大腸がんステージ2の完治を目指す治療を医師が解説!生存率をあげる工夫とは?
こんにちは。加藤隆佑です。小樽協会病院という総合病院で、がん治療を専門として、働いています。
さて、今日の本題です。
大腸がん(結腸がん、直腸がん)ステージ2の手術後の再発率を、より下げることは、できます。
再発率を0に近づけることを目指しましょう。その結果、生存率をあげて、完治を目指せます。
大腸がんに負けない体を、作ることはできるのです。
私の16年間の大腸がん治療の経験と、医学的なデータをもとに、大腸がんを克服するコツを説明いたします。
目次
大腸がんの再発率を下げて、生存率を上げることはできる。その方法とは?
以前に比べると、ステージ2の大腸がんは、治癒できる病気になっています。
そのことを数値を用いて、説明します。
「直腸以外の場所にできた大腸がん」の5年生存率は、91%です。ちなみに、5年生存された人の中には、再発している人も含まれています。
次に、「直腸以外の場所にできた大腸がん」の再発率に関しては、約14%となります。
また、直腸がんの再発率は、平均すると24%と言われています。
他のがんに比べると、再発率は低く、治癒する確率は高いと解釈できます。
しかし、再発する危険が、常に伴うことには変わりありませせん。だからこそ、再発率をさらに下げる工夫をして行く必要はあります。
可能ならば、再発率を0にしたいです。しかし、現実的には再発を、0にはできないでしょう。
そうであっても、再発率を、さらに下げることはできるのです。
そして、完治を目指しましょう。
そのための方法を、順を追って説明していきます。
大腸ステージ2の標準的な治療の問題点と、注意点
標準的な治療とは何?
ステージ2の大腸がんは、リンパ節への転移がない状態です。
治療方針としては、手術で、がんの切除を試みます。
その後は、再発してこないかを、経過を見ていくだけになります。
ただし、以下のケースにおいては、再発率が高いので、手術後しばらくの間、抗がん剤治療を受けた方が良いです。
- がんが、隣の臓器に食い込んでいるケース
- がん細胞の顔つきが悪い場合(低分化がん、印環細胞がんなど)
- 大腸がんにより、腸閉塞になった場合
- 大腸がんのために、腸に穴が空いた場合
繰り返しになりますが、一般的な大腸がんで、ステージ2の場合であるならば、抗がん剤治療を受けることなく、経過を見ていくだけです。
ステージ2の抗がん剤の効果はあるのか?
あなたは、「経過を見るだけでは不安なので、ステージ2であっても、抗がん剤治療を受けたい」と思われたかもしれません。
残念ながら、ステージ2の手術後に、抗がん剤治療を受けても、「再発率を下げることができない」というデータが出ているのです。
また、再発を抑えるのは、抗がん剤だけではないことを、忘れるべきではありません。
東洋医学(漢方)に効果はあるのか?
漢方を飲むメリットは、以下のようなものになります。
- 手術後の体調を良くする。
- がんの再発を抑える。
西洋医学で用いられる薬に比べれば、漢方のデータの数は少ないです。
しかし、上記のことを支持するデータは、複数あります。
また、私をはじめ、漢方の専門医は、「漢方が、がんの治療に効果があること」を、多数のがんの方への治療の経験から、分かっています。
漢方は、取り入れる価値の非常に高い治療です。
最近は、保険診療で漢方を処方できるようになっています。そして、漢方に、理解を示してくれる医師は、増えています。
ちなみに、より専門性の高い漢方を処方する医師は、煮出して(煎じて)飲む漢方を用います。そちらの方が、概して、効果は強いです。
食事を工夫すると、再発率を抑えられるか?
以下のような報告があります。
877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討した愛知がんセンターからの報告。
豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になる。
上のデータは、「胃がんにおいて、食事内容を工夫をすると、再発が抑えられ、より長く生きられる」というデータです。
胃がんだけでなく、大腸がんでも、同じことが言えるでしょう。
がんを抑えることと、食事内容には、強い関係があることを、知っておいてほしいです。
大腸がんの手術後の食事について
大腸がんの手術後は体力が落ちています。
退院の直後から以前と同じような生活を送ると体に負担を与えます。体力の温存を意識して生活することが大切です。
また腹部の手術後しばらくは、なるべく消化のよいものを食べましょう。以下のものを大量に食べると腸閉塞を起こすことがあるからです。
- ごぼうといった繊維質の多いもの
- 水分を吸って膨らむ昆布などの海藻類
- 噛まないで飲み込みがちなそばや、中華麺
手術後しばらくはこれらの食品を控えめにするか、細かく刻みよく噛んで少しずつ食べましょう。
注意点ですが、これらのものを食べてはいけないと言っているわけではありません。
たとえば繊維が多いものは体に必要なものであり、むしろ積極的に体に取り入れて欲しいです。
そこで、取り入れる量や食べ方には注意を払っていきましょう。その際には、調理法を工夫するという手もあります。
大腸がんステージ2の手術後の5年生存率
上記のデータは、2005年から2007年の間に、大腸がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。
つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっているでしょう。
また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。
5年生存率のデータには、再発した方も含まれており、生存率は完治率を意味する訳ではありません。
また、より詳しい生存率は、「全がん協生存率」というサイトから見ることができます。
大腸がんの手術後に、定期的に受けた方が良い検査
検査
医師によって、若干異なりますが、多くは、以下のようなやり方で、検査をして、再発がないかをチェックします。
腫瘍マーカー(採血):3ヶ月に1回
CT:半年に1回
大腸カメラ:1から2年に1回
腫瘍マーカーが上がったらどうするか?
定期検査の検査結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。
しかし、右肩上がりに腫瘍マーカーが上昇する場合は、注意が必要です。
たとえ、腫瘍マーカーの数値が正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、再発の兆候であることが多いです。
治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインとなります。
再発の兆候で、知っておくべきこと
再発の症状として、知ってほしいこと
再発に特徴的な症状はありません。無症状で、再発することも、多いです。だからこそ、定期的に検査を受けることが必要です。
再発の起きやすい時期と場所
大腸がんの再発は、いつ起こるかは、わかりません。しかし、手術をしたのちの5年以内に再発することが大半です。
3年以内に再発する方が約80%であり、5年以内に再発する方が、95%です。そのように考えれば、手術をして5年経過をしたら、再発の不安からは、かなり解放されることでしょう。
5年間は、気を抜かず、日常生活に気をつけつつ、定期的に検査を受けることが大切です。
ちなみに、再発する場所として多いのは、肝臓と肺です。最初にみつかったがんの近くに、再発することもあります。
万が一、再発が見つかっても、適切な対処を行えば、完治にもっていくことも、珍しくはありません。
そして、ステージ2の大腸がんに負けない体を、作っていきましょう。
そのために、知っておくことがあります。