腫瘍マーカーの解釈方法
1、がんが増加しても、腫瘍マーカーが増えないケースがある。
つまり、腫瘍マーカーを定期的に測定をしても、がんの増大や縮小を推測する材料にはならないうこと。
ただ、別の種類の腫瘍マーカーを測定すると、がんの増大や縮小を推測する材料になることもある。
例)膵臓がんの方
がんが増加しても、CEAやCA19−9という腫瘍マーカーは常に正常域
ただ、SPAN-1という腫瘍マーカーを測定すると、がんが悪化すると、この数値は上昇し、がんが良くなるとこの数値が低下してすることがわかり、その後は、SPAN-1を参考にして、がんの勢いを推測することにした。
2、腫瘍マーカーとは?
正常細胞も産生するが、がん細胞がより大量に産生する物質。
つまり、多量にある場合は、がんの存在を第一に考えないといけない。
ただし、肺炎になり一時的に腫瘍マーカーが増加するといったこともある。
3、腫瘍マーカーの増減は、がんの量を直接反映するだけでなく、がんの増殖の勢いを示すこともある。
たとえば、膵臓がんの方でCA19−9という腫瘍マーカーが100くらいの方がいて、治療により腫瘍が小さくなり、腫瘍マーカーも低下。
しかし、その後、再び腫瘍マーカーが100に上昇し、がんが悪化したと判断し、抗がん剤を変更し、その後は、腫瘍マーカーはずっと100の状態を維持し、腫瘍も成長しなくなり(小さくもならないし大きくもならない)安定した状態を維持
ただ、同じ腫瘍マーカー100の状態でも、腫瘍の量は、異なることはよくあることである。
つまり、腫瘍マーカーは、がんの増殖の勢いを示すことも多く、むしろ、そのような視点で見た方が良いであろう。
4、腫瘍マーカーは順調に下がって、がんも順調に小さくなってきた。しかし、ある時から、腫瘍マーカーは低下し続けているにも関わらず、肺に転移していた部分が大きくなっていた。
このことをどのように解釈したら良いか?
1つの解釈の方法を提示する。
腫瘍マーカーは、体中にある全てのがんの増殖の勢いを示す指標にはなることもあれば、「体中にある全てのがん」ではなく、体の中の一部のがん」の増殖の勢いを示す指標になっていることもある。
つまり、「腫瘍マーカーは低下し続けているにも関わらず、肺に転移していた部分が大きくなっていた。」ということに関する解釈として
肺以外にあるがんはしっかり抑えられており、その結果、腫瘍マーカーも低下し続けたが、肺の部分だけは、今回測定した腫瘍マーカーでは、がんの勢いを示す指標にはならなかったという解釈になる。
このことは、「肺以外の部分は抑えられており、そういう意味で、腫瘍マーカーは低下していることは意義があること」だが、「肺の部分に関しては、別の対策を加えて、がんを制御していかないといけない」とも解釈できる。
理由)
体内に散らばっているがんが、場所によって、若干、がん細胞の顔つきが異なることが、上記のようなことが生じる理由である。
例えば、肝臓に「複数の転移したがん」があったとして、肝臓にあるがん全てが、必ずしも同じ顔つきではないということもある。
その結果、腫瘍マーカーは順調に低下して、肝臓に転移したがんの大半は縮小しても、一部のものだけ大きくなっているということもある。