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アトピー性皮膚炎は季節によって悪化することがある。それを回避する方法を医師が解説

こんにちは。加藤隆佑です。

私は、がんの治療を専門にしていますが、アトピーの漢方治療にも力をいれています。

そこで、本日は、「季節によって悪化するアトピー性皮膚炎を、どのように克服するか」について、解説いたします。

さて、アトピー性皮膚炎は、季節によって、症状が変わることがあります。悪化する時期としては、夏と冬に多いです。

夏の場合は、汗が原因になります。冬の場合は、乾燥することが、原因になります。

ちなみに、春になるとアトピーが悪化することもあります。それは、スギ花粉による影響とされています。

汗によるアトピーの悪化したときの対策

汗をかかないようにするという対策は間違っています。

正しい対策は、汗をかいたら、ぬれタオル、おしぼりで拭き取りましょう。また、シャワーもよいです。

石鹸は、乾燥を助長することがあるので、汗をぬぐう程度のシャワーの時には、石鹸を、つけなくてもよいです。

シャワーのあとに、皮膚が乾燥することがあるので、同時に、保湿対策は忘れないようにしてください。

制汗剤は、皮膚の状態の悪化になることがあるので、避けましょう。

冬の乾燥したときの、アトピーの悪化の対策

加湿器を使って、湿度を高くすると良いです。さらに、夏よりもこまめに、保湿をしましょう。

ただし、保湿治療が有効となる前提条件は、以下の2つです。

  • ステロイドの治療歴がない、アトピー性皮膚炎を制御する目的の、保湿治療
  • ステロイドを塗る量を最低限にして、アトピー性皮膚炎を、制御するための保湿治療

一方で、脱ステロイドのときには、保湿がアトピー性皮膚炎の悪化原因になることがあります。

矛盾する内容となるのですが、そのような事実があることを心の片隅に置いておく必要があります。

そのことについて、こちらで、詳しくご説明しています。

春の花粉によるアトピー性皮膚炎の悪化の対策

春になると、顔といった大気に露出した場所だけのアトピーの悪化がある場合は、花粉によるアトピーの悪化が考えられます。

外出したら、露出した部位の皮膚を水で洗い流して、スギ花粉を除去することが勧められています。

抗ヒスタミン薬も良いでしょう。

スギ花粉によるアトピーの悪化が疑われるときは、採血の検査でスギ花粉特異的IgGの数値を確認したり、スギ抗原のパッチテストの検査を受けると良いです。

アトピー性質皮膚炎の紫外線対策

アトピー性皮膚炎においては、過剰な紫外線を浴びないようにしないといけません。アトピーが悪化するからです。

一方で、もぐらのような日に当たらない生活をしていればよいかといえば、そうではありません。適度の日光にあたることは重要です。

日光にあたると、ビタミンDが作られます。

ある程度のビタミンDは必要なのです。

ビタミンDが少ないと、アトピー性皮膚炎が悪化することがあるという報告があります。

以上を考慮すると、多少なりとも、日光にあたることは重要です。

ただし、太陽の紫外線の量が多い5〜8月の10時から14時の紫外線は、避けましょう。非常に紫外線が強いので、皮膚への負担が強いです。

アトピーにおける推奨される日焼け止めクリーム(サンスクリーン)は何がよい?

夏でも、長袖などで、日焼けしないようにしましょう。露出部位には、日焼け止めクリームを塗ることになります。

以下のものがよいです。

  • かぶれないもの
  • 紫外線吸収剤無配合で紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛)を含有しているもの
  • 汗をかきやすいときは、ウオータープルーフ(防水)と書いてあるもの
  • 大豆イソフラボンといった成分を含有しないもの

可能であれば、購入前にサンプルを取り入れてみましょう。

広範囲に使用する前に、耳の後ろか腕の皮膚に3日ほどつけて、かぶれないことを確認するとよいです。

湿疹がひどくて、湿潤した部位は、日焼け止めを塗ってはいけません。

湿潤した部位は、日焼けをしないようにして、病院で処方された薬を塗るだけで良いです。

プロトピックを塗った直後の日焼けは皮膚がんのリスクをあげる

プロトピックといった免疫抑制剤の外用薬を塗った直後に日焼けをすると、皮膚がんになる危険があがるというデータが、動物実験では、ではあります。

したがって、プロトピックを塗った直後は、日焼けをしないようにしましょう。

ただし、プロトピックを塗った直後の日焼けで皮膚がんになる危険は、それほど高くはならないとも予測されているので、過剰なまでに紫外線を恐れることは、しないでください。

季節的な問題以外にも、アトピー性皮膚炎の悪化要因はあります。

その点についても、説明いたします。

ダニに対するアレルギーがあるときは、どうするか?

アトピーの悪化の原因の1つとして、室内のほこりの中のヒョウヒダニも、原因になるとされています。

採血の検査で、ダニ特異IgEが認められても、実際に、ダニとアトピーの悪化があるかは、個人差があります。

埃が多い場所に行くと、アトピーが悪化したり、アレルギー様の症状が悪化する場合は、ダニとアトピーとの関連性が高くなります。

また、引越しや旅行、入院といった環境の変化によって、皮膚の症状が改善する場合も、ダニとの関係がありえます。

それ以外の傾向として、パッチテストでダニ抗原への反応性が高く、ダニ特異IgEが高値である方や、露出部を中心に皮疹を持つ方は、ダニとの関連性があるかもしれません。

ダニ対策

室内:換気を行う、掃除機をかけう、床をフローリングにする、たたみやじゅうたんを避ける、空気洗浄機を用いる

寝具:日干しをして、よく乾燥させる、掃除機をかける、高密密度繊維のベッドカバーにする、毛布の使用を控えるか、掛け布団の上に使う。

その他:動物を室内でかわない、布製のソファーをおかない、ぬいぐるみは置かないか、こまめに洗濯する、エアコンを掃除する、掃除後に悪化する場合はm、掃除の際に長袖の服とマスクを着用する。

これらの対策は、ダニとアトピー性皮膚炎の症状に関連があるときに、行われるものです。

「アトピー=上記の対策をする」というわけではありません。

次にかゆみの原因について解説します。

痒みの原因は、汗・食事・乾燥・掻くこと・温度が深く関係

痒みが起きる原因には、いろいろあります。食事、乾燥、汗などです。

また、痒くなり、かくと、さらなる皮膚炎の悪化につながります。

さて、痒みの原因として、心因性もあります。例えば、蚊に刺されて、痒くなるというイメージ画像をみたり、掻いている音を聞くと、実際に痒くなることがあります。

このことは、健康な人でもありますが、アトピーの方は、そのような影響がより強くでる傾向があります。

また、温めると痒くなることもあります。逆に氷で冷やすと痒みは止まることが多いです。

熱刺激で痒みがでることがあるのです。

夜間になると、皮膚温が上昇して、その結果、夜間の痒みにつながることもあります。

アトピー性皮膚炎の悪化要因には、様々なことがあげられることになります。

  • 季節的な要因
  • ダニ
  • 食事
  • 乾燥
  • 掻くこと
  • 体の温度

以上のことを知りつつ、アトピー性皮膚炎の改善を試みていきましょう。

さて、自宅でできるツボ治療を足すと、アトピーに悪化する可能性をかなり下げられます。

自宅で行えるツボ治療で、アトピーを改善させる方法とは?

自宅でできるツボ治療について、ご説明いたします。

 

そして、ツボ治療に漢方を加えると、アトピーの改善をさらに促すことができます。

漢方の詳細は、こちらです。

ライター紹介 
加藤隆佑



癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

アトピー性皮膚炎といった、様々な病気に対しての漢方治療も行っています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

この記事を書いた著者のことを、もっとよく知りたい方はこちら