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アトピー性皮膚炎の方が妊娠して妊婦になったときに薬の注意点!

こんにちは。加藤隆佑です。

私は、がんの治療を専門にしていますが、アトピーの漢方治療にも力をいれています。

そこで、本日は、アトピー性皮膚炎で治療中の方が、妊娠したときの注意事項をお伝えします。

さて、妊娠に伴い、もともと持っていたアトピー性皮膚炎などが増悪することがあります。逆に、症状が良くなる方もいます。

  • 妊婦の50% 以上が妊娠 中に皮膚炎が増悪し、25%% は改善
  • 妊婦の61% が増悪し、4% が改善、 35% は不変

このようなデータがあります。皮膚炎の増悪は妊娠中のど の時期でも起こりえますが、妊娠の中期から後期により増悪 する傾向があります。

また、妊娠をきっかけに妊娠性そう痒症によるかゆみがでることもあります。

妊娠性そう痒症とは?

妊娠早期に全身にかゆみが出現し、掻きこわすと引っ掻き傷や色素沈着になりますが、直接かゆみを引き起こす発疹がみられない疾患です。

妊娠中のアトピー性皮膚炎の治療薬の注意点

妊娠中の胎児への影響を考え、内服薬だけではなく、一部の外用薬でも妊娠中の使用が望ましくないものがあります。注意しながら治療をしていく必要があります。

一般的な治療法は、保湿剤とステロイド剤の外用療法になります。症状と妊娠の時期に応じて、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などを内服することもあります。

妊婦に使っていけない薬とは?

プロトピックといったタクロリムス軟膏は、妊婦に対して用いてはいけないとされています。

しかし、実際には用いられれます。そうしないと、アトピー性皮膚炎が制御できないことがあるからです。

そして妊娠中の影響は少ないのでは?という意見が主流ですが、明確な根拠をだすことはできていません。

ステロイドの塗布(外用薬)は妊婦に安全に使えるか?

ステロイドの外用薬は、妊婦や胎児に対しての悪影響を及ぼすかどうかに関して、信頼できるデータはありません。

ただし、ストロングからベリーストロングに相当するステロイドの外用薬には、注意が必要です。

妊娠期間中に300g以上 使用した場合には、出生時に低体重になる割合が 有位な割合で増加したという報告はあるからです。

万が一、低体重で出生したとしても、適切な対処をすることにより大丈夫です。

一方で、妊娠中でも中等度クラスのステロイドを、一般的な使用方法で用いれば、比較的安全であると考えられます。

強力なステロイドは、なるべく短期間のみ使うようにして、特に妊娠初期では使用量が大量にならないように注意しないといけません。

また顔面といったようなステロイド外用薬の吸収がよい部位では、マイルドクラスのステロイド外用を用いるようにしましょう。

ステロイドの内服はしてもよいのか?

妊娠初期のステロイドの内服は、口唇口蓋裂の発生率が数倍高くなるとされています。

通常の場合で、500人から700人に一人の割合で発生するのが、数倍高くなるということです。

ただし、口唇口蓋裂は手術で綺麗に治ります。

さて、極めて高用量のステロイドを妊娠の中期まで飲み続けると、胎児の発育不全の可能性が高くなります。

妊娠の後期まで飲み続けると、胎児の副腎機能低下の可能性が高くなります。

抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬は安全に用いることができる?

抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬は、安全に用いることができるとされています。

アトピー性皮膚炎それ自体が、流産、早産、胎児の先天異常などを引き起こすことはないです。

アトピー性皮膚炎は、遺伝する可能性はある。

妊娠された方の声を聞きますと、子供にアトピー性皮膚炎が遺伝しないかどうか心配されます。

そこで、アトピー体質が遺伝する確率を説明いたします。

  • 両親ともにアトピー体質の場合は約50%
  • 両親のどちらかがアトピー体質の場合は約30%

つまり、遺伝性はあります。

一方で、両親がアトピー体質でも、本人はアトピーではないことがあります。

つまり、遺伝だけでは、アトピーが発症するかどうかを決めることはできません。

アトピー体質であっても、アトピーが発症しにくい体質や、環境作りをしていくことは、重要ともいえます。

胎児をアトピー性皮膚炎やアレルギーの体質にしないための工夫とは?

ある漢方は、生まれた子供がアトピーで悩まされる確率を減らすことができます。

たとえば、以下のような事例があります。

二児ともアトピー性皮膚炎の母親が三児を妊娠したときに、その漢方を飲む。

そうすると、その子供のみ、アトピー性皮膚炎にならなかった。

母親がのむ漢方を通して、アトピー性皮膚炎に効果のある成分を、胎児に送り込むことはできるということです。

再現性のある事例です。

妊娠中に飲む漢方は、胎児のアレルギー性体質にならないために体質作りになると、解釈してよいでしょう。

ちなみに、この漢方は、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対しても用いられています。以下のような事例があります。

アトピー性皮膚炎で、口までただれて、お乳を飲むのがやっとの状態の赤ちゃん。

母親はその漢方を飲み、母乳を通して、その漢方の成分を赤ちゃんに摂取させる。

そして赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は治癒する。

母乳を通して、アトピー性皮膚炎に効果のある成分を、赤ちゃんに移行させることができたということです。

これも、再現性がある治療法です。

また、妊娠中はアトピー性皮膚炎が悪化することがあります。

だからこそ、妊婦さんも、アトピー性皮膚炎に効果のある漢方をしっかり飲み続けましょう。

私が推奨する漢方は、胎児に悪影響は与えませんし、むしろ、母体と赤ちゃんの両方によい漢方です。

さて、どのような漢方を用いるかは、こちらでご提案しています。

 

ライター紹介 
加藤隆佑



癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

アトピー性皮膚炎といった、様々な病気に対しての漢方治療も行っています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

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