がん治療で、お金の補助を得るために知っておきたい事を医師が解説!
こんにちは。加藤隆佑です。
本日は、がんの医療保険制度と、公的支援について解説いたいします。
日本は、国民皆保険制度になっています。
加入者が収入に応じて保険料を出し合います。そこから医療費を払います。
医療保険は、何個かに分類されます。
目次
どのような医療保険がある?
大企業で働く従業員と扶養家族がはいるのは、政府管掌健康保険です。
中小企業などの従業員と扶養家族が入るのは、組合鑑賞健康保険です。
船員とその扶養家族が入るのは、船員保険です。
公務員や私学の教職員とその扶養家族が入るのが、共済保険です。
これらの保険に加入できない場合は、国民健康保険に入ることになります。
退職したら、どうなる?
退職後は、国民健康保険に入ることになります。
そして、医療費の自己負担割合は、以下の通りとなります。
(厚生労働省のホームページより引用)
抗がん剤治療や手術において、毎月、どのくらいのお金がかかる?
最近は、一人にかかる医療費は、非常に高額になっています。
薬剤費が非常に高くなるからです。
たとえば、リムパーザという内服薬があります。
毎日飲む薬です。1日あたり600ミリグラムのむとしたら、1日あたりの薬価は約24000円です。
1ヶ月飲んだら、約72万円です。
このような高額な薬剤は、非常に増えています。
そのような背景を考慮すると、大半の方は、高額療養費制度を利用することになります。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、毎月の支払いに対して、上限を設けるものです。
高額療養費制度は一度窓口で費用を支払い、数ヶ月後に自己負担額を越えた分が払い戻されるという制度です。
外来、入院、介護保険にかかる費用すべてが、高額療養費制度の対象となります。
以下の通りとなります。
(厚生労働省のホームページより引用)
一時とは言え、十数万が出ていくのは心許かと思います。そんな方には「限度額認定証」という制度があります。
限度額認定証とは?
限度額認定証を事前に申請し、支払いの際に窓口で提示すると、自己負担額を越えた分はその場で支払う必要がなくなります。
高額療養費制度と支払う金額は、最終的には同じですが、気分的にかなり違います。
健康保険証に、保険組合の連絡先が書いてあります。そこに限度額認定証の申請方法を確認するとよいです。
注意点として、高額療養費制度は保険診療における治療費のみに適用されます。
つまり、先進医療、入院したときの食事代、差額ベッド代などは含まれません。
同一世帯の直近の1年間で、高額療養費の支給を3回受けている場合は4回目以降の医療費の上限額はさらに低くなります。
医療費控除も活用しよう
入院の際の部屋代や食事代の費用を含めて支払った医療費、通院にかかった交通費、薬代、コルセットなどの医療用器具等の購入代などは、医療費控除の対象になっており、確定申告でいくらか還付される可能性があります。
したがって、領収書は取っておきましょう。
ただし、どのようなものが医療費控除の対象になるかは時代によって変わるので、税務署に確認してください。
医療費のことで分からないことがあれば、ソーシャルワーカーに相談してください。
手続きの進め方などを具体的なことを教えてくれます。
また、自分が加入している生命保険、医療保険、がん保険の内容を確認して保険金を受け取ることも大切なことです。申請しないと保険金は下りないということを忘れないでください。
高額療養費制度や医療費控除以外に次のような経済的な支援があることを、頭の片隅に置いておきましょう。
傷病手当金
以下にあげる5つの条件をみたしていることが条件となります。
1、業務外の疾患または負傷による療養中であること
2、仕事につけない
3、4日以上休むこと
4、給料の支払いがないこと
5、社会保険に加入していること
詳しい事は、病院のソーシャルワーカーに相談すると良いです。
休職のために給与がでなくなっても、この制度のおかげで、治療を継続できた方も、います。
勤め人が病気の際に一番頼りになる制度です。
失業手当
失業手当は、離職した場合にもらえます。
窓口は、自分の現住所を管轄するハローワークです。
注意点として、体調が悪い間は、支給されません。働けるのに仕事がない人の制度だからです。
また、支給延長の制度があるが、申請権が2ヶ月で失効してしまう点も注意が必要です。 離職する場合は、失業手当の延長申請の時期を、ハローワークの担当者と確認しましょう。
また、離職する場合は、離職理由をよく考える必要もあるようです。
会社都合の退職ですと、離職後すぐに支給され、支給延長もあります。しかし、再就職に不利になる可能性があります。
一方で、自己都合の退職ですと、経歴に問題が発生しない可能性が高いですが、支給までに3ヶ月ほど待たされます。
障害年金
年金に加入し、納めてさえいれば、自営業であれ、会社員であれ、もらえます。
窓口は、以下の通りです。
障害基礎年金:居住地の市区町村役場
障害厚生年金:近隣の年金事務所
ちなみに、「年金」という呼び名ですが、現役世代でも受給可能です。
手に障害の出やすい乳がんや、ストーマの人は活用を検討する価値が高いです。
ひとり親家庭等医療費助成
ひとりで、18歳以下の子どもを育てている家庭で、所得制限を超えていなければ、活用できます。
生活保護
生活に困窮しているすべての国民に対して、最低限の生活を保障する制度です。
受給条件を満たせば、だれでも利用することは、できます。
居住地の福祉事務所、生活保護課、保険福祉センターが担当窓口になります。
療養費立て替え払いの還付
治療のために装具が必要になったときなどは、かかった医療費の全額を、いったん支払い、あとで請求して療養費として、払い戻しを受けることができます。
たとえば、弾性ストッキングにかかる費用の一部を、療養費として払い戻しを受けることができる可能性が高いです。
主治医に書類を記載してもらい、申請しましょう。
弾性ストッキングを例に、流れを説明いたします。
1、主治医に弾性ストッキングが必要である旨を、装着指示書に記載してもらう。
2、装着指示書に記載された商品を購入し領主書をもらう。
3、国民健康保険の方は役所、お勤めの方は社会保険事務所で、装着指示書と領収書を提出します。その後は、審査を経て支給されます。
余談ですが、療養費での払い戻しに関して、以下のようなケースも、あります。
- やむをえず保健医療機関でない病院で治療を受けたとき
- 海外の医療機関で診療をうけたとき(やむをえない場合)
- 柔道整復師から施術を受けたとき
上記で、全額の医療費を負担したときに、療養費として還付を受けられるという制度があるのです。
国民年金保険料の支払い免除
本人・配偶者・世帯主のうち、もっとも所得が高い人の前年の所得が、一定額以下の場合、保険料は免除されます。
また、本人が失業した場合は、少し条件が異なり、「配偶者・世帯主のうち、所得が高いほうの前年の所得が一定額以下」なら、保険料が免除されます。
申請の問題点は?
いろんな制度を紹介しましたが、問題点は、窓口がバラバラであることです。
たとえば、申請をするために、以下のような申請を、しないといけない方がいました。
傷病手当金は、会社人事と会社の健保に申請
失業手当は、ハローワークに申請
高額療養費限度額の申請は、居住地の区役所に申請
がん保険などの請求は、各保険会社に申請
仕事をやめて、健康保険を国民保険に切り替える必要があったので、、居住地の区役所に申請
「どんな制度を自分は活用できるのか?」「その制度を申請するのは、どこか?」を調べるのは、手間暇かかりますが、頑張って欲しいです。
相談窓口になってくれるところを、以下に列挙しておきます。
1、がん相談支援センター
問題点として、医療以外の支援は必ずしも得意ではない。
「社労士さん、ソーシャルワーカーさんにおつなぎしますよ」で終わる事もあります。
2、行政の労働相談窓口
強力なサポートになることが多いです。
患者一人だと、知識や交渉力で会社に押切られる可能性がありますが、行政が間に立ってもらい、対等に交渉ができるようになるかもしれません。
また会社と交渉する上で、会社の就業規則は手にいれておきましょう。
3、NPO法人がんと暮らしを考える会
看護師、FP、社労士、弁護士などからなるNPO、個別相談にも応じています。
最後に本日のまとめです。
1.日本では、がん患者への経済的支援制度が整っています。
制度を知ってうまく利用すれば、宣告後すぐに困窮するということはありません。
2.がん相談支援センターだけでなく、
さて、がんを克服上で、経済的な問題を克服することが大切になりますが。それ以外にも、知って欲しいことがあります。