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肺がんステージ3の完治を目指す治療を医師が解説!生存率をもっとあげる工夫とは?

こんにちは。加藤隆佑です。小樽協会病院という総合病院で、がん治療を専門として、働いています。

さて、今日の本題です。

肺がんの手術後の再発率を、より下げることは、できます。

手術ではなく、抗がん剤治療と放射線治療の併用により、完治を目指すケースもあります。そのような場合も、再発を防ぐ工夫は、あります。

さて、肺がんのステージ3ですとは、約7割の方が再発すると言われています。再発率を0に近づけることを目指しましょう。

その結果、生存率をあげて、完治を目指すことが、できます。

そして、肺がんに負けない体を作っていくのです。

肺がんの再発率を下げて、生存率を上げる事はできる。その方法とは?

以前に比べると、肺がんは、より治すことのできる病気になっています。

しかし、他の病気と大きく異なる点は、再発というリスクが常につきまといます。

肺がんのステージ3を例にとると、7割の方は再発するのです。

そのような治療成績では、十分ではありません。できれば、再発率を0にしたいです。しかし、現実的には再発を、0にはできないでしょう。

そうであっても、再発率をさらに、下げることはできるのです。そして、完治を目指すことが、できるようになります。

そのための方法を、順を追って説明していきます。

肺がんステージ3の標準的な治療の問題点と、注意点

標準的な治療とは何?

治療方針は、手術で取り除ける場合は、肺がんを取り除くことになります。その場合はステージ3Aに該当することになります。

手術で取り除くことはできなくても、抗がん剤と放射線治療の併用で、完治を目指せるケースもあります。そのような場合は、抗がん剤と放射線治療の併用治療を受けることになります。

ここから、先は、手術で治療をしたことに焦点を絞って、お話していきます。

ステージ3の肺がんの診断になれば、手術の後、しばらくの間、抗がん剤治療を受けることになります。

がんを全て、取り除いたように、その時点で、すでにがん細胞が別の臓器に転移している可能性があるからです。

術後の抗がん剤治療は、負担のない範囲で抗がん剤治療を受けることは大切です。

ステージ3ならば、シスプラチンという点滴の抗がん剤を併用した抗がん剤治療を行うことが、推奨されています。

手術後に「シスプラチン+ビノレルビン」という抗がん剤治療を受けた場合の5年生存率は、以下の通りです。

ステージ3:手術だけ22.5%、手術+抗がん剤40%

注意点として、シスプラチンは体に負担のかかる治療です。シスプラチン併用の抗がん剤治療による、治療関連死は約1%です。

従って、負担のない範囲で、抗がん剤治療を受けることは大切です。同時に、徹底的な副作用対策をしましょう。

医師にしてもらう副作用対策と、あなたが自宅でできるセルフケアを組み合わせると良いです。

ちなみに、5年生存率のデータには、再発している方も含まれており、生存率と完治率とは違います。

抗がん剤治療(化学療法)の問題点

ステージ3の手術後は、しばらくの間、抗がん剤治療を受けることで、再発率を下げることは、できます。

一方で、抗がん剤治療を受けなくても、再発しない方もいるという事実があります。

そのような方からしたら、「抗がん剤治療を、受ける必要はない」ことになります。

理想としては、「抗がん剤を受けなければ、再発してしまうが、抗がん剤を受けることによって、再発を免れる人」を選別できれば、良いでしょう。

しかし、そのようなことを、判断することは、今の科学技術では、不可能です。

もちろん、いろんな方法で、再発する人を絞り込む研究がなされています。

しかし、まだ、十分に信頼出来る方法は、確率されていません。

ステージ3の肺がんの抗がん剤治療は絶対に受けるべき?

将来的に、再発するかどうか分からない以上は、負担のない範囲で抗がん剤治療を受けるというのが、妥当になってくるのでしょう。

一方で、以下のような事実があることを、忘れるべきではありません。

  • 抗がん剤治療を受けても、再発率は5から8%程度下がる程度。
  • 抗がん剤治療を受けなくても、再発しない人がいる

以上を踏まえると、手術後の抗がん剤治療を受けるかどうかは、以下のことも含めて、検討しても良いでしょう。

  • 治療に対する価値観
  • 体力
  • 認知能力(薬の自己管理や副作用のセルフケアができるか?)
  • 経済的な問題

特に、抗がん剤治療を堪えられる体力がない方は、逆に寿命を短くしてしまう恐れがあるので、無理をして受けるべきではありません。

そして、実際に治療を受けてみて、副作用で辛ければ、いつでも抗がん剤治療を、やめることは、できます。「辛くなったら、抗がん剤をやめよう」と気持ちで受けた方が、気持ちも少し楽になるのではないでしょうか。

また、再発を抑えるのは、抗がん剤だけではないことを、忘れるべきではありません。

東洋医学(漢方)に効果はあるのか?

漢方を飲むメリットは、以下のようなものになります。

  • 手術後の体調を良くする。
  • 抗がん剤の副作用を減らす。
  • がんの再発を抑える。

西洋医学で用いられる薬に比べれば、漢方のデータの数は少ないです。

しかし、上記のことを支持するデータは、複数あります。

また、私をはじめ、漢方の専門医は、漢方が効果があることを、多数のがんの方への治療の経験から、分かっています。

漢方は、取り入れる価値の非常に高い治療です。

最近は、保険診療で漢方を処方できるようになっています。そして、漢方に、理解を示してくれる医師は、増えています。

ちなみに、より専門性の高い漢方を処方する医師は、煮出して(煎じて)飲む漢方を用います。

そちらの方が、概して、効果は強いです。

また、私は、インターネットでも、簡単に購入できるような漢方を購入していただき、煎じて飲んでもらうことが多いです。

漢方を加えることは、肺がんを抑えることに非常に役に立ちます。

そのために知っておいて欲しいことは、こちらでも公開しています。

食事を工夫すると、再発率を抑えられるか?

877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討した愛知がんセンターからの報告。

豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になる。

上のデータは、胃がんにおいて、食事内容を工夫すると、再発率を下げることができるというお話です。このことは、肺がんでも、同じでしょう。

がんを抑えることと、食事内容には、強い関係があることを、知っておいてほしいです。

肺がんの手術後の5年生存率

上記のデータは、2005年から2007年の間に、肺がんの診断や治療を受けた患者様に基づいたデータです。

つまり、10年前の治療に基づくものですので、現在の発達した治療であれば、よりよい治療成績になっています。

また、データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者様に当てはまるわけではありません。

肺がんの再発を抑えるための、抗がん剤治療の副作用は、もっと楽にできる。

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えます。

特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄は、影響を受けやすいです。その結果、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球の数が少なくなることがあります。

その他、全身のだるさ、吐き気、手足のはれ、しびれ、心臓への影響として動悸(どうき)、肝機能障害、腎機能障害が出ることもあります。

こうした副作用が、どの程度出るかに関しては、個人差があります。

副作用が著しい場合には、抗がん剤の量を減らしたり、抗がん剤治療の中断を検討することもあります。

副作用がひどいと、体力を消耗するからです。高齢の方ですと、そのことがきっかけで、寝たきりになることもあるのです。

そのようなことは、寿命が短くなることにも、つながります。

あなたが、辛いと思っている副作用を、主治医に、しっかり伝えましょう。あなたが、伝えないと主治医に分かってもらえない副作用があるのです。

副作用対策をしてもらいましょう。

最近は副作用を、かなり取り除けるようになっています。

楽に治療を受けて、肺がんを克服することは、できます。

抗がん剤の副作用を取り除くために、◯◯を伝えないといけない。

例えば、以前は、吐き気で悩まれる方が、非常に多かったです。しかし、最近は、そのようなことは、減りました。非常によく効く吐き気止めが、使えるようになったからです。

以前とは、比べものにならないくらいに、吐き気に悩まされずに、治療を受けられるようになってきています。

そのような事実があるにもかかわらず、吐き気に悩まされながら治療を受けられている方がいらっしゃるのも、事実です。

その原因として、以下の理由があげられます。

  • 副作用で苦しんでいることを、主治医が把握できていない。
  • 主治医が副作用対策を熟知していない。

本来であれば悩まなくてもよい症状に、悩まされることは、多いです。

普段から、医師とのコミュニケーションを、しっかりとることが、必要です。どうしても、副作用がとれない場合は、セカンドオピニオンで、他の医師の意見を聞きましょう。

私の外来にも、そのようなお悩みで、受診される方は、いらっしゃいます。

副作用の原因で、もう一つ忘れてはいけない理由は、過剰な量の抗がん剤が投与されていることがありることです。

もう少し具体的にお伝えします。

抗がん剤は、体重と身長から、投与量を計算しますので、体重が減ったならば、抗がん剤の量を、減量しないといけません。

しかし、なんらかの理由で体重が減ったにも関わらず、従来の体重の量で計算された抗がん剤の量が、投与されていることがあるのです。

それは、過剰な量の抗がん剤になり、強い副作用がでることになります。

体重の1kg程度の増減は、気にしなくてもよいですが、それ以上の体重の増減のときは、主治医に伝えるべきです。

抗がん剤による口内炎は、もっと楽にできます。

エレンタールという栄養ドリンクがあります。これを飲むと、抗がん剤によってできる口内炎を減らすことができるというデータがあります。

データの数は少ないのですが、その効果を実感して、診療に利用している病院も複数あります。

私もエレンタールの効果に驚き、よく用います。

広く普及していない治療で、あなたの主治医が知らない治療法であったとしても、効果的な治療法は、あるということは、覚えて欲しいです。

そして、あなたが、もし口内炎で悩まされていたら、主治医に処方してもらえないか、頼んでみてください。

ちなみに、私の著書にも、エレンタールの効果のことを、書いています。

諦めないでいろいろ調べてみると、あなたの悩みを解決できる方法が、あるものです。

ちなみに、私は、広くは普及していない治療方法であったとしても、しっかり調査します。

そして、良好な結果が出る可能性が高いものは、メール講座やブログなどで、ご紹介しています。

広く普及している標準的な治療だけが、治療でないのです。

抗がん剤による吐き気は、もっと楽にできます。

抗がん剤の副作用である吐き気を、もっと取り除くことは、できます。

最近になって、非常に効果のある吐き気止めがでたからです。

しかし、その薬を主治医が適切に用いることができないために、吐き気を取ることができていないケースを、たまに見かけます。

そのような可能性があるときには、セカンドオピニオンなどで、他の医師の意見を仰ぐのも、よいでしょう。

また、あなたが、吐き気で辛い事を、伝えたつもりでも、伝わっていないことは、多いです。

そのような場合は、主治医に伝えたいことを、短い手紙に書いて、外来の診察の前に渡すとよいでしょう。

確実に、あなたの伝えたい事が伝わります。

あらゆる手段を使って、吐き気を楽にしましょう。体力の低下につながるので、必ず解決しないといけない副作用の1つです。そして、多くの場合が、解決できる副作用でもあります。

抗がん剤によるしびれは、もっと楽にできます。

肺がんで、よく用いられる抗がん剤であるシスプラチンとアブラキサンには、特に注意しないといけない副作用があります。それは、しびれです。専門用語では、末梢神経障害と呼ばれます。

後遺症としてしびれが残り、自分で歩く事が困難になったり、ボタンを自分でつけれなくなることもあります。

主治医には、しびれがでたときに、適切な対処をしてもらいましょう。

具体的には、原因となる抗がん剤を休薬してもらうことが、必要です。

ちなみに、しびれを和らげるために、用いれる西洋薬として、リリカやサインバルタという薬があります。副作用が多い反面、効果はそれほどないケースが多いです。

一方で、漢方薬の中には、しびれの改善に非常に役立つものがあります。

そのような漢方薬で、私がよく用いるものは、漢方薬局で購入してもらわないといけませんが、改善するケースは多いです。

肺がんの手術後に、定期的に受けた方が良い検査

検査

医師によって、若干異なりますが、多くは、以下のようなやり方で、検査をして、再発がないかをチェックします。

腫瘍マーカー(採血):1から3ヶ月に1回

CT:半年に1回

腫瘍マーカーが上がったらどうするか?

定期検査の検査結果で、腫瘍マーカーが少し上昇することがあります。そのくらいならば、腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はありません。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、再発の兆候であることが多いです。

治療に、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

肺がんの手術後の食事で気をつけること

食事で、気をつけることは、たくさんあります。最低限気をつけてほしいことは、以下に記載します。

  • 規則正しい食事
  • 腹八分を心がけて、ゆっくりよく噛んで、食べる。
  • バランスよく、食べる。
  • アルコールをとりすぎない。
  • 便通を整える。

上記のものは、最低限すべきことです。食事とがんには、密接な関係があります。

いろいろ勉強して、がんに負けない体を作っていきましょう。

肺がんの手術後の抗がん剤治療の治療費を、安くすることはできる。

抗がん剤治療は、かなりの費用が、かかります。大半の方は、高額療養費制度を利用することになります。

つまり、一定の金額を超えたら、それ以上を支払わなくても良いという制度です。

一方で、以下のようなケースもあります。

  1. 抗がん剤治療を外来で行った方が、医療費が安くなり、自己負担額も安くなるケース
  2. 月をまたがない形で治療をうけると、自己負担が九が安くなるケース
  3. 薬を多量に飲んでいるケースでは、本当に飲むべき薬のみに、絞って飲んで、薬剤費を減らせるケース

3番目のケースは、よく見かけます。

本来であれば飲まなくてもよいお薬を、漫然と飲んでいるケースは非常に多いです。

ちょっとした工夫や、国の制度をうまく利用すると、あなたの負担を減らすことは、できます。

病院のソーシャルワーカーに相談するのも良いでしょう。

再発の兆候で、知っておくべきこと

再発の症状として、知ってほしいこと

再発に特徴的な症状はありません。無症状で、再発することも、多いです。だからこそ、定期的に検査を受けることが必要です。

再発の起きやすい時期と場所

肺がんの再発は、いつ起こるかは、わかりません。しかし、手術をしたのちの5年以内に再発することが大半です。

5年以内に再発する方が、大半です。そのように考えれば、手術をして5年経過をしたら、再発の不安からは、かなり解放されることでしょう。

5年間は、気を抜かず、日常生活に気をつけつつ、定期的に検査を受けることが大切です。

ちなみに、再発する場所として多いのは、肝臓、リンパ節、胸膜です。

万が一、再発が見つかっても、適切な対処を行えば、完治にもっていくことも、あります。

そして、ステージ3の肺がんに負けない体を、作っていきましょう。

そのために、知っておくことがあります。

肺がんに負けない方法は、こちらで学ぶことができます。

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医

札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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