漢方による薬剤性肺炎のリスクについて
こんにちは。加藤隆佑です。
薬によって、肺炎が引き起こされることがあります。薬剤性肺炎と言われています。
命に関わることもあるので、注意をしないといけない副作用です。
ただ、頻度が高い副作用ではありませんが、ある特定の薬に関しては、非常に高い確率で肺炎を引き起こすことがあるので、注意をしないといけいこともあります。
1、漢方による肺炎の頻度は?
どのような漢方が、肺炎を引き起こす可能性があるかは、判明しています。
インターフェロンという薬に併用する形で、小柴胡湯(しょうさいことう)という漢方を用いると、肺炎のリスクが高くなることが判明しております。
小柴胡湯そのものでも、肺炎を引き起こす可能性はありますが、頻度は低く、したがって、日常の診療において、よく用いられる漢方の一つです。
それ以外に、肺炎を引き起こす可能性があるとされている漢方は、以下の通りですが、1万人とか10万人に1人という頻度と思われます。
私がよく用いる、人参養栄湯や、杏仁には、これまで、肺炎を引き起こすという報告は、ありません。
上の表に肺炎のリスクがあると記載されていても、確率は10万人とか100万人に1人といった確率のはずなので、実際の診療では、肺炎を気にせず用いられます。
2、キノコ系の漢方による、肺炎のリスクは?
確率的には、ほぼ0です。
ないわけではありませんが、カバノアナタケというキノコによる肺炎が2022年までに、1例だけ報告されています。
レイシも、2022年までに1例だけの報告です。
確率で考えたら。ほぼ0といってもよいでしょう。
むしろ、肺の炎症を抑えるために、キノコ系の漢方を用いられることがあるくらいです。
3、薬剤性の肺炎の多くは、抗がん剤が原因です。
抗がん剤治療をしている方が、薬剤性の肺炎になった場合は、抗がん剤が原因と考えて、ほぼ間違いありません。
さらに、肺炎に非常になりやすい抗がん剤に関しては、肺炎の兆候がでないかを、つねにチェックしながら治療を受ける必要があります。
たとえば、
アフィニトールという分子標的薬の治療を受けている方は、約20%の確率で肺炎が起きると言われています。
エンハーツ という分子標的薬の場合は、約30%の確率で起きます。
息切れ、咳といった症状がでたら、主治医にすぐに報告してほしいです。
早期に対応したら、大半のケースで、解決できます。