こんにちは。加藤隆佑です。
「健康診断でLDLコレステロールが150でした。大丈夫でしょうか?」
診察室でよくいただく質問です。
多くの方が「LDL=悪玉コレステロールだから、高ければすぐに危険」と思いがちですが、実は140から160mg/dLという“境界域”の数値は、人によって意味がまったく違うのです。
LDLコレステロールとリスクの関係
大規模な研究では、LDLコレステロールが高いほど心筋梗塞や脳梗塞のリスクは直線的に増えることが分かっています。
・140未満 … 望ましい水準
・140–160 … 境界域
・160以上 … 高コレステロール血症
と区分されますが、140–160の人すべてが同じリスクではありません。
背景リスクがなければ、ほとんどリスクは上がらない
日本の大規模研究(NIPPON DATA)やアメリカのFramingham研究によると、
喫煙なし
糖尿病なし
高血圧なし
心筋梗塞・脳卒中の家族歴なし
といった「低リスク」の人では、LDL 140–160mg/dLであってもリスクはほとんど上がらないことが示されています。
つまり、「境界域」でも健康な生活をしている人では、140未満とほぼ同じレベルの安全性なのです。
一方でリスク因子がある場合は注意
同じLDL 150mg/dLでも、
糖尿病がある
高血圧がある
喫煙している
家族に若くして心筋梗塞になった人がいる
といった場合には、リスクは一気に1.5〜2倍に上がることが分かっています。
つまり「LDL値単独」ではなく、「その人の背景」を見て判断することが大切なのです。
180mg/dLを超えると話は別
180mg/dL以上になると、リスクは急に高くなります。
特に家族性高コレステロール血症の可能性もあり、早期の薬物治療が推奨されます。
まとめ
LDL 140–160mg/dLは「境界域」だが、背景リスクがなければほぼ問題なし。
逆に、糖尿病・高血圧・喫煙・家族歴があるとリスクは明確に上昇。
180mg/dL以上は高リスクで要注意。
健康診断で「LDLが少し高い」と言われても、あなたの背景リスクがなにより重要です。
数値だけに一喜一憂せず、生活習慣や体質も含めて総合的に考えていきましょう。