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アトピー性皮膚炎の原因とは?遺伝や人にうつることは?適切な治療で克服を目指す

こんにちは。加藤隆佑です。

私は、がんの治療を専門にしていますが、アトピーの漢方治療にも力をいれています。

そこで、本日は、「アトピー性皮膚炎の原因、遺伝と、悪化させないための日常生活の注意点」について、解説いたします。

アトピー性皮膚炎の原因とは

皮膚のバリア機能が低下した乾燥状態に、アレルゲンの侵入(ダニ・ほこり・食べ物など)やストレスなどの要因が重なって、アトピー性皮膚炎は起こります。

そして、「かゆみのある湿疹」「よくなったり悪くなったりを繰り返す」「アトピー素因を持つ」という3つが、アトピー性皮膚炎の特徴となります。

アトピー素因とは?

アトピー素因とは「アレルギーを起こしやすい体質」という意味です。

以下のような性質があります。

(1)本人または家族が、アレルギー性の病気(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎など)を持っていること

(2)アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」を作りやすい体質を持っている

アトピー性皮膚炎はうつることがあるのか?

アトピー性皮膚炎は、人にうつることはありません。

しかし、アトピー性皮膚炎に出やすいと言われている伝染性膿痂疹(とびひ)や伝染性軟属腫(水いぼ)は、人にはうつることがあります。

アトピー性皮膚炎は、遺伝する可能性はある。

アトピー体質が遺伝する確率は、以下の通りです。

  • 両親ともにアトピー体質の場合は約50%
  • 両親のどちらかがアトピー体質の場合は約30%

つまり、遺伝性はあります。

一方で、両親がアトピー体質でも、本人はアトピーではないことがあります。

つまり、遺伝だけでは、アトピーが発症するかどうかを決めることはできません。

たとえアトピー体質であっても、アトピーが発症しにくい体質や、環境作りをしていくことは、重要であるといえるでしょう。

ちなみに、ライススタイルを変えることにより、遺伝子のスイッチに影響を与えることができることは、判明しています。

大人になってから発症するアトピー性皮膚炎は稀である

大人になってから、アトピー性皮膚炎になったと言われる方がいます。

しかし、このように訴える人の大半は、子どもの頃に、なんらかのアトピー様の湿疹がでている人が大半です。

子供のときの皮膚炎がいったん落ち着き、その後、大人になってから再燃しているケースということに、なります。

たとえば、大人になってから、「疲れると、首のあたりや、ひじの関節のあたりが痒くなる」というのは、大人のアトピー性皮膚炎の典型的な症状の1つです。

アトピー性皮膚炎の症状とは?

激しいかゆみを伴うことが、アトピー性皮膚炎の症状の1つです。

そして、かきむしった刺激によって、肌のバリア機能が低下し、皮膚炎の症状が悪化します。

湿疹の形と、湿疹ができる部位

赤みのある湿疹、プツプツと盛り上がりのある湿疹、ジクジクと水分の多い湿疹、ゴツゴツしたしこりのような湿疹が、特徴です。

掻くことによって皮膚が厚くゴワゴワした状態になったり、かさぶたができたりします。

顔、耳や首回り、わきの下やひじの内・外側、ももの付け根、ひざの表・裏側にできやすいです。

体質的な要因と環境的な要因が重なり、皮膚炎の症状が出る

悪化因子が、皮膚炎やかゆみを引き起こす原因に、なります。

アレルゲン(アレルギー症状の原因となる物質)

食物

ダニ、ほこり、カビ、花粉、動物の毛やフケなど

アレルゲン以外の刺激

汗、衣類による摩擦、乾燥、ひっかき傷、「洗剤」など日用品、化粧品、空気の乾燥、プール、暑すぎのお風呂、など

その他(寝不足、過労、ストレス)

アトピー性皮膚炎のバリア機能を良くすることが大切!

アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、このバリア機能が低下しているため、水分を保つ保湿因子が減ってしまいます。

炎症がないときでも、セラミドと天然保湿因子は不足しています。

その結果、角層のバランスが崩れ、外からさまざまな刺激やアレルゲンが侵入しやすくなります。

アレルゲンが皮膚から侵入してしまうと、炎症が起こります。

また、掻き過ぎによりバリア機能が低下した皮膚は、ちょっとした刺激でもかゆみが起こりやすい状態のため、さらに掻いてしまいます。

そして、さらにバリア機能が破壊されやすく、なります。

この悪循環を断ち切るのが、アトピー性皮膚炎の改善のポイントの1つです。

そのために、意識したいことは、皮膚の乾燥を防ぐことです。

皮膚の乾燥を防ぐ方法とは?

アトピー性皮膚炎の乾燥を防ぐためには、皮膚の貴重な善玉菌を減らさないことが大切です。

皮膚の善玉菌が減ると、乾燥しやすくなります。

善玉菌を減らす大きな原因は、アルコールや保存料が入った化粧品類です。

特にアルコールや保存料が入った化粧水を避けてください。

たとえば、汗をふき取るウェットティッシュにもアルコールが含まれているので、注意してください。

汗をかいたときは、ぬらしたハンカチなどで優しくふくと、かゆみを起こさないのでおすすめです。

適切な保湿をしていきましょう。

ただし、保湿治療が有効となる前提条件は、以下の2つです。

  • ステロイドの治療歴がない、アトピー性皮膚炎を制御する目的の、保湿治療
  • ステロイドを塗る量を最低限の量にして、アトピー性皮膚炎を制御するための、保湿治療

一方で、脱ステロイドのときには、保湿がアトピー性皮膚炎の悪化原因になることがあります。

つまり、ステロイド治療をしている方が、ステロイドを減らすときは、脱保湿を試みたほうがよいケースがあります。

そのことについては、こちらで解説しています。

アトピー改善のためにもう一つの大切なこと

規則正しい生活を心掛ける

睡眠不足は肌にとって大きな負担となり、アトピーの悪化にもつながります。

できるだけ睡眠時間をしっかり確保すること、さらに早寝早起きのような規則正しい生活を送ることが大切です。

また、過剰なストレスも、アトピー改善のためには避けて通りたいものです。

運動や趣味で気分転換を行い、仕事や人間関係、肌質などに悩まない時間を増やしていきましょう。

アトピー体質を変えられる

アトピーには遺伝的な要素はあります。そうだとしても、体質は変えられます。

たとえば、ライススタイルを変えることにより、遺伝子のスイッチに影響を与えることができることは、判明しています。

以下のことは、取り入れる価値が非常に高いです。

  • 漢方
  • ツボ治療
  • 適切な食事内容

アトピーを改善させるための自宅で行えるツボ治療とは?

以下の動画で、詳しく説明しています。

また、アトピーの症状をよくするためには、漢方を足すことも、非常に有効です。

漢方の詳細は、こちらです。

ライター紹介 
加藤隆佑



癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

アトピー性皮膚炎といった、様々な病気に対しての漢方治療も行っています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

この記事を書いた著者のことを、もっとよく知りたい方はこちら