漢方の品質の低下の懸念と対策
レイシや杏仁・びわ種に関しては、製品の特性上、品質の低下の懸念はありませんが、補中益気湯・人参養栄湯・十全大補湯には、品質の低下の懸念があります。
補中益気湯・人参養栄湯・十全大補湯の品質低下の理由について解説していきます。
1. 漢方薬メーカーの違いについて
ツムラ、クラシエ、コタローといった漢方薬メーカーの間で、品質に関する明確な比較や評価はありません。
しかし、漢方を専門とする医師の中には、同じ人参養栄湯でもコタローの方が効果が高いと感じる人が多いです。
たとえば、ツムラの人参養栄湯で効果が出なかった患者が、コタローに変更したところ効果が現れたという経験がよく報告されています。私自身も同様の経験があります。
2. 生薬の品質変化
以前は、中国から日本に輸入される生薬の大半は最高品質の「A品」でした。
しかし、最近では品質がやや劣る「B品」も多く見られるようになりました。これは、中国国内で良質な生薬が求められるようになったことや、日本の購買力の低下が原因です。
3. 生薬の輸入と品質の懸念
多くの生薬は輸入品であり、円安の影響で原材料費が高くなっていますが、薬価は据え置かれています。
このような状況を考えると、メーカーがコストを抑えるために、品質の低い生薬を使用している可能性があります。漢方メーカーに詳しい知人からも、そうした事例があるとも聞いています。
4. 漢方のエネルギーの変化
昔の漢方薬は野生の生薬を使用していましたが、近年では栽培されたものが主流です。
科学的に説明するのは難しい話となりますが、野生の生薬に比べると、栽培品の植物が持つエネルギーは低下していると感じられます。
これらを総合して考えると、どのメーカーの漢方薬も、以前に比べて持つエネルギーが低下しているのではないかと懸念されます。
結論として
2つの対策を提案します。どちらかを検討してほしいです。
対策の2の方が、保険診療でまかなえるので便利です。
対策1
人参養栄湯を選ぶなら、コタローを推奨します。保険診療でメーカーを指定して処方してもらうことが可能です。
ただし、コタローであっても、以前に比べて品質が低下している可能性があるため、毎日1回分を多く飲むことをお勧めします。
コタローを保険診療で処方してもらうことが難しい場合は、ツムラでもかまいません。
その場合も、毎日1回分を多く飲むことをお勧めします。
ただし、1日で飲む漢方のうち、追加の1回分の購入は、保険診療でできませんので、ご自身で購入していただくことになります。
追加分は、もし入手できるのであれば、コタローの人参養栄湯を購入して欲しいです。難しければツムラでもよいです。
(ちなみに、コタローの場合は、1回分の人参養栄湯の内服量は2袋です。)
追加分を飲むタイミングとして、普段の漢方を飲む際に、追加分を多く飲む形になります。それは、朝でも昼でも夜でも構いません。
例)ツムラの人参養栄湯を毎回3袋飲んでいる方が、ご自身でコタローの人参養栄湯を購入して飲む場合の1例
朝:ツムラの人参養栄湯1袋と、コタローの人参養栄湯1袋飲む(コタローの場合は、1回分の内服量は2袋なので、1袋飲んでも0.5回分です。)
昼:ツムラの人参養栄湯1袋飲む
夜:ツムラの人参養栄湯1袋と、コタローの人参養栄湯1袋飲む
コタローの購入先がわからない場合は、私にメールでご質問ください。
対策2
人参養栄湯と一緒に十全大補湯を処方してもらい、それらを同時に飲むという作戦でも良いでしょう。
そのような対策であれば、保険診療で対応できることになります。
例えば、人参養栄湯1袋を毎食のむ+十全大補湯1袋を毎食のむという方法です。
この場合も、どちらもコタローの人参養栄湯と十全大補湯にできるとよいですが、難しい場合は、ツムラの人参養栄湯と十全大補湯でも構いません。
注意
市販の人参養栄湯は、保険診療で処方される量の1/2から2/3の量なので、その点には注意をしてください。