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アトピー性皮膚炎においては、適切な入浴が必要です。

こんにちは。加藤隆佑です。

私は、がんの治療を専門にしていますが、アトピーの漢方治療にも力をいれています。

そこで、本日は、「アトピー性皮膚炎においては、適切な入浴が必要」のことについて、解説いたします。

アトピー性皮膚炎においては、入浴をすることにより、皮膚の洗浄をすることが大切です。

ただし、以下のことに注意をしないといけません。

  • 適切な入浴時間
  • どのように体を洗うか?
  • どのような石鹸を使うか?

皮膚の洗浄が必要な理由

スキンケアはとても大切です。また、汗や垢などの皮膚炎の悪化因子を取り除くために入浴やシャワー浴は大切です。

それらを適切に行わないと、逆にドライスキンになることがあります。

洗い方

石鹸や洗浄剤を手掌で泡立てて、なでるように洗います。よく泡立てないと、洗浄力が十分に発揮されませんから、しっかり泡立ててくださいね。

また、あかすり、スポンジ、ブラシ、ナイロンタオルで洗うと皮膚に負担を与えることがあります。従って、手掌でやさしく洗うようにしましょう。

さらに十分に、石鹸を洗い流すことも大切です。

石鹸は、低刺激性、弱酸性、無香料、無着色の製品を選ぶようにしましょう。

そして、石鹸の使用は1日に1回とします。2回以上ですと、皮脂を取り除き過ぎてしまい、過度なドライスキンになります。

注意点として、固形石鹸や液体石鹸を泡立てずに、直接体につけることはやめましょう。

また、発疹が出ているときも清潔にすることは大切です。

洗髪の際も同様に注意しましょう。洗髪後は十分に洗い流すことが大切です。

どの程度の手の力で洗う?

皮膚にアトピー性皮膚炎によるカサブタがあったとします。

そのような場合であれば、そのカサブタが剥がれない程度の強さで洗うとよいです。

ちなみに、カサブタは無理に剥がしたらダメです

治りが悪くなります。

洗う前と洗った後を比較して、洗った後にアトピー性皮膚炎の傷からでる浸出液が増えていれば、力が強すぎと考えてよいでしょう。

また、たとえカサグタが取れてしまったとしても、その後にアトピー性皮膚炎の傷からでる浸出液が増えていなければ、OKと考えてよいです。

しかし、理想としては、カサブタがとれない程度の力で洗うことです。

湯船に入る時間

入浴は1日1回です。

皮疹が安定していないときは、湯船につかる時間を2分程度にしてください。

そして、湯船につかる前後に体を洗うことになります。

汗をかくときは、追加でシャワーを1回あびてもよいです。しかし、その際に石鹸は用いないようにしましょう。

ちなみに、皮膚の細胞は、細菌の繁殖を抑える物質を分泌しています。もし頻回に入浴やシャワーをあびてしまうと、細菌の繁殖を抑える物質を洗い流すことになります。

したがって、頻回の入浴は避けるべきなのです。

温泉にいったときも同様であり、長時間の入浴や頻回の入浴はさけてください。

皮膚の状態が安定したら、もっと長時間、入浴することはできようになります。

入浴後は、どの程度の力で体をふけばよい?

体をふくときは、タオルで体を包み込みおさえるようにします。こすらずに、やさしくふくことが大切です。

その後は、一般的には、5分以内に保湿剤を塗ることが推奨されています。

しかし、保湿剤は、状況によっては、塗らないほうがよいケースがあります。

ステロイドの治療歴がない方は、保湿は必須といえましょう。

しかし、ステロイドの治療歴があり、ステロイドを減らしたいときは、保湿を避けたほうがよいことがあります。

脱保湿については、こちらで説明しています。

 

ライター紹介 
加藤隆佑



癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

アトピー性皮膚炎といった、様々な病気に対しての漢方治療も行っています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

この記事を書いた著者のことを、もっとよく知りたい方はこちら