こんにちは。加藤隆佑です。
ステージ4のがんになり、抗がん剤治療を受けている高橋さん(仮名)から以下のような趣旨のメッセージをいただいたことがあります。
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最近、治療を続けていくうちに少しずつ心身ともに疲れてきました。
この治療は、いつまで続くのか。
本当に寛解に向かっているのか、それともただ延命のためなのか
そんな思いが頭をよぎります。
「病院での負担のかかる治療は免疫力を低下させ、かえって死亡率が上がる」などという意見も目に入ります。
「気持ちが沈むと病気の進行にも影響する」という話で、心が追い詰められる感覚になることもあります。
今受けている治療は、本当に意味があるのでしょうか?
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おつらいお気持ちを、率直に伝えてくださって本当にありがとうございます。
その一つひとつのお言葉に、これまで頑張ってこられたご様子や、心の疲れ、揺れるお気持ちがにじんでいて、胸がぎゅっとなりました。
病院での治療が必要だと理解していても、「これが本当に良いのか」「この先どうなるのか」と悩まれるのは、とても自然なことだと思います。
誰にとっても答えの見えない問いですし、情報が多ければ多いほど、不安が増してしまうこともありますよね。
治療について少しお話をさせてください。
がんに限らず、私たち人間の命には限りがあります。ですので、「延命」という言葉は、実はすべての医療に通じるものです。
ですが、「延命=意味がない」では決してありません。
延命の結果、がんが寛解して、日々を穏やかに過ごせる時間が長くなることもありますし、がんを抱えながらも、全く別の理由で天寿を全うされる方もいらっしゃいます。
そしてもうひとつ、大切な視点として、「時間の感じ方」があります。
“ジャネーの法則”という心理学の考え方がありまして、年齢を重ねるほど時間が早く感じられるというものです。
たとえば、50歳の人の1年は、1歳の子供の約7日間に相当する感覚になります。
体感的な時間の流れ方という視点から考えると、50歳〜60歳の時点で、人生の9割から9割5分は終了したとも捉えられ、
人生の後半は、体感としては本当にあっという間に過ぎていくのです。
それをふまえると、例えばですが、「5年延びる」ことが、ただの数字ではなく、“どう感じられるか”ということが大切になると思っています。
その5年が「あっという間」なのか、「充実して、長く豊かに感じられる」ものか。それは、過ごし方や心のあり方で、まったく違ってくるのではないでしょうか。
たとえば、小さなことで構いません。
いつもと違う道を歩いてみる、新しいことに少し挑戦してみる──
そういった日常の中の“非日常”を少しずつ取り入れることで、時間はゆっくり流れてくれるように感じられることがあります。
高橋さん(仮名)がこれまでの日々をどれほど頑張ってこられたか、そして今、どれほど思い悩まれているか、私はその重みを想像しながらお返事を書いていますが、
この内容が、あなたのお役にも立てれば幸いです。