霊芝は古来より非常によく使われている漢方です。
珍しい漢方ではなく、歴史的にも安全性が示されている漢方です。
しかし、インターネットで「霊芝 副作用」と検索すると、
「肝臓に悪い」「出血しやすい」「血圧が下がりすぎる」…といった注意書きを見かけることがあるかもしれません。
MSDマニュアルのような大手医学サイトにも、こうした記載があります。
これを読んで「怖いから飲まない方がいいのかな」と思ってしまうのも自然なことです。
でも、実際の臨床現場や最新の研究から見えている霊芝の姿は、もっとポジティブなものです。
ネガティブ情報の正体は?
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肝障害が出たという事例は、「霊芝の成分を抽出したエキス」を抽出したものを飲んでいるときは問題なかったのが、「粉末状の霊芝」に変更したら肝障害が出たというごくまれな症例報告です。(粉末にした中に不純物が混じっていたことが原因かもしれないとされています)
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試験管や動物での実験データを「人でも起こるかもしれない」と紹介しているだけのことも多いです。
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実際の診療で、霊芝の成分を抽出したエキスを使って問題が続出した、というエビデンスはありません。
1. 血圧が下がりすぎる?
霊芝には血圧を整える方向に働きますが、降圧薬との併用で危険なほど下がったという臨床報告はないはずです。
日常診療で高血圧の方に霊芝エキスを飲んでいただいても、血圧が下がりすぎて困ったという経験はありません。
2. 出血しやすくなる?
霊芝の成分が血小板の働きを弱める可能性を示した試験管研究があり、それをもとに注意喚起が書かれています。
しかし、実際に臨床の場で霊芝が原因で出血が増えたという一貫したデータはありません。
特に管理された抽出エキスでは、長期使用しても出血リスクが臨床的に問題となることは原則的にありません。
3. 抗がん剤の効果に影響?
「抗がん剤の効果を下げる/上げる可能性がある」というのも、試験管や動物での研究の話です。
人において「霊芝を飲んだせいで抗がん剤が効かなくなった」という報告はありません。
むしろ免疫調整作用によって治療と相乗的に働く可能性が指摘されています。
成分を抽出エキスは安心・安全
私が臨床で患者さんにお勧めしているのは、成分を抽出したエキス製剤です。
この方法だと、余計な成分は取り除かれ、有効成分が安定した形で摂取できます。
これまで1000人以上の方に長期で使っていただいていますが、
「肝障害」「大出血」など重大な副作用を経験したことはありません。
(1例だけ肝障害が出た方はいますが、軽微なもので止めることで回復しました。そして数人の方に、お腹が張る・便が緩くなる方もいましたが、減量するか止めることで改善しています。)
ちなみに、粉末だからだめというわけではありません。不純物が混じった粉末に問題があるという意味であり、不純物が混じっていなければ問題はありません。
世界での実績
台湾では霊芝をはじめとする漢方薬が広く使われています。
さらに、台湾の**国民健康保険データベース(NHIRD)**を用いたビッグデータ解析では、
抗がん剤+漢方併用の方が、抗がん剤単独より治療成績が良い
という報告がいくつもあります。
また、国際的なシステマティックレビューでも、霊芝を抗がん剤と一緒に使うことで、
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生存率改善
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化学療法の副作用軽減
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QOL(生活の質)の改善
が繰り返し報告されています。
抗がん剤の効果が落ちることもありません。
私の治療での使い方
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霊芝の成分を抽出した製剤を使用、高用量の霊芝を使用
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他の漢方と組み合わせて相乗効果を発揮
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体力や免疫をサポートし、抗がん剤の副作用を減らしながら治療を続けやすくする
実際、西洋医学だけでは出ないような治療効果が出ています。
まとめ
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MSDのような家庭医学の注意書きは「稀な症例」や「理論上の懸念」を並べたもので、実際に高容量の成分を抽出したエキスを使った臨床現場の実感とは大きく違います。
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MSDのような家庭医学は「科学で裏づけされた医療の教科書」なので、漢方やサプリに対して基本的に否定的・慎重なスタンスを取るのは当然。ただし、これは「効かない」と断定しているのではなく、**“科学で裏づけされたデータが揃うまでは肯定しない”**という保守的な立場です。
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台湾をはじめとするアジアでは、霊芝はがん治療を支える代表的な漢方のひとつとして広く利用されています。
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科学的な検証も進み、生存率改善・副作用軽減・QOL改善といったポジティブな成果が報告されています。
余談
西洋医学が重視されている時代にといて、漢方はいまだに高い評価をされていません。
実際に豊富な治療実績が積み重ねられているにもかかわらず、正当に評価されず、「医学的根拠が乏しい」といった但し書きとともに片づけられてしまいます。
その理由を解説します。
・西洋医学の薬は「一律テスト向き」
西洋医学の薬は、
「この成分を、同じ量で、同じ期間、同じ病気の人に投与して効果を比べる」
という形で臨床試験(RCT)を行います。
このような臨床試験を組まないと、信頼性の高い科学で裏づけされたデータとして扱われません。
・漢方は「オーダーメイドの料理」
一方、漢方は違います。
同じ病気でも処方が変わります。
ある人には「霊芝をベースに補中益気湯を追加」
別の人には「十全大補湯に霊芝を合わせる」
ちょうど、一人ひとりの好みや体調に合わせて料理を作るようなものです。
つまり、
西洋医学では「同じ条件で一律に試験」を行うので、信頼性の高い科学的データを作りやすいという特長があります。
一方で、漢方は「人それぞれに合わせて処方を変える」ため、同じやり方では科学的データを集めにくいという事情があります。
ただし、これは「効かない」という意味ではありません。
むしろ、漢方は一人ひとりに合わせて調整するからこそ効果を発揮するのです。そのため、西洋医学で求められる形式のデータが作りにくい、というだけのことなのです。
実際には、別の角度からの信頼性の高い科学的データが存在し、それが「ビッグデータ」を使った解析です。
たとえば
台湾の大規模データの研究では、漢方を併用した方が治療効果が高いという結果が、複数の研究で示されています。
参考文献
Ganoderma lucidum (Reishi mushroom) for cancer treatment
Fatal fulminant hepatitis associated with Ganoderma lucidum (Lingzhi) mushroom powder