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肺がんのステージ別と、転移した部位別の治療法を、医師が解説!ステージ4や再発でも克服を目指す!

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療の専門医として、総合病院で勤務しています。

肺がんを克服するためのコツがあります。

また、肺がんの抗がん剤治療の副作用をとるために、知っておくべきことも、あります。

私の16年間のがん治療の経験を踏まえて、あなたの肺がんの悩みの解決の手助けになることを、書いていきます。

 

肺がんの初期症状(自覚症状)と、その取り除き方

はじめは、ほとんど症状がありません。病状の進行とともに、せき、たん、血痰(血の混じったたん)、発熱、呼吸困難、胸の痛みなどの症状があらわれます。

しかし、これらは、肺がんでなくても、起こりうる症状です。複数の症状がみられたり、長引いたりした場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

また、症状がなくても、検診の胸部X線検査やCT検査にて、発見されることもあります。

病院で、手術、放射線治療といったがんの治療を受けることにより、症状を改善させることはできます。

肺がんのステージの決め方

CT、PET、MRIでがんの広がりを調べます。さらに、気管支鏡と呼ばれる内視鏡を挿入して、気管支の中を観察し、がんが疑われる部位から、細胞を採取して、どのような顔つきの、がんであるかを、調べます。

気管支鏡で細胞を採取できる可能性が低い場所にがんがある場合は、皮膚から細い針を刺して、細胞を採取して調べます。

細胞を採取ができない場合や、細胞を採取しても、診断が下せないときは、手術で胸を切開し、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取して調べます。

ステージの詳細は以下の通りです。

ステージに応じた治療法と生存率

ステージ1、ステージ2、一部のステージ3Aの肺がん

手術で、がんを切除できるできる段階です。安全に切除できる場合は、手術で切除してもらいましょう。

最近は、がんが小さければ、放射線治療だけでも、根治になることも、増えてきました。

一方で、がんを切除しても、再発の危険はあります。再発の危険度によっては、抗がん剤治療を受けた方が、良いこともあります。

2cm以上の肺がんで、ステージ1Aもしくはステージ1B期の肺がんならば、テガフール・ウラシル配合剤(UFT)という飲み薬の抗がん剤治療を、しばらくの間、受けることが、推奨されています。

それほど、負担のかからない抗がん剤治療です。

ステージ2、3Aならば、シスプラチンという点滴の抗がん剤を併用した抗がん剤治療を行うことが、推奨されています。

手術後に「シスプラチン+ビノレルビン」という抗がん剤治療を受けた場合の生存率は、以下の通りです。

ステージ2:手術だけ43%、手術+抗がん剤54%
ステージ3:手術だけ22.5%、手術+抗がん剤40%

注意点として、シスプラチンは体に負担のかかる治療です。シスプラチン併用の抗がん剤治療による、治療関連死は約1%です。

従って、負担のない範囲で、抗がん剤治療を受けることは大切です。同時に、徹底的な副作用対策をしましょう。

医師にしてもらう副作用対策と、あなたが自宅でできるセルフケアを組み合わせると良いです。

一部のステージ3Aとステージ3B、ステージ3Cの肺がん

手術で、取り除くことができない段階です。

2つに分けて、考えます。

1、根治を目指す放射線治療ができる段階

手術ができない段階であっても、根治を目指す放射線治療をできる、がんの広がり方ならば、抗がん剤と放射線治療を同時併用した治療を受けることになります。

ちなみに、体力がなくて、抗がん剤治療を受けることができない場合は、放射線治療だけになることも、あります。

抗がん剤としては、以下のどれかが、用いられることが多いです。

カルボプラチン+イリノテカン併用療法,カルボプラチン+パクリタキセル療法,シスプラチン+ドセタキセル療法

どれもが、体に比較的、負担のかかる治療になります。

医師にしてもらう副作用対策と、あなたが自宅でできるセルフケアを組み合わせて、乗り切っていきましょう。

ちなみに、根治を目指した「放射線と抗がん剤治療の併用療法」をした後に、再びがんが大きくなるのを防ぐために、2018年の7月より、イミフィンジ(デュルバルマブ)という薬剤が用いることができるようになりました。

2、根治を目指す放射線治療ができない段階

次にお話するステージ4の肺がんに準じた治療になります。

ステージ4もしくは、再発の肺がん

肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。この状態は、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

抗がん剤治療が中心となります。その治療により、体に広く散らばっているがんが、制御できたと予想される場合は、根治を目指した手術が、なされることがあります。

さて、上記のデータは、2006年から2008年の間に、肺がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています。

また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。

肺がんの抗がん剤の効果

肺がんには、抗がん剤治療が、比較的効きやすいがんです。

また、がんの遺伝子検査を結果、がんの増殖に関わる分子を制御する薬(分子標的薬)を、用いることが判明したす場合は、さらによい治療結果にもっていけます。

ステージ4、もしくは、再発をした場合には、以下のような流れになります。

①遺伝子検査の結果、分子標的薬を用いることができると判明した場合は、はじめに、分子標的薬による治療となります。

具体的には、以下のような感じになります。

・EGFRという遺伝子の変異が認められる肺がん

イレッサ(ゲフィニチブ)、タルセバ(エルロチニブ)、ジオトリフ(アファチニブ)のどれかによる治療

それが効かなくなった場合は、EGFR T790Mという部位の遺伝子の変異があるかを調べ、もし変異があれば、タグリッソ(オシメルチニブ)による治療

・ALK遺伝子の変異が認められる肺がん

ザーコリ(クリゾチニブ)による治療

それが効かなくなった場合は、アレセンサ(アレクチニブ)もしくは、ジカディア(セリチニブ)による治療

・EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座のないPD-L1が出現しているがん細胞が50%以上の方

キートルーダ(ペムブロリズマブ)という免疫チェックポイント阻害薬

②上記で用いた分子標的薬が効かなくなった場合や、上記の分子標的薬の適応がない肺がんは、抗がん剤治療になります。

「シスプラチン+ペメトレキセド」「シスプラチン+ジェムザール」「カルボプラチン+TS-1」「カルボプラチン+パクリタキセル」「カルボプラチン+アブラキサン」のうちの、どれかによる治療法になることが多いです。

つまり、シスプラチン、カルボプラチンという白金系に分類される抗がん剤を併用する治療です。

4から6クールその治療を受け、がんをある程度縮小させたら、その後は、シスプラチンやカルボプラチンを含まない抗がん剤治療が中心になります。

体に負担がかかるために、長期間にわたって、シスプラチンやカルボプラチンを、受け続けられないのです。

例えば、「シスプラチン+ペメトレキセド」で治療を受けていた方ならば、ペメトレキセド単剤になることが多いです。

そして、上記の治療が効かなくなった場合は、オプジーボ(ニボルマブ)もしくはテセントリク(アテゾリズマブ)による治療か、「ドセタキセル+ラムシルマブ」,「ペメトレキセド」、「TS-1」の中で、受けたことがない抗がん剤となります。

一部の方には、免疫チェックポイント阻害薬が、副作用も少なく、非常に長期間効いて、劇的にがんが縮小することもあります。

1つ事例を提示します。

65歳の男性

抗がん剤治療をしていたが、それらの効果がなくなり、2013年よりオプジーボを投与。

2018年現在も、縮小の状態を維持。

 

注意点として、「ドセタキセル+サイラムザ」「アリムタ」「TS-1」の内の、どれかしか治療の選択肢が残っていないならば、治療の手詰まり感は、否めません。

そのような段階になったときには、下記のことも、再検討しましょう。

なんらかの治験も視野にいれることができないか?

また、長期にわたる治療になることが予想されます。そこで、抗がん剤による副作用で、体力を失わないようにしないといけません。副作用を減らす工夫も、必要です。

いろんな対策がありますが、ここでは、口内炎で悩まれているときの対策をお伝えしますね。

病院で処方してもらえるエレンタールという栄養剤があります。

それは、口内炎の予防と治癒の促進に役立ちます。

さらに、栄養も取れるわけですから、一石二鳥です。このような、手軽にできる工夫が、たくさんあるのです。

補足①)扁平上皮がんでなければ、ベバシズマブというがんを栄養する血管をできないようにする分子標的薬も、併用されます。

補足②)ペメトレキセドは、扁平上皮がんの場合は、用いられません。

補足③)キートルーダの治療歴のある場合や、EGFR変異陽性の場合には、ニボルマブは、適応になりません。

補足④)2018年より、テセントリクという免疫チェックポイント阻害薬が、一部の抗がん剤と、併用できるようになりました。

肺がんの抗がん剤の副作用

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、心臓への影響として動悸、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用が、どの程度出るかに関しては、個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療の中断を検討することもあります。

あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが、伝えないと主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

副作用対策をしてもらいましょうそうすれば、副作用を、かなり取り除けるようになります。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めが、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。

そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
主治医が副作用対策を熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされることがあるのです。

もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が投与されていることがあります。

もう少し具体的にお伝えします。

一般的な抗がん剤は、体重と身長から、投与量を計算します。体重が減れば、抗がん剤の量を減らすことになりますが、従来の体重の量のママで、抗がん剤が投与され続けていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

体重の1kg程度の増減は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の増減のときは、主治医に伝えるべきです。

代替療法的な手法を取り入れることにより、副作用を緩和させることも、できます。

肺がんでよく用いられる抗がん剤の1つであるシスプラチン(もしくはカルボプラチン)、パクリタキセル(もしくはドセタキセル、アブラキサン)では、特に注意しないといけない副作用があります。それは、しびれです。

後遺症としてしびれが残り、自分で歩く事が困難になったり、ボタンを自分でつけれなくなることもあります。

しびれに関しては、適切な対処が必要です。主治医には、しびれがでたときには、報告して、適切な対処をしてもらいましょう。

弾性ストッキングを用いて、しびれを発生させる可能性を低くすることもできます。

副作用に悩まされずに、肺がんの治療を受けるために知ってほしいことは、こちらで公開しています。

 

転移した部位に合わせた治療法

肝転移

肝臓に転移していると、ステージ4の段階になります。したがって、ステージ4の治療に基づいた治療を受けることになります。つまり、抗がん剤治療です。

肝転移が少数の数であり、肝臓以外にがんが存在せず、さらに、肝転移の状態が長期間にわたって落ち着いているときは、以下の治療法が検討されることもあります。

血管内治療
ラジオ波焼却術(RFA)
放射線治療
手術

リンパ節転移

がんの周りの転移しているリンパ節ならば、手術で取り除くことになります。
この場合は、ステージ2かステージ3に該当します。

一方で、広い範囲に転移している場合のリンパ節転移は、手術で取り除くことは、不可能であり、ステージ4の診断となります。その場合は、ステージ4の治療に準じた治療、つまり抗がん剤治療が中心となります。

胸膜播種、腹膜播種

胸の中や、胸膜という膜があります。また、お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように、胸やお腹の中にバラバラと、がんが広がることです。その場合も、抗がん剤で、治療をしていくことになります。

ステージ4に準じた薬物療法になります。

肺がんで胸水多量のときの治療法

さて、胸膜播種がひどい状況になると、胸水がでます。さらに、胸水の量が非常に多いと、呼吸困難に陥り、命にも関わる状態になります。

そのような状況での、抗がん剤治療は、副作用のリスクが高くなるので、慎重に行わないといけません。

そのような状況でも、治療によって、がんを制御できれば、胸水を減らすことができます。

呼吸困難といった症状もだいぶ、楽にしていくことが、できます。

胸水が非常に多いときは、胸水を抜かないといけません。その、胸水を抜いた後に、その胸水を「ろ過+濃縮」したあとに、胸水の中の栄養成分だけを、体内に戻す腹水ろ過濃縮再静注法(CART)を行うことがあります。

また、胸膜癒着術という方法で、胸水がたまらないような治療を行うこともあります。

同時にステージ4や再発に準じた薬物療法になります。

骨転移の治療

薬物療法と、放射線治療を併用することもあります。薬物療法では、痛み止めや骨の転移による骨折を予防するために、骨粗しょう症の治療薬としても使用するビスフォスフォネート製剤やデノスマブを服用します。

放射線治療では、痛みの緩和や、骨折の危険性が高い場合、体の麻痺の出現の可能性がある場合などに行われます。

同時に、ステージ4や再発に準じた薬物療法になります。

脳転移の治療

脳転移には、放射線治療による効果が期待できます。

脳全体に放射線を照射する「全脳照射」と、転移がある部分にのみ放射線を照射する「定位放射線治療」があります。

転移の個数がすくない場合は、「定位放射線治療」になります。転移の数が多い場合は、「全脳照射」になります。「全脳照射」に「定位放射線治療」が併用されることもあります。

同時にステージ4準じた薬物療法になります。

ところで、「定位放射線治療」は、非常にたくさんの放射線を、ピンポイントで病変にあてます。その結果、がん細胞を完全に死滅させることもできます。

脳転移があっても、「定位放射線治療」を行い、同時に、抗がん剤治療をうけて、完治になった方もいらっしゃいます。

1つ事例を提示します。

脳転移のある肺がんの診断→脳転移の2箇所に対して、放射線治療→肺がんの手術→しばらくの間、再発する確率を下げるための抗がん剤治療→現在は、再発なく経過中

肺がんステージ4や再発の肺がんは治る?それとも、末期で余命を数える段階?そして末期症状とは?

また、「ステージ4、再発=末期がん」と、思われがちですが、ステージ4でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

また、ステージ4(もしくは再発)にも、いろんな状況が想定されます。

肝臓に転移が1つだけある方
肺や肝臓に無数の転移のある方
すべての抗がん剤治療を試み、治緩和ケアを提案される方

上記の通り、ステージ4(もしくは再発)といっても、いろんな段階があるのです。

ステージ4や、再発であっても、寛解にもってこられるケースは、あります。

さて、ここでは、効果の期待できる抗がん剤治療が提案することができない段階の対応について、詳しくお伝えします。

このような段階は、病気に伴う心と体の痛みを和らげる治療、つまり緩和医療が中心となります。

痛みがあるときは、痛み止めの薬の量を調節する
精神的に落ち込んでいるときは、カウンセリングを受けたり、抗うつ薬の量を調節する

そのような治療を中心に行います。

もちろん、がんと診断された時期から、上記のことは、同時並行でおこなっています。「効果の期待できる抗がん剤治療が提案できない段階」は、そのことを、より強化していくとういことです。

この段階における治療は、決まったやり方があるようで、ありません。

かなり、医師の力量が問われるところなのです。

そして、緩和医療をうけていただくことも、より長く生きていくことにつながることは、証明されています。

抗がん剤、手術、放射線治療だけが、より長く生きていくための治療ではないことを忘れてはいけません。

ここまでについて、いかがでしょうか?

肺がんの治療の概要を分かっていただけたでしょうか?

あなたが、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、肺がんによる症状が楽になることもあります。

さらに、他のドクターから、主治医から提案されなかったような治療法を提案してもらったおかげで、完治された事例もあります。

標準的な治療とはされていない中にも、それなりの確率で、有効な治療法もあるのです。

そのようなことも、取り入れて、肺がんを克服していきましょう。

そのために知っておいてほしいことは、こちらで公開しています。