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膵臓がんの検査と方法、そして治療までの流れを医師が解説!

 2019/01/17 膵臓がん  

こんにちは。加藤隆佑です。

膵臓がんが疑われるときには、CT検査、腹部エコー検査、MRIを受けることにより、膵臓がんの有無を確認いたします。

もし、膵臓がんを示唆する所見があれば、本当に膵臓がんなのかを細胞を採取して確認します。

そして、膵臓がんの広がり具合を確認して、治療方針を決定します。

具体的には、以下のことを決定していくことになります。

  • 手術ができる段階の膵臓がんか?
  • もしそうである場合は、どのような術式がよいか?
  • 手術ができないほど、体中に膵臓がんが、広がっている場合は、どのような抗がん剤治療を用いるとよいか?

以上のことを決定していくために、よく行われる検査は以下のものです。

  • 血液検査
  • 腹部超音波検査(腹部エコー検査)
  • MRI検査
  • CT検査
  • PET検査
  • 内視鏡検査
  • 病理検査(採取した細胞が、がん細胞であるかどうかを確認する検査)

いろんな検査方法を列挙しましたが、CTの画像所見、MRIの画像所見、腹部エコーの画像所見から、膵がんが否かを見極めることができるケースが大半です。

見極めた内容を細胞レベルでも確認するために、内視鏡を用いて、膵がんの細胞を採取するということになります。

そして、CTの画像所見、MRIの画像所見、腹部エコーの画像所見より膵がんの広がりを予測して、治療方針を決定することになります。

膵臓がんの初期症状(自覚症状)とは?

膵臓は、胃の後ろの深部にあります。がんが発生しても症状が出にくく、早期の発見は非常に難しいです。

症状がでるとしたら、腹痛、食欲不振、黄疸(体が黄色くなること)、腰や背中の痛みです。糖尿病を発症することもあります。

しかし、これらの症状は、すい臓がん以外の理由でも起こることがあります。

いづれにせよ、膵臓がんを疑わせる症状があるときは、病院で検査を受ける必要があります。

膵臓がんにおける血液検査とは?

血液検査によって、以下のことがわかります。

腫瘍マーカー

膵臓がんではCEAやCA19-9と呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。

がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。

臓器の機能が正常化かどうか?

腎機能や肝臓の機能を確認します。

もしこれらの臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。

糖尿病がないかどうかも、チェックします。

糖尿病があり血糖値が高いときは、膵臓がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないこともあります。

膵臓がんの腹部エコー検査

超音波を発生する機械をおなかにあて、お腹の中を観察します。

痛みはなく、負担が少ない検査です。

エコー検査で膵臓を観察することができますが、患者さんの体形や状態によっては、膵臓をくまなく観察できないことがあります。

特に膵臓の尾部(膵臓のハジの部分)は、腹部エコーにより、しっかり調べることが難しい部位です。

膵臓がんのCT検査

以下のことを確認するために、CT検査をします。

  • 画像所見から膵がんとして矛盾しないか?
  • 膵がんが遠くの臓器(肺や肝臓)への転移はないか?
  • 膵臓から遠く離れたリンパ節への転移はないか?
  • 膵臓の周りの臓器(十二指腸や腎臓)へ、膵臓がんが浸潤していないか?
  • 膵臓がんが、上腸間膜動脈といった重要な血管に浸潤していないか?
  • 腹水はないか?

CT検査は非常に重要な検査であり、診断から治療方針までの大方のことを、決めてしまうことができてしまうのです。

しかし、膵がんの診断と治療方針の精度を高めるために、さらに以下のような検査が追加されることが多いです。

膵臓がんのPET検査

がん細胞は、ブドウ糖を取り込む性質があります。

そこで、放射性ブドウ糖液を注射し、それがどの部位で取り込まれるかを確認しようというのが、PET検査です。

放射性ブドウ糖液が取り込まれた部位に、膵臓がんはあると推測できます。

CTではわからないような転移を見つけるために、PET検査を行われることがあります。

膵臓がんの内視鏡検査

膵臓がんの内視鏡検査をする目的は、2つあります。

1つ目は、膵がんの細胞採取を試みるためです。このときに用いられる機械は超音波内視鏡です。

超音波内視鏡検査による膵がんの細胞採取とは?

超音波装置の付いた内視鏡を口から入れます。

そして、胃や十二指腸の中から、超音波を出すことにより膵臓にある腫瘍の部分を描出します。

次に、腫瘍の部分に針を刺して、腫瘍の細胞を採取します。

穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)といいます。

太い内視鏡を用いるので、非常に苦しい検査となります。

そこで、検査の際には、少し眠くなる薬を注射することによって、楽に検査を受けられるようにします。

検査時間は30分前後です。

採取した細胞を顕微鏡で調べて、がんかどうかを確認します。

もし顕微鏡でがん細胞を認めなくても、CT所見などから膵がんが強く疑われる場合には、手術をすることもあります。

膵がんによって黄疸になった場合は、内視鏡で治療ができる。

内視鏡検査の目的のもう1つは、膵がんによって生じた黄疸をよくすることです。

実は、胆汁の流れ道である胆管というところに、膵がんが浸潤することがあります。そうすると、胆汁がスムーズに流れなくなり。黄疸がでるのです。

そこで、狭窄した胆管にステント(ストローのようなもの)を留置します。

その結果、ステントの中を通って、再び胆汁はスムーズに流れるようになります。

その結果、黄疸は良くなります。

この治療は胆汁の流れをスムーズにするだけであり、膵がんそのものの治療ではありません。

胆汁がスムーズに流れるようになったら、手術や抗がん剤による治療を検討します。

この内視鏡検査は、検査時間が30から60分と、やや長い時間がかかります。

そこで、検査の際には、少し眠くなる薬を注射することによって、楽に検査を受けられるようにします。

手術ができる段階の膵臓がんとは?

以下のような状況であれば、膵臓がんを手術で取り除けることになります。

  • リンパ節の転移が膵臓の周囲にとどまってる。
  • 肝臓や肺といった臓器に転移がない。
  • お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれている所見(腹水など)がない。
  • 膵臓がんが、上腸間膜動脈といった重要な血管に浸潤していない。

ただし、「お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれていないか?」は、実際にお腹の中を見てみないとはっきりしないこともあります。

そこで、手術の際に、審査腹腔鏡という検査をして、「お腹の中に、膵臓がんが、ばらまかれていないか?」を確認した上で、膵臓の切除に臨むケースが多いです。

膵臓がんの審査腹腔鏡検査とは?

審査腹腔鏡とは、お腹に小さな穴をあけて、そこから腹腔鏡というカメラを挿入して、お腹の中に膵臓がんが、ばらまかれていないかを確認する検査のことです。

さて、膵臓がんのステージ別の治療方針は、こちらで説明しています。

膵臓癌のステージ別と転移再発した時の治療法を医師が解説!ステージ3でも完治を目指す!

膵臓がんのステージを知るより大切なことがある。

多くの方は、自分の大腸がんが、どのステージかを気にされます。

膵臓がんの場合ですと、ステージ0、ステージI期、ステージII期、ステージIII期、ステージIV期に分類されます。

しかし、正確なステージというのは、手術前には、わかりません。

はっきり分かることは、以下のことだけです。

ステージ4か否か

「ステージ4か否か」を言い換えると、手術ができる膵臓がんかどうか?ということです。

ステージ4であれば、手術は適応になりません。

ステージ1からステージ3は、手術による切除が治療方針となります。

ステージ1からステージ3

腹腔鏡もしくは、開腹手術により、膵臓がんとその近傍のリンパ節を切除します。

そして「切除して取り除いた膵臓がんと近傍のリンパ節」を、顕微鏡で観察して、膵臓がんの広がりぐらいを確認します。その結果、どのステージに分類されるかが、決定されます。

ちなみに、最近はすぐに手術をしないで、抗がん剤や放射線治療を先に行い、膵がんを小さくさせてから手術に臨むケースも増えてきました。

また、ステージ4の診断となった場合でも、抗がん剤治療などにより、膵臓がんを手術できるくらいまで小さくできることもあります。

さて、膵臓がんを克服するために、知っていただきたいことは、何個かあります。

そのことについては、こちらでご説明しています。

がん専門医が教える楽にがん治療を受ける方法!

 

 

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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