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がんが大きくなって、ショックを受けたときの対処法

こんにちは。加藤隆佑です。

がんが大きくなって、ショックを受けることが、あるかもしれません。

しかし、がんの大きさ以外にも、目を向けてほしいことがあります。

医師である私は、いろんなところをみて、がんとの戦いの状態を判断します。

小さくなったかどうかは、判断基準の1つにすぎません。もっといろんなところに、目を向けましょう。

この話を、試験に例えてみましょう。

総合点が合格点に至らなかったとします。しかし、内訳をみたら、国語が100点で、算数が50点だったとします。

そのような場合は、国語はがんばりました、算数はもっと力をいれましょう、ということが、判明します。さらに、どのようにして、挽回していくかが、分かります。

がんの治療も同様です。がんの大きさだけでなく、他のところにも目を向けるとよいです。

そして、弱いところを強化していくとよいです。

その結果、免疫力がアップします。

そして、がんの成長を、ブロックできます。

ここから先は、どのような部分に注目すべきかを、説明します。

がんによる症状

がんによる症状があるかどうかは、重要なチェック項目になります。がんによる症状が制御されていないと、免疫の状態は、悪化するからです。

逆に、症状に悩まされなければ、免疫の状態をよい状態にできます。

それでは、もし症状がでてきたらどうするのでしょうか?

薬や漢方の調節、放射線治療などで、症状を制御できないかを検討します。

そして、がんに簡単には負けない体をつくっていきましょう。

ところで、がんが大きくなったという結果になっても、以下のように考えてください。

「まだ、がんによる症状はでていない。これは、とても評価すべきことだ」

悪いところばかりに目を向けないで、良いことにも、目を向ける意識が大切です。

栄養状態の評価

栄養状態は、重要なチェック項目になります。

栄養状態がよいと、より免疫の状態は良くなります。

つまり、がんとの戦いの状態が有利な状態かどうかは、栄養状態を見ると良いです。

そのために、採血で、アルブミンという数値を確認しましょう。この数値を、ある程度、高い状態に維持したいです。

もし、あなたが手術を受けないといけない状況ならば、以下の数値を確認してください。

Prognostic Nutritional Index= 10 × (アルブミンの値) + 0.005×( 総リンパ球数)

この数値が、40未満ですと、手術の合併症が起きやすくなると言われています。

さて、がんが進行したり、体の中で炎症が起きると、アルブミン値は下がります。

そのときには、食事療法や漢方で、アルブミン値の改善を試みます。

炎症の数値

体の中で炎症が起きているか否かは、重要なチェック項目になります。体の中で炎症があると、がんの成長は、促進されるからです。

したがって、体の中で、なるべく炎症が起こらないようにすることが、理想的です。

さて、好中球とリンパ球の比率や、CRPという数値は、体の中の炎症の状態を示します。

この数値が落ち着いていることは、非常に評価できるということに、なります。

もし、炎症を示す数値が高くなった場合は、漢方や食事療法が有効です。

中には、漢方で、正常にもっていけないケースもあります。

そうであっても、炎症の悪化に対抗する力を、漢方は与えてくれます。

だからこそ、そのような力を持つ漢方を取り入れることは、重要なのです。

血液のサラサラの程度は適切か?

血液がサラサラな状態か否かは、チェック項目になります。血液がドロドロな状態ですと、血のめぐりは悪くなるからです。

がんは、血のめぐりが悪い状態を、好みます。したがって、血をサラサラにしていくとよいです。

また、がんが全身に広がり、末期に近い状態になるほど、血栓ができるリスクは高くなります。

したがって、たまに採血で、血液の凝固に関連する項目をチェックすることは、大切です。

  • Dダイマー
  • TAT

これらの数値が高いときには、血をサラサラな状態にすることを、心掛けないといけません。

漢方や食事療法が、有効です。

同時に、血栓の予防を心がけないといけません。

このことに関しては、こちらの記事を参考にしてください。

筋力や食事は大丈夫か?

筋力や、食事がしっかりとれているかも、重要なチェック項目になります。

この2つが損なわれると、がんと闘う力は、落ちてしまいます。

逆に、食事をしっかり食べれて、筋力が維持できていれば、簡単には、がんには負けません。

もし筋力が落ちた時には、リハビリが有効です。

また、食事がしっかりとれていないときは、薬膳的な食事が有効です。

本日のまとめ

がんが増大しないかどうかは重要です。

しかし、その部分だけを注目すればよいわけでは、ありません。

また、万が一、がんが大きくなってしまっても、以下の状態を、少しでも長期にわたって、正常に近い状態に維持する努力が必要です。

  • がんによる症状の有無
  • 抗がん剤による副作用の有無
  • 栄養状態(アルブミンの数値)の評価
  • 炎症を示す数値
  • 血液のサラサラの程度の評価
  • 筋力や食事量

この部分が損なわなければ、がんによって命を奪われることはないのです。

そして、がんが大きくなったからといって、これまでやってきたことは、すべて無駄と思わないでほしいです。

「これまでいろいろやってきたからこそ、この状態が維持できている」

このような認識を持ってください。

そして、常に以下のことを意識してください。

  • 運動
  • 食事
  • 漢方

よいところがあれば、まだまだやれることはあります。挽回のチャンスもあるのです。

なによりも、生きていられるのです。

ちなみに、私が三種の神器と考える3つの組み合わせの漢方があります。私がセミナーなどでお話ししているものです。この3つは、どんなときにも、飲み続けてほしいです。

その上で、そのときの状況に合わせて、漢方や食事療法のやり方を微調整するとよいです。

さて、もし治療のことで悩むことがあれば、私もご相談にのらせてもらっています。

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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