●抗がん剤の投与ペースを、ゆっくりにした方が長生きができる!その理由とは?

こんにちは。加藤隆佑です。

ステージ4や再発のがんにおいて、最も大事なことの1つは、以下のことです。

がんの成長を制御する期間を、極力長くすることです。

そして、抗がん剤の投与間隔を、少し長くした方が、より長期間、がんを制御できることが、あります。

このことについて、「抗がん剤を100回投与したあたりで、がん細胞に対する耐性ができる」の仮定に基づき、詳しく説明します。

もし、抗がん剤の投与のペースを、短くするほど、腫瘍マーカーは下がり、がんも、一時的には、もっと、小さくなるかもしれません。

投与間隔が短い例の1つとして、「2週に1回のペースで、抗がん剤の注射をした場合の、がんの大きさの変化を表す図」を御覧ください。

抗がん剤を投与すると、がんが、ドンと小さくなり、抗がん剤が体の外にすべて排出されたら、がんは、少し大きくなります。

この繰り返しで、がんは少しずつ小さくなります。

そして、抗がん剤を100回投与したところで、がん細胞に対して耐性ができ、がんが、次第に大きくなっていきます。

2週に1回のペースで治療を受けると、副作用が抜けきれないまま、治療を受けることになってしまうことも、あります。

そのような場合は、100回の抗がん剤治療をうけた時点で、体力と免疫力は、かなり低下しています。

抗がん剤に耐性ができた後は、体力や免疫力の低下のために、がんの成長は、非常に速くなることが予想されます。

次に、3週に1回のペースで、抗がん剤を受けた場合について考えます。

がんは、2週に1回のペースでの治療よりも、ゆっくりとしたペースで小さくなります。

場合によっては、がんが同じ大きさを維持、つまり成長がとまったような感じになります。

特記すべきことは、がんの制御期間は、前者が200週(2週×100)に対して、後者は300週(3週×100)になります。

さらに、抗がん剤の投与間隔が長いほど、抗がん剤の副作用のダメージは軽減され、体力や免疫力は、高い状態を維持できることができています。

体力や免疫力を維持できる治療は、がんの縮小に非常に役立ちます。

万が一、抗がん剤に耐性ができて、がんが大きくなったとしても、そのスピードをかなり落とせます。

後者の方が、自分らしい生活を送りつつ、長生きもできることになります。

実際の治療は、もっと複雑であり、このような単純な話ではありません。

しかし、以下のことは、知って欲しいです。

1、標準的な治療のペースよりも、少しゆっくりとした治療にした方が良いケースは多い。

例)2週に1回の抗がん剤を、3週に1回にする。

ただし、治療ペースは、個人差は、かなりあります。

たとえば、4週に1回のペースにしてみて、がんが大きくなった場合は、3週に1回に戻すこともあります。

2、治療が辛いときは、治療を受ける間隔を少し長くしてもらうことも、大事。

体力を削ってまで、一生懸命スケジュール通りに抗がん剤を投与する必要はないです。抗がん剤による体力の消耗は、寿命を短くするとも言えます。

抗がん剤の副作用を減らすために、抗がん剤の量を、減量してもらうことも大事

副作用の軽減のために、抗がん剤の量を軽減してもらうことも、大事です。

教科書的な範囲での減量では、治療成績は、ほとんど変わりません。

そうであれば、減量した方が得です。

そうはいっても、減量して効果が落ちないか不安になる方もいることでしょう。

1ヶ月後くらいにCTでがんが小さくなっているかを確認して、小さくなっていれば安心できるはずです。

万が一、そのときの検査で、がんが大きくなっていれば、再び、抗がん剤を増やせばよいだけです。

ちなみに、抗がん剤を減量することが、抗がん剤への耐性を促すことはないから安心してください。

例外として、グリベックという薬に限っては、減量しすぎると、癌細胞に耐性ができやすくなるとされています。

共存をめざした治療でも、手術で取り切れるくらい小さくなることもある!

がんと共存を目指した治療をしていても、手術で取り切れるくらいに小さくなって、最終的に、がんを寛解状態にもっていけることもあります。