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脱ステロイドは脱保湿と同時に行うことで成功率があがります。

こんにちは。加藤隆佑です。

私は、がん治療を専門にしていますが、アトピー性皮膚炎の漢方治療にも力をいれています。

さて、本日は、「脱ステロイドは脱保湿と同時に行うことで成功率があがること」について解説いたします。

脱ステロイドを試みるならば、脱保湿も取りれた方がよいです。

脱ステロイドの成功率があがるからです。

  • 脱保湿を含まない脱ステロイドの成功率は約5割
  • 脱保湿と脱ステロイドを行うと、脱ステロイドの成功率は約9割

上記のようなデータもあります。

もう少し詳しく説明いたします。

はじめに脱ステロイドを行ったとします。その際に湿疹が残ったとします。

このようなときに、脱保湿を加えると、湿疹が改善することもあるのです。

脱保湿と脱ステロイドに対する不安をぬぐう必要がある

ガイドラインにおいては、「悪化すれば、保湿とステロイドの塗布を強化する」とされています。

そのようなときに、脱保湿と脱ステロイドを提案されることは、非常に不安に思われることでしょう。

よくなってしまえば、保湿とステロイドの塗布をやめてよかった」と思うことでしょう。しかし、そこにいきつくまでは、いろんな不安がまとわりつきます。

したがって、皮疹の状態を常にチェックしながら、脱保湿、脱ステロイドを試みる必要があります。

少しでも不安があれば、専門家に相談しながらやるとよいでしょう。

脱保湿の意味すること

保湿剤を使わず、皮膚が健康な状態を維持したいことになります。

しかし、長期的に、保湿剤を用いることにより、皮膚は「乾燥」の状態にさらされることは無くなります。

水分が常に過剰に皮膚に存在している状態に、皮膚は慣れてしまったことになります。

24時間、水の中で生活している環境に皮膚が適応してしまったと言い換えることもできます。

このような皮膚は、従来の皮膚よりも弱くなっています。ひっかくことに対する抵抗力も、弱くなります。傷つきやすくなります。

そこで、本来の皮膚に戻す必要があります。

水の中の生活から陸上生活に適応できるような皮膚にしていくということです。

陸上生活に適応できる皮膚であれば、引っ掻いたとしても、傷つきにくくなります。そして、皮膚が本来もつ力をもつ力を取り戻すのです。

これが脱保湿の意義の1つです。

陸上生活に適応できる皮膚の状態にしてから、脱ステロイドをしたほうが、脱ステロイドの成功率があがります。

脱保湿すると、どうなる?

保湿をやめると、一時的に、アトピー性皮膚炎は悪化します。

  • 発赤が強くなります。
  • 関節などを伸ばすと、皮膚のしわに亀裂が入ります。

痛みがでたり、激しいかゆみがでたりすることがあります。

そこを乗り切ると、そこから先は、だいぶ楽な道筋が見えてきます。

そして、一時的な悪化を最低限にするのが、漢方の力です。

脱保湿は、出産と似て非なるものである

赤ちゃんは羊水の中で育ちます。そして生まれると、今度は空気に囲まれた生活になります。

生まれて2から3日の間は、皮膚からフケのようなものがでますが、数日で新しい環境に適応します。

しかし、ステロイドの影響を受けた皮膚は、適応力が下がっています。その結果、保湿をやめると、一時的に、アトピー性皮膚炎は悪化するのです。

その悪化をかなり減らす力があるのが、一部の漢方です。

保湿に対する精神的な依存も、たち切る必要がある。

「保湿をやめると、肌がカサカサになり、引きつった感じなり不安です。」

よく聞かれる声です。

そして、反射的に保湿剤に手が届いてしまいます。

一種の精神的な依存ともいえます。

しかし、水中での生活でなく、陸上生活に順応するために、この感覚に立ち向かう必要がでてきます。

脱保湿のやり方

塗る間隔からの脱保湿作業

ステップ1

1日の保湿の回数を、入浴直後だけにします。

これがうまくいけば、次のステップに入ります。

ステップ2

「入浴後、30分保湿剤を塗らないようにする。それを1週間続ける。」

それがうまくいけば、次第にその時間を長くしていきましょう。

30分の次は1時間を目指します。

1週単位で、少しずつ長くしていきましょう。

この際の注意点です。

入浴後1時間たってから、ワセリンを塗るとしましょう。体は冷えており、ワセリンを広く伸ばしにくいです。

そのような場合は、ワセリンを温めることと、手に水を少しつけて軟膏を伸ばしましょう。塗りやすくなります。

このステップの1つのゴールは朝まで塗らなくても、大丈夫にすることです。

ステップ3

保湿剤を2日に1回塗るようにします。

それを1週続けて大丈夫ならば、3日に1回塗るようにします。

このようにして、期間を少しずつ伸ばしていきます。

ステップ4

さて、このやり方でやっていくと、どこかで行き詰ることがあります。湿疹が悪化してくるのです。

そのときの対処法としては、1つ前のステップに戻します。たとえば、「3日に1回の保湿」にして、悪化するならば、「2日に1回の保湿」に戻します。

そのかわり、2日に1回の保湿にしつつ、塗る部位を最小限にします。これが、ステップ4です。

発赤がないにもかかわらず、カサカサしているという理由だけで、軟膏を塗らないようにしてください。

さらに、同じ面積あたりに塗る保湿剤の量を減らしましょう。

このようにして、塗る量を減らしていきます。

補足ですが、脱保湿をするということは、化粧水を用いることもしないことになります。

同時に以下のことにも注意を払ってください。

  • 日焼けを起こさないようにも、注意
  • フケのようなものや、カサブタを無理に剥がさない

このようにして、皮膚が本来持つ力を取り戻していきます。

これまで水中生活をしていた皮膚が、陸上にあがっても、大丈夫なように、少しずつ慣らしていきましょう。

もちろん、脱保湿をしないで、脱ステロイドだけでも大丈夫なことはあります。ただし、脱保湿を先にしたほうが、より楽に脱ステロイドに持っていけます。

その時に、漢方をしっかり飲み続けることが、強いリバウンドに悩まされないことにつながります。

漢方についての詳しいことは、こちらで分かります。

 

ライター紹介 
加藤隆佑



癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

アトピー性皮膚炎といった、様々な病気に対しての漢方治療も行っています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

この記事を書いた著者のことを、もっとよく知りたい方はこちら