドオピニオンを検討するとよいでしょう。

もちろんのことですが、良くならない理由や、他の治療法がないかを、事前に主治医に聞いておきましょう。主治医の意見を把握し、その上で、セカンドオピニオンを受けることが大切です。

同時に、今のあなたのがんについて、ある程度知識を深めておく必要があります。

知識が乏しい状態で、セカンドオピニオンを受けても、十分な情報を得る事ができません。

患者さんがご高齢であったりして、判断を一人でできない場合は、ご家族の方が代わりになって、治療法について知識を持ちましょう。

国立がんセンターのがん情報サービスの内容や、「自分の病状、進行度、なぜ主治医が、今の治療法を勧めるのか」くらいは、知っておくべきです。

さて、セカンドオピニオンの結果、新たな治療法が提案されない可能性も、あります。つまり、今の主治医と、同じ治療方針が説明される結果になることもあります。

そうなったとしても、病気に対する理解が深まり、より自信をもって、今の治療を受けていくことができるようになります。

主治医と不仲であり、主治医を変えたい場合

いま治療中の病院に、何らかの不満(主治医とそりが合わないとか、主治医を信頼できない)があり、セカンドオピニオンを通して、最終的に、他の病院に移りたい方もいらっしゃります。

あなたと、医師の仲は悪くないのに、「家族が主治医を好きになれないので、セカンドオピニオンを受けて、その上で、主治医を変えよう」と考える方もいます。

他の病院と移っても、必ずしも、そりの合う医師にあたるわけではないことは、心の片隅に置いとくべきです。

名医が他の病院にいるという、うわさを聞いた場合

どうせ治療を受けるならば、名前の売れている医師から、治療を受けたいと思われのは、当然の心理です。そして、そのことを目的として、セカンドオピニオンを受けて、主治医を変えようとする方もいらっしゃいます。

家族が週刊誌や口コミ情報で「〇〇病院の〇〇先生はすごいらしい」と聞いて、セカンドオピニオンを受けて、主治医を変えようとする方も、います。

私も、「より良い医療を受けたい」という気持ちは、分かります。

しかし、冷静な気持ちになって、あなたにとって、「〇〇先生のすごい治療」を受けるメリットがあるかを、しっかり考えないといけません。

あなたの主治医の治療のままでも、結果は、大きく変わらないことも、多々あるからです。

例えば、手術の腕がよいということで、他の病院に移ったとします。そちらの先生は、その手術を2時間で、終わらせます。

一方で、あなたの今の主治医は、3時間で終わらせます。その1時間には、どれほどの意味があるかは微妙なところです。

「腕がよい」とは、具体的に、どのようなことをさすかを、しっかり考えたいところです。

私は、治療を安全に終わらせる技術が、あなたの主治医にあれば、それでOKとしても良いと、考えます。

むしろ、「自分の言いたいことを、しっかり伝えれる人間関係を構築できるか?」が、主治医選びで、もっと重要になってくると、過言ではありません。

今の主治医が、名前の売れた医師でなくても、あなたにとって、今の主治医が、名医である可能性は、高いのです。

また、腕のよい〇〇先生のいる病院に移ったとしても、「その◯◯先生は、監督程度の立ち位置となり、大半は、比較的若い医師が対応するというケースは多い」ことも、知っておいてください。

隣の芝を青く見えて、別の病院に転院するのは良くないのです。

そうはいっても、「〇〇先生のすごい治療」を求める必要がある局面もあることは、忘れてはいけません。

例えば、難易度の高い手術や、放射線治療の場合です。

治験を受ける場合

治験を受けるときも、治験が行われている病院に、セカンドオピニオンを求めるということになります。

セカンドオピニオンの目的は、転院ではありません

セカンドオピニオンは、主治医を替えたり、転院したりすることと、思われている方もいます。しかし、違います。

ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。セカンドオピニオンは、第2の意見を聞くことです。

始めから医師を変えたい場合は、セカンドオピニオンではなく、診療情報提供書を書いてもらい、転院・転医の手続きとなります。

セカンドオピニオンを受けたのち、結果的にセカンドオピニオン先で治療を受けることになるかもしれません。そのようなケースは、もちろん大丈夫です。

そうはいっても、「他の病院に変える決意はできているけど、そのことを主治医に伝えづらいがために、セカンドオピニオンで、ワンクッション置いてから、他の病院に変えたい方」は、いらっしゃることでしょう。

そのようなことが、今の主治医との人間関係を維持するのに役に立つならば、私は、OKと考えています。

ところで、注意点として、セカンドオピニオン外来では、診療行為(検査・治療等)は一切行いません。

また、病状の関係で、ご本人が来院できない場合は、ご家族だけでも相談は可能です。

ちなみに、こちらでも、あなたの悩みの解決につながる情報をご紹介しています。

セカンドオピニオンの手順

主治医に、セカンドオピニオンを希望していることを伝えてください。理想的には、セカンドオピニオン先を決めた上で、主治医に希望を伝えるとよいです。

そして、主治医に、セカンドオピニオン先に、資料を作ってもらいます。そして、セカンドオピニオンを受ける前までに、どのようなことを聞きたいかを、まとめておきましょう。

セカンドオピニオンを受けたら、その結果を、主治医に伝えます。

もし、セカンドオピニオン先の医師のところで、治療を受けることに、するならば、「主治医に、そのことを伝えて、改めて、今後の治療の依頼を、主治医にしてもらうこと」になります。

そのような手順を踏んだ方が、これまでの主治医と、セカンドオピニオン先の医師との連携もスムーズになり、あなたにとっても、良い医療を受ける結果になります。そして、これが、本来のセカンドオピニオンの流れになります。

一部のケースでは、セカンドオピニオン後に、主治医のところに一切顔をださず、セカンドオピニオンのところで、治療を受けることになるケースもあります。

紹介状なしで、セカンドオピニオンを受けられるか?

セカンドオピニオン外来の予約を取る時点で、病院側から「紹介状をもらってきてください」と言われることが大半です。もし、持参しなければ、不利益を被る可能性がでます。

例えば、セカンドオピニオンを受ける医師から、不審に思われるかもしれません。そうしたら、最初から人間関係がうまくいきません。また、情報が十分にないので、十分な、意見を聞くことをできない可能性が高いです。

最悪のシナリオは、漂流患者になることです。

今の病院の主治医とは関係がよくないので、セカンドオピニオンを通じて転院しようという場合で、紹介状なしで訪れたら、どこの病院も受け入れしないことでしょう。

結果として、行き場のない患者になってしまうこともありえます。それだけは、避けてほしいです。

ちなみに、私の場合は、患者様がかなり詳細な情報をお伝えして頂ける前提に置いては、診療情報提供書は、必須とはしていません。

セカンドオピニオンはがんセンター?どのように決めるのがよいか?

あらかじめセカンドオピニオン先が決まっている場合

決まっていたとしても、「自分が受けたいと思っているセカンドオピニオン先」について、主治医に相談してみてください。

そのことに関して、アドバイスをもらえるかもしれませんし、新たなセカンドオピニオン先を紹介してもらえ、選択肢や考えるポイントが増えることも、あります。

どこにするか迷っている場合

あなたの通われている病院のがん相談支援センターに問い合わせると、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や、専門領域の情報を調べてくれます。

また、あなたの住んでいる地域のがんセンターや、大学病院の大半が、セカンドオピニオンを行っています。その2つの病院は、セカンドオピニオンの候補に、常になることでしょう。

国立がんセンターがセカンドオピニオンでベスト?

国立がんセンターは、標準的な治療と、治験に力をいれています。

逆に、「標準的な治療以外に関しては、データが乏しいから、推奨をしない」というスタンスである傾向が強いです。

従って、標準的な治療の枠の中にない治療について、国立がんセンターで意見を聞いても、あなたが求める回答は返ってこないことでしょう。

しかし、標準的な治療以外にも、有効な治療法はあることは、事実です。

そのような治療法を用いないと、あなたの置かれた局面を切り抜けないこともあります。

がん治療の6割程度は、標準的な治療で対処できますが、残りの4割は、標準的な治療だけでは、うまくいかないことを知っておくべきです

以上を踏まえて、国立がんセンターでセカンドオピニオンを受ける意味合いとしては、以下の通りになります。

  • 標準的な治療の視点から、セカンドオピニオンを受けたいというとき
  • 治験のことに関して、セカンドオピニオンを受けたい場合

標準療法以外で、取り入れるべきことは、こちらで説明しています。

私のセカンドオピニオンの選び方

だれに、セカンドオピニオンを求めるかは、非常に大切です。

はじめに、どの科にするかです。

腫瘍内科なのか、外科なのか、放射線治療科か?

例えば、今の抗がん剤治療で、良くならないときに、他の治療薬がないかを確認するために、別の病院の腫瘍内科を受診することを検討されるかもしれません。

しかし、そのような局面で、実は、放射線治療が非常に効果的な場面もあります。そのように考えれば、放射線治療科にセカンドオピニオンを求めることが正解になります。

どの科を受診するかを、しっかりと見極める必要があります。

さらに、どの病院にするかも、しっかり見極めるべきです。

ある方が、「放射線治療に関して、ある病院の放射線治療科にセカンドオピニオンを求めて、放射線治療は意味がないであろうと、言われた方」がいました。

しかし、さらに別の病院の放射線治療科のセカンドオピニオンを受けて、「放射線治療が非常によい」と言われて、その治療を受けて、がんを完治させた方もいます。

あなたが、もし、「ある治療を受けたいという気持ちがあり、本当にその治療を受けるべき価値があるか」と、悩まれているならば、「この医師に、相談して、ダメと言われたら、そのことを受け入れるしかない」というぐらいの実力のある方に、相談してほしいです。

医師によって、判断能力や、テクニックの腕に、大きく異なります。

一方で、以下のような事例もあります。

私のところに、「今の状態で手術を受けたいが、どうしたらよいか?」という内容の、セカンドオピニオンを求められたことが、あります。

私は、「手術は、病院によっては、してくれるかもしれないが、リスクが非常に高く、受けるべきではない」と、お伝えしました。

「そうであったとしても、そのような手術をしてくれるかもしれない病院を教えてほしい」と言われたので、私はそのような病院を紹介しました。

そして、その病院でセカンドオピニオンを受けて、最終的に手術をしてもらうことになりました。

しかし、その後、全身状態が悪くなり、寝たきりになってしまいました。

あなたの求める治療を、セカンドオピニオンを通して、受けることができたとしても、その治療を受けることが正解なのかは、別問題です。

その見極めを、しっかりしないといけません。

オンラインでセカンドオピニオンを受けられるか?

私は、遠隔診療という形で、セカンドオピニオンをインターネットでやっています。そのようなサービスを提供しているところも、最近は、複数、でてきています。

主治医に言い出しにくい、どのように言ったら良い?拒否されたらどうする?頼み方や、言い方について

そのような不安を持たれる方も、いらっしゃいます。主治医の治療に、不満や不信を抱いていると思われて、その後の人間関係にひびが入るのではと、思われる方も多いです。

言い出しづらいかもしれませんが、勇気をもって、切り出しましょう。

最近は、嫌な顔をせず、情報提供書を書いてくださる医師が多いです。

ある医師向けのアンケートで、「セカンドピニオンを受けたいと言われて、そのことが主治医との人間関係の悪化につながらない」と答えた方が9割でした。

つまり、「セカンドオピニオンを希望しているけど、主治医との人間関係がこじれるので、セカンドオピニオンを控えること」は、大半の場合で、杞憂なのでしょう。

注意点として、医師には、サービス業的な要素もありますが、それに関しては、マクドナルドでの対応以下の傾向があります。そして、常識から考えられない対応を受ける可能性は、あります(全員がそのようであるというわけではありません)。

例えば、セカドオピニオンを正しく理解していない医師や、プライドの高い医師は、露骨に嫌な顔をするかもしれません。

そのような場合は、その程度の医師なんだと思って、あまり気にしないでください。

医師への具体的な頼み方

私の著書に書いてあることを、抜粋してみます。

・今の治療で問題はないと考えていますが、家族から別の専門の病院でも意見を聞いた方がよいと言われましたので、セカンドオピニオンのためのお手紙をおねがいできないでしょうか?

・家族がいろいろ調べてくれました。私は乗り気ではないのですが、家族の気持ちを無駄にしたくないので、セカンドオピニオンのためのお手紙をお願いできないでしょうか?

・先生のこれまでの治療に感謝しておりますし、今後もここで治療を受け続けたいのですが、知り合いから、もう1つの病院でも意見を聞いた方が、もっと安心できると言われました。そこで、セカンドオピニオンのためのお手紙を書いてもらえないでしょうか?

そのように言えば、主治医との人間関係を壊さずにすることでしょう。

万が一、そのようにお願いしても、しっかりとした対応をされなかったら、その病院の窓口の1つにもなる、がん相談支援センターに、伝えてください。

その対応を、してくれることでしょう。

セカンドオピニオンの値段や、かかる費用は?相場は?

セカンドオピニオン外来は、自由診療ですので、健康保険の適用にはなりません。

値段としては、一時間5000円のところもあれば、3万円のところもあり、病院が自由に決めることができます。相場としても、非常に幅があるのです。

ただし、セカンドオピニオンを受けるために、主治医に書いてもらう診療情報提供書にも、お金がかかることを忘れてはいけません。その値段も数千円します。

セカンドオピニオンの受け方

セカンドオピニオン先で聞きたいことを、あらかじめまとめておきます。

あなたが不安に思っていること、判断がつかないこと、本当に知りたいことについて、紙に簡潔に、箇条書きで、書きます。

最後に、パソコンでタイピングしたり、きれいな文字で書いたりして、セカンドオピニオンの始まる前に、事前に窓口で、渡すとよいでしょう。

その上で、あなた自身も、その紙を見ながら、直接ドクターとお話をしてもよいです。

また、聞いた事を忘れないために、録音をするのもよいです。ただし、録音する場合は、事前にその旨を医師に伝えてください。

伝えなくて録音してもよいですが、主治医からは、録音していることは、察知されますし、医師からよい印象を持たれません。あなたが、逆の立場なら、よいイメージを持たないのと、同じです。

よいセカンドオピニオンを受けて、がんを克服していきましょう。

もし、セカンドオピニオンでも解決できない問題があれば、私もご相談に乗ることができます。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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