こんにちは。加藤隆佑です。
がん治療において漢方薬を活用したいと考える患者さんの中には、「やっぱり一度は対面で診察を受けた方がいいのでは…」と感じる方が多くいらっしゃいます。
「自分の体質をしっかり知ってからでないと、漢方薬を選べないのでは?」
こうしたお気持ちは、非常によく理解できます。
しかし、実際の臨床現場では 「体質よりも、今ある症状にどう対応するか」 が何よりも重視されています。
がん治療における漢方の基本的な考え方
がん治療と並行して漢方を取り入れる場合、注目されるのは以下のような症状です。
食欲不振
便通の乱れ
手足の冷えやむくみ
倦怠感や疲労感
抗がん剤の副作用(吐き気、しびれなど)
こうした体調の変化や副作用に対しては、対面診察がなくても、丁寧な問診を通じて十分な情報を得ることができます。
つまり、必ずしも舌を見せたり、脈を診てもらう必要はないということです。
副作用=体質に合っていない、ではない
ときどき「飲んだら下痢をした」「肌に発疹が出た」といった副作用のご相談があります。
ですが、これは漢方薬が「体質に合っていない」からというより、薬そのものに対する体の反応であるケースがほとんどです。
たとえば、市販の風邪薬や抗生物質でもアレルギー反応が出ることがあるのと同じです。
どれだけ丁寧に診察をしても、これを100%予測することは現実的には難しいのです。
私自身の経験から
私も医療の現場で、漢方的な診察法、たとえば「舌診」「脈診」などを学んできました。
しかし、実際に多くの患者さんと向き合う中で感じたのは、
「症状に基づく処方の方が、実用的で効果的である」
ということです。
漢方的診察が発達した時代には、現代のような血液検査や画像診断がなかったため、舌や脈など「見えるもの」から判断せざるを得なかった背景もあります。
もちろん、これらの診察法を全く否定するわけではありません。問診だけでは判断が難しいとき、参考になる場面もあります。
ただし、そのようなケースでは、実際には何度か薬を調整しながら進める試行錯誤が必要になることが多いのも事実です。
まとめ:対面診察にこだわりすぎなくても大丈夫
結論としてお伝えしたいのは、
「体質診断にこだわらなくても、問診を通じて得られる情報から、実用的で安全な漢方治療は十分に可能です」
ということです。
がん治療の補助として漢方を使う場合、重要なのは「今、何に困っているか」。その症状にしっかりと対応していくことが、最も効果的な漢方の使い方です。
どこで診てもらうかよりも、「今の状態に合った処方がされているか」が鍵。
オンラインでも、信頼できる医師とのコミュニケーションがあれば、質の高い漢方治療は十分に実現可能です。