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乳がんの検査と方法、そして治療までの流れを医師が解説!

 2019/01/21 乳がん  

こんにちは。加藤隆佑です。

ライフスタイルや食生活の変化により、乳がんにかかる日本人女性が急増しました。

約10人に1人がかかります。

40歳代という比較的若年層が、もっともかかりやすい傾向があります。女性ホルモンや遺伝が関係します。

特に、以下のような方は、かかりやすいです。

  • 出産経験がない、初産が高齢。
  • 閉経後の肥満。
  • 血縁者に乳がんになった人がいる。

以上のことに該当しない方でも、乳がんになることは珍しくありません。

しかし、早期発見によって高い確率で救命することができます。

今回は、乳がんが不安なときや、乳がんが疑われるときに行う検査について説明いたします。

はじめに、以下のような検査を行います。

  • マンモグラフィー
  • 超音波検査

もし乳がんを疑わせる所見があれば、病理検査をします。

乳がんを疑う病変に針をさして細胞を採取して、がん細胞の顔つきを確認する検査のことです。

そして、乳がんであることが確定したら、乳がんの広がりを確認するために、以下の検査をします。

  • MRI
  • CT
  • PET
  • 血液検査

乳がんの初期症状とは?

乳がんは、検診を受けて、指摘される場合や、自分で触った時に、しこりとして、気付くことが多いです。

一方で、遠くの臓器に転移したような進行した状態で、乳がんが見つかる場合もあります。進行した状態であっても、症状に乏しいときがあるのです。

乳がんと診断されたときに、腰、背中、肩の痛みが続く場合には、骨への転移が疑われます。

脇の下のリンパ節が腫れている場合は、リンパ節への転移が疑われます。

乳がんのマンモグラフィー検査

乳房のレントゲンのことです。

立った状態で、乳房を圧迫して、通常のレントゲンより小さな物体を写し出す能力のある機械で、乳房のレントゲン写真を撮影します。

一人あたり5分くらいで、検査を終えます。ある程度の痛みを伴います。少し我慢していただくことになります。

圧迫をしっかりすることの利点は、以下の通りです。

  • 圧迫により乳房が薄く伸ばされ、乳がんを発見しやすくなる
  • 乳房の厚さが薄くなることで、被ばくを少なくすることができる。
  • 圧迫により乳房が固定され、ブレのない鮮明な写真を撮ることができる。

マンモグラフィーは、乳がんの非常に初期にでる石灰化を検出するのに、優れています。

放射線被曝を伴いますので、30歳未満の方は推奨されません。

また、若い方の乳房は、脂肪が少ないために、マンモグラフィーをしても、乳がんを見逃される危険が高くなります。

そういう意味合いにおいても、30歳未満にはマンモグラフィーは推奨されないでしょう。

高濃度乳房(デンブレスト)とは

乳房には、乳腺と脂肪が混在しています。

そして、脂肪の割合が少ない乳房を、高濃度乳房(デンブレスト)と呼ばれます。

日本人女性の40歳以上の4割が、高濃度乳房(デンブレスト)と言われています。40歳未満の方ですと、その割合はもっと多いです。

そして、脂肪の割合がすくないと、マンモグラフィーにおいて乳がんを検出しにくくなることが、わかっています。

つまり、高濃度乳房(デンブレスト)の方は、マンモグラフィーで乳がんを指摘されなくても、乳がんを見逃している可能性が、高くなります。

したがって、高濃度乳房(デンブレスト)の方は、「マンモグラフィー+超音波検査」もしくは「超音波検査」を受ける方がよいでしょう。

マンモグラフィーの検査を受けた方は、ご自身が高濃度乳房なのかを検査結果のときに聞いておいた方がよいでしょう。

さて、先ほど、30歳未満の方は、マンモグラフィーを受けるべきではないと書きました。

その理由のもう1つが、乳がんにかかる確率を跳ね上げてしまうことがあるからです。

そのことについては、こちらに詳しく書いています。

遺伝性乳がんの検査と治療は?乳房の予防切除は必要か?

乳がんの超音波検査

超音波検査は、超音波を発生する機械を用いて、仰向けに寝た状態で、乳房の中をくまなく観察します。

マンモグラフィのような痛みもありません。

しかし、検査時間がやや長くなります。

乳腺内の病変の描出に優れていています。

乳腺が豊富な20歳代、30歳代の女性は、マンモグラフィーではなく、超音波検査を受ける方が有効でしょう。

乳がんの検診は、どのような間隔で受ければ良い?

厚生労働省では、市町村が行う乳がん検診に対して、以下のような推奨をしています。

「40歳以上の女性の方は、2年に1回マンモグラフィーを受ける。」

しかし、「個人的に受ける検診(人間ドッグなど)」であれば、1年に1回の乳がん検診が、よりよいでしょう。

そして、毎年乳がんの検診を受けるのであれば、マンモグラフィーは被曝を伴うので、超音波検査がよいです。

私の意見になりますが、30歳以上の方は、毎年乳がんの検診を受けた方が良いと考えています。

さて、以上の検査により乳がんが疑われた場合には、病理検査が必要となります。

乳がんの病理検査とは?

乳がんの細胞診検査

ベッドに横になり、手や超音波検査でしこりの位置を確認します。

そして、細い針を刺し、注射器で吸引して細胞を採取します。

麻酔をしないので少し痛みを伴いますが、簡便にできる検査です。結果が出るまで数日から一週間かかります。

ただし、細胞診において、がん細胞が検出されなくても、実はがんということがあります。

たとえば、「硬がん」「乳頭腫」という乳がんは、がん細胞と正常細胞が見分けにくく、乳がんと診断されにくいことがあります。

「線維腺腫」という良性のしこりは、細胞診では時に「悪性=乳がん」という結果がでてしまうことがあるため、注意が必要です。

また、授乳中の場合は、乳がんの診断が難しくなることがあります。

乳がんの組織診の検査

局所麻酔で、細胞診より太い針で組織をとる検査のことです。

細胞診より乳がんの診断がはっきりします。

検査の方法としては、ベッドに横になってもらい、しこり周囲に局所麻酔をします。

そして皮膚に数mmの小さな切り傷をいれて、そこから針をさして、しこりに向かって針をさします。

乳がんが疑われる場合は、組織診と細胞診を同時に行うことが多いです。

もし乳がんであることが確定したら、乳がんの広がりを検査します。採血の検査も行われます。

乳がんにおける血液検査とは?

血液検査によって、以下のことがわかります。

腫瘍マーカー

乳がんではCA15-3、CA-125、CEA、NCC-ST-439と呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。

乳がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。

臓器の機能が正常化かどうか?

腎機能や肝臓の機能を確認します。

もし、これらの臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。

糖尿病がないかどうかも、チェックします。

糖尿病があり血糖値が高いときは、乳がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないことも、あります。

乳がんのCT検査

以下のことを確認するために、CT検査をします。

  • 臓器(肺や肝臓など)への転移の有無
  • リンパ節への転移の有無

乳がんの広がりを確認する上で、必須の検査です。

乳がんのMRI検査

乳腺のMRIは専用の装置を用いて、造影剤という注射をした上で、腹臥位(うつ伏せ)での撮影を行います。

CTや超音波検査では、はっきりしなかった病変が、判明することがあります。

乳がんの広がりが、より詳しくわかります。

乳がんの骨シンチ検査

乳がんは、骨に転移しやすいがんです。

したがって、骨に転移していないかどうかを、骨シンチという検査で、確認する場合があります。

乳がんのPET検査

がん細胞は、ブドウ糖を取り込む性質があります。

そこで、放射性ブドウ糖液を注射し、それがどの部位で取り込まれるかを確認しようというのが、PET検査です。

放射性ブドウ糖液が取り込まれた部位に、乳がんはあると推測できます。

PET検査の結果、CT検査では、問題ないと判断された位置に、乳がんの転移が指摘されることがあります。

以上の検査をした上で、最終的な治療方針が決定されます。

次に、以下の記事で、乳がんのステージごとの治療方針を説明いたします。

乳がんのステージ別の治療方針や症状を医師が解説!ステージ3でも完治を目指す!

ライター紹介 ライター一覧

加藤隆佑

加藤隆佑

加藤隆佑

癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営しています。

これまでの経歴です。

医学部卒業後、秋田赤十字病院、手稲渓仁会病院で、消化器がんの診療に従事。現在は、小樽協会病院消化器内科主任医長

2015年には、緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」を出版させていただく機会をいただく。

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